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育児休業法の法改正。子育て世代に影響のあるポイントをわかりやすく解説

  • 2021.12.8
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2022年4月より適用される育児介護休業の法改正。その中でも出産育児を控える子育て世代に影響のあるものを解説します。「育休の法改正って自分に関係あるの?」「法律の話は難しそう」「会社がしっかり説明してくれるか不安」という方は、ぜひ最後まで読んでみてください。法律に詳しくない一般の方でもわかりやすいように、重要な部分だけをかみ砕いて解説します。

育児休業に関する法改正は全部で7つ

  1. 産後パパ育休(出生時育児休業)という新制度
  2. 雇用形態による育休取得制限の撤廃
  3. 保険料免除の制度改正
  4. 特例基準日という新制度
  5. 育児休業制度の説明義務
  6. 育休取得率の公表
  7. 育児休業の分割取得が可能に

改正点は多くありますが、今回は中でも育児休業給付金の受給条件にまつわる部分に絞ってお話します。

結論を先に言うと、従来よりも条件が緩和され、受給しやすくなりました。

入社1年未満の契約社員でも育児休業が取得可能に

契約社員など有期契約の従業員は、従来だと1年以上同じ会社に勤めていないと、育児休業を取る権利がありませんでした。しかし2022年4月1日以降は、1年未満であっても育児休業を取れるようになります。

ただし、育児休業を取得できるようになっても、会社側にはこの申し出を拒否できる権利は残ったままとなるので注意が必要です。

違いは「絶対にダメ」もしくは「ダメと言って良い」の部分

「ん?結局1年未満だと育児休業給付金をもらえないの?」と思った方もいるでしょう。それは少し違います。従来の法律では下記でした。

  1. 有期契約で入社1年未満の人には、会社が取らせたいと思っても育児休業を取らせることはできない
  2. 有期無期の契約関係なく、入社1年未満の方に対して育児休業を取りたいと言われた会社は「ダメです」と言って良い

1.は有期契約の人のみが対象で、会社側が取って良いと言ったとしても、育児休業を取らせてはいけないと法律で決まっていました。

2.については正社員も対象で、本人から「育児休業を取りたい」と申し出されたときに、会社側は「ダメです」と言っても良い。言わなくても良い。というニュアンスでした。少し違いますよね。

2022年4月1日からは、上記の1.が廃止され、2.だけになります。つまり、有期契約だからという理由だけで、育児休業給付金を取れないということがなくなります。

有期契約で入社1年以内に育児休業を取りたい方は、今のうちから会社に相談をしておくことをおすすめします。

育児休業給付の対象となる期間が変更に

育児休業給付金を受給するには、基礎日数(出勤日数+有給休暇日数)が11日以上ある月が、過去2年間の中で12回以上あること。という条件をクリアする必要があります。

この「過去2年間」というのが、いつから数えて2年間なのか?という点に今回改正が入りました。育児休業の開始日が2021年9月1日以降となる方が対象です。

起算点を選べるようになりました

従来は育児休業開始日が「過去2年間」を数える基準(起算点)でした。育児休業開始日は、一般的に出産の8週間後です。

つまり、出産8週間後の日から数えて2年間で、条件をクリアしているかどうかが判断基準になっていたということです。

しかし今回の法改正により、育児休業の開始日が2021年9月1日以降となる方を対象に、「育児休業開始日」もしくは「産休開始日」どちらかを起算点として選べるようになりました。

影響が出るのは出産日が予定とずれてしまった人

育児休業開始日と産休開始日の差はあまり大きくはなく、大半の方には影響がありません。しかし、この違いによって、育児休業給付金を受給できる方が増えています。

影響を受けやすいのは、下記のようなギリギリ受給ができないかもしれない人です。

  1. 「1か月だけ出勤日数が足りないので受給できない」と言われた人
  2. 1人目の育休を2年程度取ってから2人目育休を取る人
  3. ケガや病気などで3年近く休んでから育休を取る人
  4. 出産日と育休開始日がずれて、受給条件分の出勤日数が足りなくなった人

例えば「4.出産日と育休開始日がずれて、受給条件分の出勤日数が足りなくなった人」の場合は、育休が始まるタイミングは、出産日によって決まります。しかし、早産などによって出産日が変わってしまうことも十分に考えられます。

出産日が変わったことで育休開始日も変わり、その結果育児休業給付が受けられない場合があります。しかし、起算点を産休開始日にすることで、育児休業給付を受けられるようになる場合も。

出産日を調整することはなかなか難しいですが、産休開始日は調整が可能です。育休の取得を考えている方は、就労日数を考慮したうえでいつから産休に入ればよいのかを、会社の方やハローワークの方とよく確認しておきましょう。

法改正によって受給しやすくなった育児休業給付金

育児休業の法改正の内、妊娠中の方や妊活中など今後産休育休を取得する可能性がある方に影響のあるものを解説しました。

法律は原則に例外があり、例外の中にも例外があるような難しいものもあります。この記事を読んでいる方の中で、「あとちょっとで育児休業給付金が受給できるのに…」と諦めている方がいたら、ぜひもう一度調べてみてください。

育児休業給付金は子が満1歳になるまで受給できれば、年収の約半分をもらえる制度。簡単にあきらめるべき金額ではありませんよ。

執筆:ベンゾー
「私の育休ホットライン」運営者。育児休業給付金について詳しい解説をしています。受給診断などを行うとともに、これまで累計400件以上の相談に対応。本業では社会保険労務士事務所に勤務。

著者:ママリ編集部

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