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【フランスからの報告】世界的人気の塗り絵ブーム、発祥はフランスだった!

  • 2021.11.22
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ここ数年、人気が高まっている「大人の塗り絵」。毎年10万部が世界で販売されている。
その発端は、2012年にフランスのアシェット社が作った「アンチ・ストレス。塗り絵100」。

日本でも「大人の塗り絵」は、ブームを超えて一ジャンルとして定着している。
ただ謳われている目的は少し違って、日本は「脳の活性化」がメイン。そのため高齢者に愛好者が多い。
一方、フランスは、もっぱら「アンチ・ストレス」や「リラクゼーション」のため。
仕事&子育てに忙しい30〜40代の女性達に人気がある。

今回はその「大人の塗り絵」の効果、そして、それとはまったく異なる「子どもにとっての塗り絵の効能」についてリポートします。

第34回 大人と子どもでは違う「塗り絵」の効能

「大人の塗り絵」効果
2012年にフランスで発刊されたアシェット社の「アンチ・ストレス 塗り絵100」。「フィガロ」や「エル」など多くの女性誌で取り上げられたこともあり、まずはパリで働く女性達の間で話題となり、徐々に全国に浸透。その後、エルメスが高級「大人の塗り絵」本を発売。スカーフのモチーフを自分の好みで色づけできる楽しみが脚光を浴びたこともあり、世界中に「大人の塗り絵」人気が広まっていった。

大人が塗り絵をすると、どんな効果があるか。フランスで言われているのは

1)「リラクゼーション」
集中し、創造神経を刺激することで、人はリラックスできる。

2)「オン&オフ効果=瞑想と同じ効果」
その間だけ日常から別の小さな世界にワープでき、雑多なことから気持ちを離れさせられたり、遠ざかること、また後ろに一歩、退き、直面している問題や悩みを客観視することができる。
これらは瞑想と同じ効果。「瞑想は慣れや訓練が必要で少し難しい」と言う人が多いが、塗り絵に訓練は不要。その気軽さが最大の利点。

3)「集中力&忍耐力のアップ」
短時間、別の作業に没頭することで、その後の仕事に集中しやすくなる。
また忍耐力&持続性も増す。

本の購入も不要。無料ダウンロードで、すぐに試せる

特にアンチ・ストレスに効果ありと人気なのが「マンダラ」模様。
なぜマンダラがいいのか、その理由は「対称性やリズム、透明性が心地よさを与え、精神的な絡まりをゆっくりと解いていってくれる」など、様々。

無料でダウンロードできるサイトも多いので、「本当かな?」と気軽に試してみてもいいかもしれない。

子どもへの「塗り絵」の効能
スーパーにも幼児用(2〜6歳)の塗り絵が数多く売られている。高速道路のサービスエリアにも多く、バカンス中、車の中やキャンプ場で塗り絵をさせる親が多い。

「子どもの塗り絵」は、楽しみながら、遊び感覚で、様々なことを身につけさせてくれるとフランスでは強く推奨されている。

1)身体機能トレーニング
肩・腕・手首・指先までの各部位の繋がりが、幼児はまだバラバラ。滑らかに連動させることができない。
それを「運動」ではなく卓上で、クレヨンやペンを使い、疲れや迅速さを問われることなく、遊びながら訓練できる。

2)目と手の連動トレーニング
手の動きのために目を使う。これも幼児には不慣れなこと。その連動性に塗り絵で慣れていくことができる。

3)指の細かな運動技能
クレヨンやペンを「震えなしに強く握る」ことや「常に同じ強さで扱える」ことを字を書く前にできるようになっておくと、文字学習が始まる際、書く作業は自然にでき、それに神経を使わずに済む。字を覚えることだけに集中できるので、スムーズに文字学習を進めることができる。

4)自信
1枚の絵を「仕上げる」ことで達成感を得られたり、自分への自信が宿る。

5)「ルールを守る」大切さを身につけられる
はみ出さないことなどに気を配ることにより、ルールを守り、勝手さ&わがままさを減少できる。また字をノートの線に沿って書けるようにもなりやすい。

6)創造性&意欲を育む
自分の好きなものを描くことよりも先に塗り絵をさせることで、「自分だったら何を描きたいか」という想像&創造が生じ、「意欲」につながる。

7)集中力

8)知識
色の種類を自然と知る。
また絵により、例えば動物や花、車の種類。山、海、太陽、雨など自然について。中世の城や教会など歴史的なことにも目で触れることにより知識を増やし、世界を広げていける。

9)計画性
どこから塗っていこう。どの色を使っていこう。空の色と家の壁の色を同じにしないようにしよう、など計画性を
育める。

9)テレビやタブレットなどから離れる時間をつくれる

10)お金がかからない
クレヨンや色えんぴつ、ペンさえあればOK。塗り絵の本がなくても、無料ダウンロードのサイトは多種多様。プリンターがない場合は、サイトの絵を大人が写し描いてあげればいい。

小学校での「塗り絵」活用法

フランスの小学校での授業は、個別方式。
ワークブックやプリントに各自、取り組み、できると先生に見せに行き、理解できていない部分を確認。できるようになるまでやり直し続ける……という方法が多く、そのため、授業内の学習速度は個人によりバラバラ。
早く終わった子は時間を持て余すことも多い。

そのために教室には読書やパズルをできる多目的スペースも設けられていて、静かに一人で遊べば着席していなくてもいいようになっている。
なかでも子ども達が好きなのが「塗り絵ファイル」。
塗り絵のプリントがファイルされていて、好きなものを選んで自分の席や、多目的スペース・デスクで塗り絵で余った時間を過ごす子どもが多い。

その塗り絵プリントには、文字や言葉、算数を覚えさせるものも多く「結局、勉強を早く終えられる子は、遊びでも学習能力を伸ばしていけるのだな」とも感心させられる。

このように削ると色が出てくるようなタイプもあって、大人にも子どもにも人気。また子どもには、寝る前に塗った1枚を壁や天井に貼ると、それが真っ暗な中で光るものもあり、就寝前の精神安定に愛用している親もいる。

いかがでしたか?
「たかが塗り絵」的に思っていた私は、子どもの塗り絵に外遊びと同じくらい身体の機能発達効果までがあるとは知らず、ちょっと驚きでした。

また、子どもが塗り絵をしている間、親も大人用の塗り絵をすれば、子どもも「一緒の時間を楽しんでいる」共有感のようなものを得られ、ますます精神的に安らげるかも?
お天気の悪い日など、塗り絵ブックがなくても、子ども用と大人用、1枚ずつダウンロードして一緒に塗り絵を楽しんでみても「芸術の秋」風でいいかもしれませんね

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