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“正しさを問われ続ける地獄”を描いた怪作!? 朝井リョウの著書「正欲」を読み解く

  • 2021.11.20
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TOKYO FMの新音声サービス「AuDee(オーディー)」にて配信中の番組「山田玲司とバグラビッツ」。漫画家・山田玲司と俳優・伊澤恵美子が、カルチャーやニュースをもとに“恋愛”を分析していくトーク番組です。10月31日(日)の配信では、朝井リョウの最新作「正欲」(新潮社)について分析しました。

「山田玲司とバグラビッツ」

◆朝井リョウ最新作「正欲」に迫る

前回に引き続き、作家・朝井リョウの作品を2人が分析。直木賞史上初の平成生まれの受賞者である朝井。最新作の「正欲」では、作品のあらすじがないことで話題を呼びました。

伊澤:普通だったら「この小説はこういう話です」って概要を書くじゃないですか。そういうのが一切書かれていないんですけど、流石にネタバレしないことには進行ができないので(笑)。ぜひ、作品を読んでほしいなあ。すごい勢いで読めると思う。たとえがわかりやすいし、テレビを観ている人に伝わりやすい文章なんですよね。テレビを観て育った世代の人たちにとって、共通言語がすごく多い本です。その部分があるから読みやすいのかな。

山田:この作品、冒頭で「児童ポルノで摘発された3人の人間」に関するニュースが入るところから物語が始まるんですよね。これって世の中の人たちの「こういう事件があった」っていう距離感というか、一番遠いところからの情報が書かれているんです。

そこから、実際のところはどうだったのかということが描かれていく。言ってしまえばセミ・ドキュメンタリータッチですよね。児童ポルノ摘発という真相を探っていくうちに、ヤバいところに到達していく。それが「正欲」のコンセプトになっています。

(左から)伊澤恵美子、山田玲司

◆異端扱いを受ける人々を描き続ける作家

朝井リョウは“同調圧力”をテーマに作品を書き続けていると山田は分析します。

山田:同調圧力の一番深いところに“性”があると思うんですよ。「男はこういうふうに女に欲情する」「女は男に恋をする」とか、そういった定番と言われるようなものから外れる者は異端とされるっていうね。(朝井は)その問題と戦っている人だと思います。息苦しさとか地獄みたいなものに共感した人はたくさんいるんじゃないかな。

伊澤:うんうん。

山田:いかに真ん中の正しい欲、「正欲」に行けるのかを問われ続ける地獄があるんですよね。そんななかで、作中では「明日死にたいんだよ」って自殺の準備をしていた男が出てくる。こいつが、ある登場人物の救世主になっていくって話じゃないですか。同じような感覚を持った人と奇跡的に出会えた話。冒頭で出るニュースっておぞましいものなんだけど、ひっくり返していくと、非常に“聖なるもの”が垣間見えてくるんですよね。

次回の11月7日(日)配信分は、Netflixオリジナルアニメ「アグレッシブ烈子」について分析します。

<番組概要>

番組名:山田玲司とバグラビッツ

配信日時:日曜22:00配信

パーソナリティ:山田玲司、伊澤恵美子

番組Webサイト: https://audee.jp/program/show/100000214

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