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西野七瀬、2021年の飛躍 『言霊荘』『孤狼の血』など多様なジャンルに適応する俳優に

  • 2021.11.20
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『言霊荘』(c)テレビ朝日

俳優として活躍を見せている乃木坂46卒業生の1人・西野七瀬。現在、テレビ朝日×ABEMA共同制作ドラマ『言霊荘』で主演を務め、そのホラー演技が絶賛されている。そこで西野の卒業後の活躍を振り返りつつ、『言霊荘』での演技を掘り下げてみたい。

乃木坂46時代から、映画『あさひなぐ』やドラマ『電影少女 -VIDEO GIRL AI 2018-』(テレビ東京ほか)で主演を務めるなど俳優経験が豊富だった西野。グループ卒業直後の2019年にドラマBiz『よつば銀行 原島浩美がモノ申す!~この女に賭けろ~』(テレビ東京系)の銀行員役で卒業後初の連続ドラマレギュラー出演。西野は控えめな性格のイメージだが、実は負けず嫌いの性格であることも語ってきた。今作ではそんなキャラとも合致した演技を見せたことで、役者としての新たな方向性が垣間見えたような作品となっていた。

そして同年に俳優として注目を集めた作品が『あなたの番です』(日本テレビ系)での黒島沙和役。当初は主人公とともに事件解明に立ち向かうヒロイン的な立ち位置だったが、実は連続殺人を楽しむ黒幕という重要な役となった。清純派のイメージだからこそ、相手に死を選択させるときのニヤつきながら淡々と迫る演技やギャップの怖さで魅せていく。そして、自分はいつ死んでもいいという思いが、アイドル時代から変わらぬ西野が持つ儚さと重なり、例え殺人鬼だとしても魅力的なキャラクターに映り、俳優・西野七瀬を世間にアピールできた作品となった。

今年は新たな役に挑戦する怒涛の出演ラッシュで、『ホットママ』(Amazon Prime Video)では仕事と育児に奮闘するママ役で喜怒哀楽を巧みに表現。一方、『ハコヅメ~たたかう!交番女子~』(日本テレビ系)では新選組オタクの新任刑事役でコメディ作品との相性の良さを示した。

一方、映画『孤狼の血 LEVEL2』では、金髪のスナックのママ役で、親密な関係の刑事と暴力団に潜入している弟の狭間でゆれ動く難しい役を演じた。相手に悲しみや怒りをぶつける時の、ふつふつと感情が高まっていく台詞回しなど、キャラクター性ではなく演技力が問われた役を経験。9月5日放送の『情熱大陸』(TBS系)で特集された際に、『孤狼の血』の現場で台詞の間に悩む西野に対し、共演者の松坂桃李が「舞台やると慣れるよね」とアドバイスをしていたが、後に演劇界をリードする劇団☆新感線41周年春興行に出演するなど、着々と役者経験を積んでいる。そんな絶妙なタイミングで主演を務めているのが『言霊荘』となる。

「言霊」により女性限定マンションの住人女性たちが“人ならざる者”に翻弄されていく様が描かれるホラー作品『言霊荘』。西野演じる歌川言葉(コトハ)は、言葉の力を信じ、人々の幸せを願う、夢見がちで天真爛漫な天然女子だ。『歌川コトハの引き寄せチャンネル』を通して「前向きな言葉は幸せを運びます」などと啓蒙活動を続ける底辺ViewTuberでもある。友人・紗香(三吉彩花)の紹介でレディスコート葉鳥の新たな住人となってから、マンションで言葉にしたことが実現する怪奇現象が次々と起こり、第5話で、レイシ(永山絢斗)の叔母である女性宮司・トシマ(斉藤由貴)によって除霊が成功したと思われたところまでが第1章。第2章では、新しく引っ越してきた住人が封印を解いてしまい、言霊の真相究明にコトハが再び動き出している。

西野は本作では、当初は明るく、好奇心旺盛の女子として等身大の演技を見せ、大げさにならない恐怖に慄く顔や、不可解な現象に見せる素直なリアクションの演技なども、感情が先走らずに、視聴者と共に恐怖を体感していくホラー作品主人公ならではの演技を見せる。そうした演技が序盤の不気味な雰囲気とマッチし、作品の怖さに拍車をかける存在となった。『あなたの番です』もそうだが、この演技力がホラー作品に西野がマッチする一つの理由だろう。

一方レイジだけにはあたりが強く、「逃げんじゃねーよ」「タラタラしてんじゃねぇよ、ちゃっちゃっとやれよ」と、ある意味西野が乃木坂時代のバラエティでも得意としている“ドSモード”が発動したときの絶妙なかけあいが、ドラマに緊張と緩和を生み出し、視聴者の心を掴んでいる。これまでの経験が存分に活かされた形だ。

ただ、第2章になると、悪霊がコトハに「全部あなたのせい」と囁いたことや、紗香の霊に「生き延びてね」と言われたことで自己嫌悪に陥ったのか、シリアスなモードに切り替わった演技が艶っぽさとして表情に現れるなど、佳境に向かって徐々に感情の変化を見せている。第7話の予告を見る限り、西野史上一番の狂気の演技を見せているのも楽しみであり、今後の演技のさらなる変化として期待が持てる。

等身大の演技、コミカルなやりとり、そしてシリアスな演技など、コトハ役は今年経験した様々な作品の演技の集大成となる作品ではないかと、これまでを振り返ってみて改めて思う。乃木坂46を卒業してから3年、確実に演技の引き出しが増え、かけ合いの間の取り方の成長が伺える西野。唯一無二の俳優への一歩を踏み出している。 (本 手)

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