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SDGs、お取り寄せ、郊外へ移住…“衣食住のトレンド”から2021年を振り返る

  • 2021.11.10
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家で過ごす時間が多かった2021年。私たちの生活はどのように変化したのか。衣・食・住に美容&健康という身近な観点からトレンドを読み解き、振り返ります。

未曽有の事態から新しい楽しみが誕生!

2021年はどんな年だったかと聞かれたら、ほぼすべての日本人が“コロナ”という言葉を思い浮かべるはず。お話を伺った事業構想大学院大学学長の田中里沙さん、明治大学政治経済学部准教授の飯田泰之さん、エッセイストの犬山紙子さんも、そろって新型コロナウイルスのインパクトを、2021年一番のトピックに挙げた。

「いつもは年始にその一年の計画を立てると思いますが、今年はそれができませんでした。親しい人に会えない、遠くへ出かけることができないなど、思い通りにならないことばかり。そんな中、外出できないことで増えた時間を使って何かを始めようとした人も多い年でした。実際に本学でも、入学希望者が大幅に増えたんです。特に地域活性化やSDGsなど、社会課題に目を向ける院生が増えました」(田中さん)

一方飯田さんは、パンデミックをきっかけに浮き彫りになった“意見の相違”が、今年は印象的だったそう。

「“もっと自粛したほうがいい”という声に対して“そこまで我慢しなくていい”という人がいたり、ワクチンにも様々な意見があったり。大変な時期だから一致団結して解決策を探ったほうがいいと分かっていても、議論ばかりを戦わせてしまう状況に。来年はコロナが沈静化するだろうし、意見の対立も落ち着くことを願っています。また、逆境を乗り越え、新たに生まれたビジネスも要チェック。たとえば人気の出張シェフが、解禁になったホームパーティやBBQで大活躍するのでは、などと予測して楽しみにしています」(飯田さん)

「2021年は心も体も内に籠もる年でした。その分、部屋を過ごしやすく模様替えしたり、ベランピングみたいな新しい楽しみが生まれるなど、おうち生活を豊かにする側面もあったと思います。来年こそはパンデミックが落ち着いて、もっとワクワクすることが増えるはず。我慢していたメイクに気合を入れたり、出番のなかったおしゃれ着を満喫したり。心も体もハッピーな年になることを期待しています」(犬山さん)

【FOOD】家での食事を楽しく美味しくするお取り寄せや食材店に熱視線!

外食する機会が減ってしまった分、おうちごはんを充実させようとあの手この手のサービスが登場。

「自炊が辛くてウーバーイーツがないと生きていけない! なんて人が増えましたね。あとは、バラエティ豊富な冷凍食品をお取り寄せできるサービス『旬をすぐに』もおすすめ。国産の食材を使い、安心安全な食を目指しているそうです。ほかにもイタリアの珍しい食材を扱う『イータリー』も店舗が増え、輸入食品のお店『カルディ』が再注目されるなど、おうちごはんにまつわるものが人気でした」(犬山さん)

一方ダメージが目立った外食産業でも、一部で新しい営業形態を模索する動きが。

「私が注目しているのは、今までのお客さんが離れてしまった夜のお店です。地方の小都市に住む私の知人は、潰れてしまったスナックを買い取って、メニューやサービスを一新。ターゲットを今までの男性客から女性客に変えて再スタートをしたそうです。女性が気軽に飲みに行けるお店がまだまだ少ない地域もあるので、早速注目されています。そのうち都内でも、これまでにないターゲットに着目した夜のお店が出てくるかもしれません」(飯田さん)

【LIFE STYLE】お部屋緑化計画がトレンド。郊外へ移住する動きも。

インテリアは、居心地のよさをアップさせるアイテムが人気に。

「不安を癒したい、増えたおうち時間を快適にしたいと、家に緑を置くのが流行りました。みんな、少しでも自然に触れたいという気持ちがあったのでしょうね。雑草栽培キットなるものまで登場したんですよ。私も観葉植物を増やしました。あとは快適な椅子や寝具も居心地よい住まい作りを受けて人気でしたね」(犬山さん)

