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『風と雲と雨』が流れを変える!! 朝鮮王朝末期を描いたドラマが少なったワケ

  • 2021.12.3
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12月3日にDVD-SET3がリリースとなった『風と雲と雨』。歴史巨編としてスケールが大きいこのドラマは、朝鮮王朝の19世紀後半が舞台になっている。

実は、以前の韓国時代劇では、この時代を描いた作品が極端に少なかった。わかりやすく言えば、人気を集めた『イ・サン』は主人公の正祖(チョンジョ)が1800年に世を去って終わるのだが、概して韓国の時代劇は正祖以降の時代をあまり描いてこなかった。

ドラマ『風と雲と雨』より(写真=© 2020 TV Chosun)

理由はいくつもある。

魅力的な実在人物が多かった17世紀や18世紀を描いたほうが時代劇の面白さを強調できること、そして、19世紀になると朝鮮王朝が著しく衰退して結局は滅んでいく過程は韓国の人もなかなか興味を示さないという背景があった。

それで、正祖以降の実在人物を主人公にしたドラマが少なかったのである。

しかし、状況が変わってきた。何よりも、17世紀や18世紀を描いたドラマが多すぎて題材が飽和状態になってしまっていた。

その一方で、19世紀を扱ったドラマには新鮮味があった。しかも、ストーリー性に工夫を凝らせば、娯楽性の高い作品を視聴者に楽しんでもらえる背景も整ってきた。

そうした観点から『雲が描いた月明り』『緑豆の花』などが制作されて、人気を博すようになった。その流れの中で朝鮮王朝末期を壮大に描いた『風と雲と雨』も制作されて大好評を博したのである。

さらには、ユニークな視点で19世紀なかばの朝鮮王朝を描いた『哲仁王后』も2021年に大ヒットして、ますます朝鮮王朝末期を描いたドラマが脚光を浴びるにようになった。

ドラマ『風と雲と雨』より(写真=© 2020 TV Chosun)

しかも、正面から堂々と当時の歴史を描いているという意味で、『風と雲と雨』は本当に注目に値する大作だ。

このドラマは、朝鮮王朝で最高の易術家になったチェ・チョンジュンと、国王の娘となったイ・ボンリョンのラブロマンスを描いている。パク・シフがチョンジュンを凛々しく演じ、コ・ソンヒが熱情的にボンリョンに扮していた。この2人の主役が激動の時代に自ら運命にさからって愛し合う姿は感動的だった。

ドラマ『風と雲と雨』より(写真=© 2020 TV Chosun)

同時に、重要な登場人物になったのが、チョン・グァンリョルが扮した興宣君(フンソングン)であった。彼は権力を持たない弱小の王族。しかし、息子を王にしたいという野望を強烈に持っていた。

そして、絶大な権力を持った一族を油断させるために、あえて無能で卑屈な態度を取った。こうして強大なライバルたちを牽制したうえで、やがて息子を王に即位させる状況を作っていった。

これは史実に合ったエピソードであり、こうした逸話がストーリーに組み込まれているところが、『風と雲と雨』が壮大な歴史巨編と評価されるゆえんである。

しかも、ドラマでは易学の大家となったチョンジュンが興宣君を後押ししていく。結局、2人は最終的に反目してしまうのだが、歴史が大きく動く中で描かれていく権力闘争やラブロマンスは本当に見応えがあった。

そういう意味で、『風と雲と雨』が描いていた時代設定とキャラクター対決はとても興味深かった。

文=康 熙奉(カン・ヒボン)


 

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