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茶わん蒸しやプリンの“大敵”?調理中に入ってしまう「す」って何?専門家に聞く

  • 2021.11.10
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プリンや茶わん蒸しの「す」とは?
プリンや茶わん蒸しの「す」とは?

茶わん蒸しやプリンは家庭で作る機会も多い、卵を使った蒸し物料理の代表格ですが、これらを作るときに最も気を付けないといけないのが「す」の存在です。

ネット上では「プリンのレシピには必ず、『す』のことが書いてあるよね」「家で茶わん蒸しを作るたびに『す』が入ってしまう」など、作るときに意識する人も多くいますが、中には「そもそも、『す』って何?」「どうして、『す』が入るときと入らないときがあるの?」といった疑問の声もあります。

茶わん蒸しやプリンの“大敵”「す」とは何なのでしょうか。料理研究家の長田絢さんに聞きました。

「ゆっくり加熱」がポイント

Q.そもそも、「す」とは何でしょうか。

長田さん「『す』は本来、均質であるべきものの中に入る空間のことをいい、料理における『“す”が入る』とは、プリンや茶わん蒸しのような卵料理や、豆腐料理の表面・内部に細かい泡のような穴が開くことを指します。プリンや茶わん蒸し以外では、卵豆腐や湯豆腐も『す』が入りやすい料理です」

Q.料理に「す」が入ると味、食感、見た目などにどんな変化が起こるのですか。

長田さん「『す』が入ると見た目が悪くなり、口に入れたときの感触にざらざらとした違和感が出て、本来なめらかであるべき料理の味が損なわれてしまいます。『す』が入ることでプラスになる点は残念ながら、ないように思います」

Q.調理中、「す」が入る工程・タイミングはいつですか。

長田さん「プリンや茶わん蒸しなどの卵を使った蒸し物料理は、卵のタンパク質が熱によって固まる性質を利用して作られます。『す』は、卵のタンパク質が60度ほどで固まり始めるのに対し、100度で沸騰する水との温度差があることで生じるものです。卵と、だし汁などの水分が混ざった液を高温で急激に熱すると、卵はすぐに固まる一方で、中に含まれる水分は時間差で沸騰して、水蒸気となります。

先に固まった卵の中で、水蒸気が行き場を失い、それが隙間、つまり、『す』となってしまうのです」

Q.また、調理後の温め直しのタイミングでも「す」が入ることがあるのは事実でしょうか。

長田さん「事実です。例えば、茶わん蒸しを温め直す場合、急激に加熱して温度を上げてしまうと、中の水分が先に蒸発して、表面や内部に穴が開き、『す』が入ってしまいます。それどころか、電子レンジで長時間加熱してしまうと“爆発”を起こすこともあります。そのため、茶わん蒸しを温め直す際も、ゆっくり加熱していくことがポイントです。

おすすめは蒸し器で温め直す方法ですが、蒸し器がなければ、鍋やフライパンに湯を張って沸騰させ、その中に茶わん蒸しを入れて、ふたをしておけば大丈夫です。その際、ふたについた水滴が茶わん蒸しの中に入らないよう、茶わん蒸しの器にもふたをするか、アルミホイルで覆いましょう。また、茶わん蒸しを温め直す直前に冷蔵庫から出すのではなく、常温に戻してから加熱していくとよいでしょう」

Q.「す」が入りやすい料理を作るとき、「す」が入らないようにするための方法はありますか。

長田さん「『す』を防ぐ最大のポイントは温度調節です。茶わん蒸しの場合、蒸し器の中が100度以上にならないように、湯が沸いたら火を弱め、ふたの間に菜箸を置いて空間をつくるなどして、高温になり過ぎないようにします。そうして、急激な加熱を防ぎます。鍋やフライパンの場合、茶わん蒸しの器が鍋底に直接当たるのを防ぐため、布巾をかませるとよいでしょう。

また、卵液に気泡が残った状態で加熱をしてしまうと『す』が入ったような仕上がりになってしまうので、卵を溶きほぐすとき、材料を混ぜ合わせるとき、容器に流し入れるときはできるだけ、空気を入れ込まないよう、静かに行うことも大切です。卵液は必ずこして、表面に浮いている泡を加熱前につぶしたり、すくい取ったりすることで、見た目にもなめらかな仕上がりになります」

Q.一度、「す」が入ってしまった料理はやはり、「失敗」ということになってしまうのでしょうか。「す」が入ってしまった後に挽回する方法はありますか。

長田さん「一度、『す』が入ってしまった料理を何らかの加工をして、挽回することはできません。そのため、やはり、慎重に火加減を調節しながら作っていただきたいと思います。とはいえ、食感や見た目は損なわれるものの、『す』が入ったからといって食べられなくなるわけではありません。茶わん蒸しに『す』が入ってしまったら、あえてよくかき混ぜてしまい、お好みのあんを作ってたっぷりかけたり、ご飯を混ぜて雑炊風にリメークしたりと、いろいろな工夫でおいしく食べられると思います」

オトナンサー編集部

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