住まいそのものについては、都心を離れて郊外へ移る動きが。

「満員電車の辛さや通勤時間のムダに気づき、自然豊かな地方に移住する人も増えました。地域活性化プロジェクトでは、若手人材の参画によって賑わいが。新しい教育を目指す学校が地域にできて、子育て世代の移住者も目立ちます」(田中さん)

「近年は仙台や広島など地方の大都市が人気でしたが、最近では、もう少し規模の小さい都市部の人気が上昇中。県庁所在地や地域の中心都市は繁華街がひとつある感じで、東京より居心地のよいサイズ感だと言う人も。小さすぎる街だと女性の働き口など受け皿がなかったりするのですが、その点でも中規模都市への注目は高まるでしょう」(飯田さん)

【FASHION】トップスコンシャスな服でオンライン映えを意識。

2021年は、ファッショニスタにとって受難の年。おしゃれをして出かける機会が激減した。

「近所にお出かけするとき、バッタリ誰かに会っても見苦しくない動きやすい服、という意味で“3(スリー)マイルウェア”なるものが流行りましたね。フォーマルな服を着る機会はないけど、可愛いリラックスウェアは、家にいても気分を盛り上げるアイテムとして人気だったようです」(田中さん)

「オンライン会議対策に、トップスコンシャスな服がトレンドに。可愛い襟の服や、取り外しできる付け襟、パフスリーブなど袖に特徴のある服が売れていたようです。あと今年は、SDGs意識の高まりが顕著だったことも象徴的。アパレル業界は、全産業の中で二酸化炭素排出量が第2位。なので、いかに環境によい業界へとシフトしていくかが問われているのです。消費者の間にも、SDGsに力を入れているブランドを応援する人が増えているとか。そういった背景があり、サステナブルな服作りをする『GANNI』が人気で、メルカリの9月の月間利用者数は2000万人超え。世界中から集めた古着を扱う『DEPT』をはじめ、古着も再流行していると感じます」(犬山さん)

【BEAUTY&HEALTH】目元を強調するメイクやお部屋エクササイズが話題に。

今年流行ったコスメといえば、カラーアイライナーや眉ものなど。ヘルスケアの面では“おうちジム”なる言葉も浸透した。

「2020年はマスク不足でしたが、今年はマスクのバリエーションが増えましたね。顔の下半分が隠れるので、メイクは目元中心。マスクの下は肌が荒れてしまって困る、という声も多かったです。コスメ業界はリップが不調だけど、敏感肌用スキンケアの需要が伸びたそうです」(田中さん)

「通勤が減ったしお出かけしないし、運動は不足しますよね。自宅用のエアロバイクやトランポリンなど、家の中での運動が流行るのも当然です。あとは、ダイエット記録アプリ『あすけん』も話題でした。クイズ王・古川洋平さんがこのアプリやリングフィットなどを利用して、48kgの減量に成功したそうです。あとは、コロナ疲れの影響でメンタルヘルスへの関心も高まりました。“ご自愛”や“マインドフルネス”“ボディポジティブ”という言葉もトレンドに。ボディポジティブは体のことですが、欠点ごとありのままの自分を受け入れよう、自分をもっと大切にしようというムードが高まったのは、今年の大きな成果だと思います!」(犬山さん)

田中里沙さん 事業構想大学院大学学長。広告会社勤務後、広告・マーケティングの専門雑誌『宣伝会議』編集長に。「クールビズ」「2020エンブレム」など国や地域の審議会委員のほか、情報番組コメンテーター等も務める。2016年より現職。

飯田泰之さん 明治大学政治経済学部准教授。総務省の「自治体戦略2040構想研究会」に参加したり、政府政策会議の委員を務めるほか、報道番組のコメンテーターとしても活躍。『日本史に学ぶマネーの論理』(PHP研究所)など著書多数。

犬山紙子さん エッセイスト。本誌にて「SanPaKuちゃんのわがまま気まま愛のRoom」を連載中。コメンテーターとしても活躍。著書に『すべての夫婦には問題があり、すべての問題には解決策がある』(扶桑社)。

※『anan』2021年11月17日号より。イラスト・黒猫まな子 取材、文・風間裕美子

(by anan編集部)

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