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悪者だらけが逆に清々しい!傑作サスペンス映画『パーフェクト・ケア』

  • 2021.12.1
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本当に怖いのはオバケでもモンスターでもなく、善意の皮を被った悪者。そしてそれは自分の身近にいるんじゃないか?そう思わずにはいられない、戦慄の新感覚クライムサスペンス『パーフェクト・ケア』。12月3日(金)から3週間限定で劇場公開、同時にデジタル配信が開始される。

デヴィッド・フィンチャー監督の映画『ゴーン・ガール』(14)で失踪した妻エイミーを怪演し、第 87 回アカデミー賞主演女優賞に ノミネートされるなど高い評価を獲得した俳優ロザムンド・パイク。本作で第 78 回ゴールデン・グローブ賞 主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門)を受賞、これはもう完全に彼女の当たり役といっていい。清々しいほどに“見事に悪い”のだ。主人公のマーラ・グレイソンは、“完璧なケア”で裁判所からの信頼も厚い法定後見人。クールで冷酷。意志が強くて、カリスマ性がある。かといって悪者然としておらず、社会的信頼を得られる堂々としている。彼女の仕事は、判断力の衰えた高齢者を守り、ケアすること。多くの顧客を抱えるマーラだが、その正体は合法的に高齢者の資産を搾り取る悪徳後見人だ。彼女の周りは“悪い”共犯者ばかりで、医師やケアホームと結託し高齢者たちから資産を搾り取っている。そんなマーラが次の獲物に定めた資産家の老女ジェニファー。身寄りがなく格好の餌食となるはずが、なぜか彼女の背後からロシアン・マフィアが現れ物語が始まる。

善意の皮を被った悪者がこの世で一番怖い

ケアホームにはたくさんの“悪い”共犯者が登場する。正直誰が共犯者で誰が善意の介護従事者なのかはわからないが、全員が笑顔。サービス業の皆さんだからもちろん笑顔なのだが、その笑顔の裏にあるものを知ってしまった観客にとってその笑顔は恐怖を感じさせる。合法的な裁判所の命令があるゆえに家族とも引き離され、何をするにも後見人の許可が必要となっていく高齢者たち。こんなに怖いことがあるだろうか。これだけ協力者がいれば、恐ろしいことが合法になってしまう……。しっかりしてくれ裁判所!
リアリティあふれる恐怖のなかで際立つのは、堂々とした立ち振る舞いが華麗にすら思えるマーラの存在感だ。頭がキレ、度胸もある。悪者なのに、マフィアに狙われてもめげないマーラは清々しさすら感じる。彼女に共感できるポイントなどひとつもないのに、テンポが良く物語が進んでいく疾走感が気持ちいい。

逃避行と倍返し。スリル満点の逆転劇

ターゲット・ジェニファーの背後にいたロシアン・マフィアに狙われる事態となってしまうマーラ。パートナーのフラン(エイザ・ゴンザレス)とともに逃避行が始まる。フランも極悪非道の悪者だが、物語のなかでは唯一マーラに優しさや愛情を垣間見せる存在だ。そこがこの物語にリアリティをもたらせてくれる。まるでボニー&クライドのようなふたりに感情移入しそうになる。マーラ&フラン VS ロシアン・マフィア。「もう、どっちにも頑張ってほしい」なんて不思議な感情が湧き上がってくる。(もちろん両方極悪非道の悪者です)
全編を通して散りばめられるブラックコメディのようなユーモアと、マーラをただの犯罪者に見せない画面上の色づかい。そしてなんといってもカラフルで洗練された印象を纏うマーラのキャラクターには目が離せない。

パーフェクト・ケア
12月3日(金)より、全国劇場【3週限定】公開&デジタル配信開始
https://movies.kadokawa.co.jp/perfect-care/Harumari Inc.
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