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ゴルフの「QT」ってどんな試合?来季の出場権をかけたシビアな戦いに注目!

  • 2021.11.17
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間もなく最終戦という頃になると、賞金王・女王争いが繰り広げられている表舞台のその裏側で、来季の出場権をかけた熱戦が行われていることをご存知でしょうか。今回は、そんなクォリファイングトーナメント(QT)についてのお話です! 普段あまりトーナメント観戦をしない方であれば「QTって聞いたことはあるけど、どんな試合で誰が出ているのかわからない」という方も多いと思います。シビアな戦いの全貌を解説します!

華やかな賞金王、女王争いの裏側で

男子ツアーの最終戦であるゴルフ日本シリーズJTカップ。その出場選手は、大会が定める出場優先順位の上位30名。女子の最終戦であるJLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップは、上位40名と決まっています。普段の大会が100名前後、夏場にいたっては120名以上が出場することを考えると、その人数の少なさがよくわかると思います。

では、その大会に出ていない選手達はどこにいるのか。来季のシード権を獲得できた選手達はいち早くオフシーズンに突入ということになりますが、残念ながら獲得できなかった選手は来季の出場権を得るためにクォリファイングトーナメントに挑みます。華やかな舞台のその裏側で、今まだ熱い戦いが繰り広げられているのです。

クォリファイングトーナメント(Qualifying Tournament:以下QT)とは、来季ツアーの出場権の優先順位を決めるための大会です。

プロテストがすべての日程を終える頃、QTは佳境を迎えます。ここでまず注意することは、プロテストとQTは全くの別物ということ。プロテストとは特定の協会が与えるプロゴルファーという資格の試験とでも言ったら良いでしょうか。女子の場合は一般社団法人日本女子プロゴルフ協会、男子の場合は公益社団法人日本プロゴルフ協会が行っていて、プロテストとはその協会の会員になるための試験のことです。

QTは、女子の場合は日本女子プロゴルフ協会が行っていますが、男子の場合は一般社団法人日本ゴルフツアー機構が行っています。つまり、プロテストに合格したからといって、すぐにツアーに参戦できるというわけではありません。

大会にはそれぞれ出場資格が決まっています。前年優勝者、シード保持者、主催者が推薦する者など、様々な出場資格があり優先順位も決まっています。そして、その優先順位の最後にQTランキング上位の者が来ます。成績順に出場権が付与されるため、QTにおいて好成績を収めることによってより多くの大会に出場できるようになり、順位が低ければそれだけ出場できる大会が少なくなる、もしくは無くなるということになります。

サードQTにコマを進めた石川航(写真は8月)(撮影:ALBA .Net 岩本芳弘)

QTの仕組み

QTは男女ともにファーストステージから始まり、男子の場合はファイナルステージまでの4ステージ、女子の場合は2ステージを戦います。ステージ毎に出場資格が決まっていて、前年の成績などによってセカンドから戦う選手もいれば、いきなりファイナルからという選手もいます。

1ステージは18ホール×4日間の全72ホール。ファイナルステージだけはひとつの会場で行われますが、その他のステージは日本各地で行われ、それぞれの会場で上位に入った者が次のステージに進むことができます。何位までに入れば次に進めるのかは出場人数によって変わるので、開催前に発表されることになっています。

出場優先順位を決めるためのものなので、出場した選手一人一人に順位が割り振られます。誰かと誰かが同じ順位になるということはありません。

男子の場合はファーストステージの上位者以上、女子はほぼ全ての出場選手に順位がつくことになります。最終的に同スコアであった場合は、最終日のスコア→3日目のスコアの良い方→2日目のスコアの良い方…と辿って行くことで、その順位を決めます。

出場できるかどうかは大会によって

順位が決まったからと言って、どの大会に出られるかがすぐにわかるわけではありません。例年の出場順位からある程度の予測をつけることはできますが、よほどの上位者でない限り開幕戦からというわけにはいきません。それぞれの大会の出場人数によっても大きく左右されます。

出場資格のある選手が、大会が始まる直前に棄権すれば急遽権利が降りて来る場合もあり、大会初日の全組がスタートを終えるまで出場できるかどうかわかりません。権利が降りて来るのを待つ選手が、開催コースで待機している姿は、多くの大会で見ることができます。

何日もかけて勝ち取ったQTの上位ランキングも、決まった時期が来るとそれまでに稼いだ賞金額(女子はメルセデスポイント)によって新たに順位付けされます。これをリランキングと言い、リランキング時までに出場した大会で活躍すれば優先順位が上がり、より多くの大会に出場できるようになるというわけです。

今、ツアーで活躍しているプロのほとんどが通って来た道であるクォリファイングトーナメント。シードを獲った選手が「もうあそこには戻りたくない」と言うそれも、いよいよ大詰めです。ツアーとは違った緊張感の中、ひとつでも良い順位を獲得するために、今まさに熱い火蓋が切られようとしています。

◆おだみなプロフィール

おだみな/元プロキャディ。男子、女子両ツアーで活動し、宮里藍プロのデビュー年からアメリカ本格参戦までの専属キャディとして転戦。現在は二児の母をしながら、近所のゴルフ場でハウスキャディとしてアルバイト中。学生時代に家族の影響でゴルフを始め、ゴルフ歴だけは長いがスコアはイマイチ。

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