1. トップ
  2. 恋愛
  3. 気候変動がメンタルヘルスにも影響…「エコ不安症」の対処法

気候変動がメンタルヘルスにも影響…「エコ不安症」の対処法

  • 2021.11.22
  • 308 views

この夏、「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が作成した地球の未来に関する報告書に対し、国連事務総長のアントニオ・グテーレス氏は、「これは人類に対する厳戒警報」だとする声明を発表しました。

ただちに思い切った行動を起こさないと今後20年の間に地球の気温が1.5℃上昇することは避けられず、そうなれば、気候や食糧供給、健康に取り返しのつかない影響が及ぶというのが、専門家の見方。

<サイエンス誌>に掲載された研究によると、若い世代は未曾有の規模の自然災害に見舞われる可能性が高く、人類が耐えうる範囲を超えると言われています。

こうした事態に不安や恐怖を覚える状態を「エコ不安症(気候不安症)」と呼び、多くの人々に広がっている現象だと語るのは、環境問題に関わるセラピーを専門とする心理学者のトーマス・ドハーティーさん。

本記事では、ドハーティーさんとハーバード大学メディカル・スクールの心理学准教授デイヴィッド・H・ロスマリン博士を<プリベンション>が取材。エコ不安症との向き合い方や対処法をご紹介します。

今に集中する

ロスマリン博士によれば、人類が危機的な状況に陥るリスクがあるというのは、今すぐの話ではなく、長期的な見通し。

IPCCによる報告書に切迫感があるのは、世界中のリーダーにアクションを起こすよう、強く呼びかける意図があるから。決して「世界の終わりに備えて」というメッセージではないことは覚えておきたいところ。

「最悪のシナリオでも、気候変動が転換点を迎えるのは20年先。安心できる事態とは言えないまでも、何らかの対処ができるだけの時間はあるはず。あと数年のうちに地球が崩壊するような切迫した不安を覚えているとしたら、立ち止まってみましょう」-ロスマリン博士

長期的なリスクに対して合理的な行動をとるのは問題ないけれど、不安にとりつかれているのは、生産的ではない状態。

そういうときは、散歩に出たり、思ったことを書きつけたり、自分が落ち着くことをしたりして、今に目を向けるようにすることが大切なんだそう。起きうる悪い事態ばかり考えても問題は変わらないし、ますます不安になるだけだとロスマリン博士は説明します。

もっとも、実際に気候変動による影響の中で生きている人や、将来への不安から子どもを持つことを断念する人がいるのも事実。それでも、漠然とした、どうしようもないエコ不安症にさいなまれているなら、現在に焦点を置く努力は有効だそう。

不安とは共存できると知る

ドハーティーさんによると「不安は、正常で健康的な感情」なのだとか。

不安とは「不確かさに包まれた恐怖」で、脅威となりうる状況に直面したときに生じ、身を守る必要があるのかどうか、踏み込んで確認することを促す感情とのこと。

「気候変動や気候崩壊には非常に多くの潜在的な脅威があるので、それに対して不安を覚えるのは正常なことです」(ドハーティーさん)

とはいえ、他の長期にわたるストレス要因と同様、気候変動によって不安を引き起こされても生きていけるし、うまくやっていくことも可能だとロスマリン博士は解説。そうした不安があるからといって、人生を支配されることはないそう。

環境問題についての不安を追い払うのではなく、その不安と向き合い、生活の中で気候変動に対処できることを探してみるのが◎。そうすれば、ポジティブな方向に向かえるはず。

他の感情にも目を向ける

環境問題について考えると、悲しくなったり、恐くなったりしやすいけれど、エコ不安症は本来、この世界への愛情から生まれているもの。ドハーティーさんが勧めているのは、すべての感情に目を向けた上で、環境にも配慮すること。そうすれば、いくつかの感情のみにとらわれないようになるのだとか。

「あらゆる感情を意識するようになれば、不安に対処する力が生まれてきます」「そこには、希望、好奇心、エンパワーメント、共感などがあることに気づくのです。多様な感情が動き出せば、不安も緩和されるでしょう」(ドハーティーさん)

これは他の不安にも適用可能ではあるものの、特にエコ不安症に当てはまる対処法。自然への愛情をとり戻し、屋外に出るようになれば、メンタルヘルスへのメリットも。

環境問題について自分なりの考えを持つ

「気候変動の問題を探求し、環境問題についてのアイデンティティを持つことが大切」だと話す、ドハーティーさん。

自分の価値観や自然との関わり方、生き方、リサーチに基づいた、“自分なりの考え方”を持っていれば、不安をずっと制御しやすくなり、個人的な成長にもつながるとのこと。

困ったときは助けを求める

愛する人や家族や専門家など、信頼する人に胸の内を明かすのは、誰にとっても大切。

ロスマリン博士によれば、不安を打ち明けることで相手との絆が強化され、より幸せで充実した人生を送ることができるそう。また、思いを言葉にすることは、自分自身の理解にもつながるのだとか。

「他の問題について考えられなくなった人々は、不安障害を発症しやすくなります」「不安な気持ちを抑えられない、心配するのを止められないと感じているなら、メンタルヘルスの専門家と話してみる価値はあるでしょう」(ロスマリン博士)

※この翻訳は抄訳です。

Translation : mayuko akimoto

Prevention

元記事で読む
の記事をもっとみる