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夏のおすすめ、珠玉の2作品。『ラブ&マーシー 終わらないメロディー』『セバスチャン・サルガド / 地球へのラブレター』

  • 2015.7.31
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今回は、この夏おすすめしたい珠玉の2本をご紹介します!

『ラブ&マーシー 終わらないメロディー』

60年代のブライアン・ウィルソンを演じたポール・ダノは自身の歌声も披露。バンドヴォーカルとしての顔も持つだけに、その歌声は心に響きます。

「サーフィン・U.S.A.」、「素敵じゃないか」、「グッド・ヴァイブレーション」など、誰もが一度は耳にしたことがあるザ・ビーチ・ボーイズの音楽。誕生から半世紀がたった今でも、さまざまな映像作品やCM、街角やカフェで使われている。バンドの中心的存在だったブライアン・ウィルソンは、ポール・マッカートニー、ボブ・ディラン、エルトン・ジョン、エリック・クラプトンなどから惜しみない称賛を送られながら、その音楽的才能の裏で、ひとり苦悩する闇を抱えていた。

本作では、新たな音を求めて曲作りに専念するブライアンが、メンバー間の亀裂、父親との確執、新作へのプレッシャー等から薬物に逃避するようになるも、あるひとりの女性との出逢いによって希望の道を見出す過程を、60年代、80年代それぞれの姿を交錯させながら描いていく。


◆「ザ・ビーチ・ボーイズ」の軌跡と、ブライアンの人生が織りなすストーリー

有名ミュージシャンが創作のプレッシャーから薬物に手を出して......というストーリーはありがちだが、本作はその手の音楽映画とは全然違うのである。あんなにハッピーでキラキラした名曲を作り、自身も最初から最後までファルセットで歌える素晴らしい声の持ち主で、とにかく人間離れした才能に溢れたブライアン。そんな彼が身に起きるさまざまな出来事(父親やメンバーとの関係、セールス不振)で心が壊れていく様は、あまりに人間らしくて、何とも切ない。

その一方で、彼のきらめく才能が開花していくシーンが、ザ・ビーチ・ボーイズの曲とともにふんだんに織り込まれ、「あの曲はこうやって出来たんだ!」と興奮してしまう場面も。

80年代、ブライアンは自身を孤独から救ってくれる運命の相手に出逢う。惹かれ合う彼らの関係性も見どころのひとつ。

60年代のブライアンを演じたポール・ダノ、80年代を演じたジョン・キューザックの演技も素晴らしく、もちろん本作でブライアンの全てを理解できる訳ではないのだが、それでも少しは彼の本質に触れられたような気持ちに。ラストは何とも心憎い演出に涙がポロリ。今後、彼らの曲を聞くと、今までとは違って聞こえるはず。ハッピーな曲はよりハッピーに、切ない曲はより深みを持って。同じ曲がこんな風に違って聞こえるだけでも、本作を観る価値アリ。音楽ファンじゃなくても十分に楽しめる感動作。

『ラブ&マーシー 終わらないメロディー』
監督:ビル・ポーラッド
出演:ジョン・キューザック、ポール・ダノ、エリザベス・バンクス、ポール・ジアマッティ、ジェイク・アベル
8月1日(土)、角川シネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国ロードショー
(C)2015 Malibu Road, LLC. All rights reserved.
http://loveandmercy-movie.jp/


『セバスチャン・サルガド / 地球へのラブレター』

撮影旅行に同行したサルガドの息子のジュリアーノとヴェンダース監督が、偉大な写真家の足跡を解き明かしていく。

ブラジルに生まれ、ユージン・スミス賞をはじめ数多くの賞を受賞、世界の貧困や飢餓、厳しい労働を圧倒的な迫力で描写してきた世界的な報道写真家、セバスチャン・サルガド。モノクロを基調とし、人間の生と死といった根源的なテーマを扱い、いわゆる"記録写真"とは一線を画す、その崇高な作風から"神の眼を持つ写真家"と言われる彼の足跡を、『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』『Pina ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』等でドキュメンタリーの分野でも名作を生み続ける映画監督ヴィム・ヴェンダースが追う。本作では、これまでのサルガドの作品を振り返りながらも、2004年から地球上の最も美しい場所を探し求めたプロジェクト「Genesis(創世記)」をフィーチャー。地球上の最も美しい場所を探し求め、ガラパゴスやアラスカ、サハラ砂漠などで撮影を行い、圧巻の風景を写し出すサルガドの姿を捉えてゆく。

本作はアカデミー長編ドキュメンタリー部門にノミネートされたほか、2014年カンヌ映画祭ある視点部門特別賞とエキュメニカル審査員賞を受賞、世界中で絶賛の声が寄せられている。


◆サルガドとともに、魂の旅に出る

期待以上の感動だった。セバスチャン・サルガドをヴィム・ヴェンダースが撮るというだけで、どんな素晴らしい作品になるのだろうと胸が高鳴ったが、見終わった後はその写真・映像の前に打ちのめされ、ただひたすらの感動と、サルガドという愛の存在の余韻に浸っていた。

世界中の貧困問題と向き合い続けたサルガドが、今度はゾウアザラシや遊牧民たちを追う。本作を見れば世界中のカメラマンに影響を与えたサルガドがどうしてシャッターを切り続けるのか、どうして人々の心を打つ作品を撮ることができるのか、そして、サルガドはこれからどこへ行こうとしているのかを伺い知ることが出来る。

左は若かりし頃のサルガド(かっこいい!)。今の彼は妻レリアとの出逢いなくては誕生しなかった......。その理由は是非スクリーンで。2人の間に生まれたダウン症の次男ロドリゴくんも登場。

これまで私たちはサルガドの作品を見ることはできても、その写真を撮っているサルガド本人を見ることはできなかった。が、本作で捉えられたサルガドはとってもチャーミング。そして、時折見せるフォトグラファー・スピリッツに心が震える。まるでサルガドと一緒に魂の旅に出かけているような感動と至福のひととき。

『セバスチャン・サルガド / 地球へのラブレター』
監督:ヴィム・ヴェンダース
8月1日(土)、Bunkamuraル・シネマほかにて全国順次公開
(C)Sebastiao Salgado (C)Donata Wenders (C)Sara Rangel (C)Juliano Ribeiro Salgado
http://salgado-movie.com