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北陸の伝統文化を満喫。星野リゾートの宿【界 加賀】のアクティビティで旅を一層豊かに

  • 2021.12.12
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星野リゾートの宿に泊まるなら、アクティビティは欠かせません。石川県の山代温泉にある「界 加賀」では、加賀藩前田家が守り育てた伝統文化や工芸品に触れられるアクティビティプログラムを多数用意。宿に泊まったその日から、旅の楽しみが一層豊かに膨らむ数々の体験を用意します。

金沢文化と紅殻格子

星野リゾートの温泉旅館「界 加賀」は、1624年創業の老舗旅館「白銀屋」が文政年間(1818年~30年)に建てた木造の町屋造りを構えます。その特徴は、紅殻(べんがら・べにがら)という赤い顔料を塗った建物。これは寺社の赤い外観や金沢のお茶屋、浮世絵の顔料などにも使われ、防腐効果があるほか建物を華やかに見せられます。一般には弁柄と書きますが、北陸では紅殻が定着しています。

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▲建物を華やいだ雰囲気に見せられる紅殻の外観は、宿の構えにぴったりです。

江戸時代に創建された建物を見るのもアクティビティのひとつ。格子を使った町屋造りが、ノスタルジックな風情を醸します。

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▲窓に紅殻格子が組まれるのも金沢の文化。日が暮れると、室内から漏れる光が地面に交差して、絶好のフォトスポットになっています

金継ぎに触れるプログラムで九谷焼のお土産作り

戦国大名や豪商の間で開花して、今も金沢で盛んな茶の湯文化。お茶会では九谷焼の茶器が使われます。そんな茶器やお皿が割れると、新しい命を吹き込むのが金継ぎです。「界 加賀」のアクティビティ「金継ぎに触れるプログラム」は、九谷焼の破片を金継ぎでつなぎ、イヤリングなどを造る体験です。

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▲「器は料理の着物」とは、九谷焼を学んだ北大路魯山人の言葉

「界 加賀」の前身だった白銀屋に逗留し、九谷焼を学んだ美食家にして料理家、陶芸家でもある北大路魯山人が「器は料理の着物」と教えるとおり、器は料理を引き引き立てる要。そんな器が欠けたりひびが入った時、ただ補修するだけでなく、新たなアート作品として蘇らせるのが金継ぎです。

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▲金継ぎ手習い体験とアクセサリー作りで使う九谷焼の破片

2021年2月から始まった金継ぎのワークショップ(有料)。割れた陶器を九谷焼の窯元から譲り受け、金継ぎを使ってイヤリングやピアス、箸置きなどを作ります。今回はイヤリングに挑戦。初めに好きな絵柄の破片を4つ選びます。

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▲2つのカケラを接着剤で貼り合わせ、金を継ぐ部分に専用の漆を塗ります

特製漆は透明なので、見えるように紅殻の顔料を混ぜて塗っていきます。

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▲筆の毛先に金の粉(真鍮粉)をつけ、指でトントン叩いて金継ぎ部分にふりかけます

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▲色や柄の違う九谷焼の破片を金継ぎして、オンリーワンのイヤリングが完成です

金継ぎのワークショップは、チェックインの当日に体験を行い、完成品はチェックアウト時に受け取ります。とてもいいお土産になりますね。

加賀棒茶を愉しむ茶の湯体験

金沢は京都とともに今も盛んにお茶会が開かれる町。そこで庭の茶室で石川県特産の加賀棒茶を1人で飲む「独服」の体験ができます(¥1,500)。

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▲茶室へは、館内のライブラリーラウンジから庭に出て、飛石に導かれて向かいます。石灯篭や木戸、腰掛待合もある、苔におおわれた美しいお庭です。

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▲茶室は文政13年(1830年)に建てられた国の登録有形文化財です

茶室に使われた木材部分は漆塗りで仕上げ、折り上げ格天井を組む書院風造り。茶の湯を登録有形文化財で楽しめる特別な体験です。

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▲茶室を1人で15分借り切り、2種類の加賀棒茶を飲みくらべる「独服」体験

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▲お茶の茎を焙煎した石川県特有の加賀棒茶。小さな容器が深煎り、大きな容器が浅煎りです

お茶菓子は深煎り用に「加賀九谷野菜」のひとつで、甘味の強い「味平カボチャ」を使った最中。浅煎り用には金沢の名店から取り寄せた落雁を用意。飲みくらべてみると味がはっきりわかり、お茶の奥深さに触れると共に、心が安らぐひと時です。

