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逆DVに耐えられない! 妻からの「暴言・暴力」は離婚理由になるか

  • 2015.7.31
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【男性からのご相談】

わたしは2年前に今の妻と結婚したのですが、結婚してしばらくするとヒステリックになり、機嫌が悪いときは暴力をふるってきます。結婚する前は全くこんな感じではありませんでした。暴力といっても女性なのでケガを するほどの力ではないですが、さすがに布団タタキなど武器を持たれると危険で、何度か青あざを作りました。

言葉の暴力もひどく、給料や会社での立場や、性格・体型などについても罵ってきます。機嫌が良いときは優しいので、我慢していたのですが、最近はずっと機嫌が悪く、罵られ続けています。これって逆DVというものではないでしょうか。こちらも精神的におかしくなりそうなので離婚を考えているのですが、離婚理由になり得ますか? 女性のDV被害より男性のDV被害の方が認められにくいということはあるのでしょうか。

●A. 妻からのDVも離婚理由になります。

ご相談ありがとうございます。アディーレ法律事務所弁護士の正木裕美です。

被害者は妻という印象が強いDVですが、妻から夫に対するDV被害や相談も増加しています。男性が被害者のケースは決して少なくないのですが、男性は“沈黙の被害者”とも呼ばれ、男性が被害者となるDVは表面化しにくいという問題もあるようです。

●妻から夫への暴力や暴言も“立派なDV”

そもそもDVは、パートナーからの暴力を指します。殴る、蹴るなどの“身体的暴力”だけでなく、怒鳴る、暴言などの“精神的暴力”、性交渉の強要などの“性的暴力”、生活費を渡さないなどの“経済的暴力”、友人と会わせないなどの“社会的暴力”もDVです。妻から夫への暴力は“逆DV”と呼ばれることもありますが、立派なDVです。

女性から男性へのDVでは、「甲斐性なし」「役立たず」などバカにしたり侮辱したりするような言葉の暴力にあらわれることが比較的多いようです。DV被害者は自分のせいだと責めてしまうこともありますが、どんな理由であれ相手の人格を侵害するDVは許されることではありません。

今回のご相談でも、妻からの身体的な暴力や暴言はDVにあたると思われます。

●DVも立派な離婚理由になります!

では、DVは離婚の理由になるのでしょうか? そもそも法律で認められている離婚原因(民法770条)は、

(1)不貞行為

(2)悪意の遺棄

(3)3年以上の生死不明

(4)回復する見込みのない強度の精神病

(5)その他婚姻を継続しがたい重大な事由

の5つです。

DVは(5)の“婚姻を継続しがたい重大な事由”にあたるので、立派な離婚の理由です。これは被害者が夫でも変わりません。

ただ、確かに男性が被害者だと警察が取り合ってくれなかったなどの声もあります。離婚の話し合いがまとまらないと裁判手続きをとる必要がありますが、DVを証明する証拠が必要です。家庭という密室で行われるDVでは意識的に証拠を残すようにしてください。

身体的な暴力であればケガの写真や診断書をとり、いつどこで何をされたのか記録しておく、言葉のDVでは録音をしておくことも大切です。

●我慢せずに、話し合いと相談をしましょう

今回のDVの程度は軽いとはいえませんが、加害者が女性の場合、DVの背景に夫や家庭に対する不満が募っていることもあります。第三者や専門家を交えてDVや結婚生活についてちゃんと話し合い、“やり直す”“別居”“離婚”など、後悔のない選択をしましょう。

また、DVはエスカレートしていくことが多く、最悪命にかかわる事件になることもあるので、ガマンせず早い段階で専門家や弁護士に相談するようにしてくださいね。

●ライター/正木裕美(弁護士)

男女トラブルをはじめ、ストーカー被害や薬物問題、ネット犯罪などの刑事事件、労働トラブルなどを得意分野として多く扱う。身内の医療過誤から弁護士の道へと進む。2012年には衆議院選挙に愛知7区より日本未来の党の公認候補として出馬し、「衆院選候補者ナンバーワン美女」とインターネットや夕刊紙で大きな話題を呼んだ。さらに、実はものすごくゲーマーで、時間に少しでも余裕ができるとスマホゲームをしている。ブログ「弁護士正木裕美のまっさき通信」も日々更新中!

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