1. トップ
  2. ライフスタイル
  3. 洗剤替え、靴整理…家事とはいえない「名もなき家事」で夫婦に溝?どう分担すべき?

洗剤替え、靴整理…家事とはいえない「名もなき家事」で夫婦に溝?どう分担すべき?

  • 2021.11.23
  • 340 views
「名もなき家事」がすれ違いの原因にも…
「名もなき家事」がすれ違いの原因にも…

「食器を洗う前に水に浸す」「シャンプーや洗剤を詰め替える」「玄関の靴をそろえる」――。

このような「掃除」「洗濯」などのいわゆる「家事」には該当しないものの、必ず付随している作業が「名もなき家事」と呼ばれ、話題になっています。「料理は妻、掃除は夫」などと家事を分担する夫婦も増えていますが、代表的な家事に分類しづらい「名もなき家事」は、ほとんどを妻が行っていたり、そもそも、夫が存在に気付いていなかったりして、妻の方が負担を感じるケースが少なくないようです。

ネット上では、「こまごました家事は全部私」「掃除はしてくれるけど、トイレットペーパーは補充してくれない」といった妻の不満から、「正直、家事と思っていなかった」などの夫のホンネまで、さまざまな声があります。夫婦が「名もなき家事」と上手に関わっていくには、どのようにすればよいのでしょうか。夫婦カウンセラーの木村泰之さんに聞きました。

“暗黙の了解”で妻の仕事に?

Q.「名もなき家事」の負担が夫婦の片方に集中することで、夫婦関係にすれ違いが生じるケースは多いのですか。

木村さん「『名もなき家事』は多岐にわたるので、負担に感じる人もいれば、苦にならない人もいます。性格的にきっちりしていたり、細かいことが気になったりするタイプで、『名もなき家事をしなければ気持ちが悪い』と思う人もいるでしょう。そう考えると、人によって捉え方が随分変わってきます。

私の相談者で、『名もなき家事』によるすれ違いが生じるケースはまれです。そうした家事がルーティンワークになっている実情に加え、夫婦間のすれ違いは、どちらかといえば、『家事』のすれ違いよりも『気持ち』のすれ違いの方が多いためだと思います。ただ、若い夫婦間だと、愛情を行動で感じ取る人も少なくありません。特に妊娠中や、仕事が遅くなって疲れているときに『少しは手伝ってくれてもいいのに』という思いが募ることで、すれ違いが発生するかもしれません」

Q.男性の家事参加が進んでいるものの、ネット上の意見などを見ると、「名もなき家事」の負担を多く被っているのは、夫より妻である印象を受けます。

木村さん「『名もなき家事』は多岐にわたりますが、そのほとんどが家の中で発生することです。さまざまなボトルの詰め替え作業や、トイレットペーパーやティッシュ箱の交換、食器を元の位置に戻す、冷蔵庫の整理、宅配の再配達のために早く帰宅するなど、とにかく、家のどこかで発生することが占めます。

専業主婦の場合は、家にいる時間が夫より長いケースが多く、妻が負担する場合が多いでしょう。また、結婚当初は共働きの夫婦も、出産や育児などで『夫は外、妻は家』となるケースが多いので、家事の分担量は自然と妻の方が増えていきます。そうなると、『名もなき家事』も暗黙の了解で妻の仕事になりがちです。

すると、夫は『名もなき家事』を、自分の知らないところで行われていることと捉えます。実際は、夫が家にいるときにも発生していますが、気に留めていないのです。夫は『名もなき家事』について、『ストレスや負担はあまりない』と考えているはずです。

仮に、名もなき家事とはどういうものか説明されても、日々の生活で忘れてしまったり、やったとしても雑にやってしまったりします。そして結果的に、妻の方が圧倒的に『名もなき家事』をしているのが実態なのです」

良好な夫婦関係のための家事分担は?

Q.夫婦関係を良好に維持する、もしくは向上させるための「家事分担」の形・方法とは。

木村さん「ある程度具体的に、夫の分担する項目を決めて表にしておくことをお勧めします。口だけで言っても夫はすぐに忘れたり、逆に妻の方がついやってしまったりしてあまり効果的ではないので、夫婦間の『名もなき家事』を『一つの共同作業』にするために紙に書き出しておき、実際に家事をしながら適宜調整しましょう。

例えば、夫に『ティッシュ箱の交換』をやってもらおうとしたものの、空き箱をつぶすのが下手で、結局は妻の仕事が増えるということがあるかもしれません。そんなときは『トイレットペーパーの交換』に変更するなど、実際に『名もなき家事』の項目を2人で行いながら、継続性のある分担にすることが大事です」

Q.「名もなき家事」の偏った負担や、それが相手に伝わらないストレスによって、日々不満をためている人は多いようです。

木村さん「『名もなき家事』の偏った負担は、諦めから来ている場合もあります。『どうせ言ってもやってくれない』『言ってもすぐに忘れる』など『頼んで嫌な思いをするなら、自分でやった方が楽』というような気持ちです。そうならないためには、『分かってほしい』ではなく『これをやってほしい』と具体的に伝えることです。

『私がどれだけ大変か分かっていないでしょう』と訴えると、それに対して『こっちだって大変なんだ、仕事関係のストレスは分からないくせに』などと返事され、ますます関係が悪化します。そうではなく、『○○はやるけど、時間がないから□□はやって。そしたら、部屋がいつもきれいに保てるから』『これは私にできるけど、あれは苦手だからやってほしい』と、理由や効果を含めて建設的な話をすると夫婦の協力的な関係が築けます」

Q.家事に起因する夫婦間のすれ違いやトラブルを防ぐため、日常的に求められる夫側・妻側それぞれの意識や行動とは。

木村さん「まず、妻側は夫の承認欲求をうまく使うことです。男というものは、何かにつけて認めてもらいたい生き物です。それは上司が相手でも、妻が相手でも同じです。『名もなき家事』でも『あなたにやってもらって本当に助かった』『ありがとう、私が苦手なことをしてくれるからありがたい』と感謝の言葉を伝えると、男性はどこかで『認めてもらっている』という意識が働き、『手伝うと喜んでくれる。またやろう』と考えるものです。

また、夫側は『妻は共感を得たい』のだと理解することです。妻に『私が大変だと分かってさえくれたらいい』と言われても、その真意にピンと来ずに『いや、君の気持ちはよく分かっている』とだけ答えると、結局は『分かっていない』と返されてしまいがちです。そこから一歩踏み込んで『俺はこれをやるから』と動き、妻が行動を求めていると察することが必要です。相手の求めている心理を読んだ上で、言葉や態度や行動を起こせば、トラブルを大幅に防ぐことができるはずです」

オトナンサー編集部

元記事で読む
の記事をもっとみる