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▲「独服」体験では金継ぎされた九谷焼の器が使われます

山中塗の木地師が作る無垢の酒器で日本酒を味わう特別な体験

各地の「界」では伝統工芸品などの工房をたずね、職人や作家の技術を間近で見たり体験できる「手業のひととき」を用意します。「界 加賀」では季節ごとに4施設でおこなわれ、9月から11月までは「山中漆器の木地師(きじし)があつらえた無垢の酒器で日本酒を味わう体験(有料)」を用意します。

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▲おがくずが積もり、自ら作った専用工具がずらりと並ぶ木地師の作業場を見学

漆製品の製造販売をおこなう塗師の西本浩一氏とともに「工房なかじま」で、ろくろで木を削って器に仕立てる職人の技を見学。夕食時にその器で乾杯ができる、ここだけのスペシャルな体験です。

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▲山中漆器は、輪切りにした国産の原木を使用。写真は60~70年ものの欅です

山中地区の器は、輪切りにした木から縦方向に器の形を取る「縦木取り(たてぎどり)」で、横木取りとくらべると反りづらく、木目を活かした自然な風合いを出すのが特徴です。

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▲素材になる木材は、大まかに粗挽きにして乾燥させます

木材は天然乾燥と人工乾燥を行い、ちょうどいい水分量になるよう木を整えてから器を作ります。写真は天然乾燥させるため、工房に高く積み上げられた木材です。

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▲道具は全て特殊なもので、職人自ら素材から鍛造して作ります

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▲粗挽きした器は、ろくろを使って削ります

工房で使われるろくろは、足元の操作でスピードや回転方向を変えられるので、座る場所を移動せずに作業ができて効率が上がる、世界でもここだけの機械。海外からも見学者が来るそうです。

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▲山中漆器の特徴でもある「加飾挽き」で、模様を入れた器

ろくろを回転させながら、刃物を振動させて模様を彫り込む「加飾挽き」。削る器や装飾するデザインによって道具も変えます。わたしたちが普段何気なく使っている部分に光る職人技です。

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▲厚さ0.8mmほどの“うすはり”に削る器もあります。内側から光を当てると、透けて見えるほどの薄さです(写真の器は1.0mm)

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▲漆を塗って仕上げると、木目が現れ風合いが高まります。この飴色が漆本来の色です

山中塗の魅力は、「拭漆(ふきうるし)」で仕上げる上品な光沢と木目の美しさです。木目が浮かび上がるように漆を塗っては拭く工程を、何度も繰り返します。

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▲技術を広めるため海外にも招かれる木地師の中嶋武仁さん(写真左)と、漆器を世に広める活動をする塗師の西本浩一さん

漆の木から漆が採れるようになるまで10年ほど。木の幹に傷をつけ、にじみ出る漆液は1本の木からわずか200ml程度です。漆を採取すると木は枯れるので、再び植林してまた採取するのは10年後。そう教えていただいた西本さんの言葉には、木への感謝が現れていました。

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▲作ってもらった酒器は夕食時に食卓に用意

普段は使うことのない無垢のままお酒をいただけるのも特別な体験です。今回は水目(みずめ)の木を使い、お酒が滲み出ないよう枡が用意されました。もちろん漆を塗って仕上げると、そうした心配はなくなります。

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▲今回は「加飾挽き」で細かな筋模様を入れていただきました。仕上がりが美しすぎて感激です

このあと「拭漆」をおこなうため、木の肌がキレイであることも必須。サンドペーパーで表面が整えられ、こんなにツルツルに。

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▲このプランには乾杯用に1625年から続く金沢福光屋の「加賀鳶」が用意されます

セミオーダーされた器でいただくお酒はまた格別。このあと漆が塗られるため、お酒を木の香りとともに楽しめるのはこの夜だけの体験です。

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▲お酒越しに現れた木目がキレイ。日本酒好きには堪らない瞬間です

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▲後日、漆で仕上げた完成品のお猪口が自宅に届きました。左が赤漆、右が漆そのものの色で、木目が鮮やに浮き上がります。まさに一生ものの器です。

工房を訪ねて以来、金沢の土産物店や地元の百貨店の食器売り場で山中塗の漆器に気づくようになり、木の器や漆器をより豊かに感じられるようになりました。

星野リゾートの温泉旅館【界 加賀】では、ここで紹介したほかにも、毎晩開催される「加賀獅子舞」や温泉アクティビティ「うるはし現代湯治」、朝食前の「加賀おはよさーん体操」など、有料無料のアクティビティを多数用意。ぜひとも全部体験してみてくださいね。<text&photo:湯川カオル子 予約・問:界 加賀 https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/kaikaga/>

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