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愚痴っぽくてケチな彼をどうすればいいでしょうか?【ひとみしょうのお悩み解決】

  • 2021.11.7

“【お便り募集】文筆家ひとみしょう お悩み解決” に送っていただいたお便りの中から、お悩みをひとつピックアップしてひとみしょうさんがお答えします。

「マキコさん女性」のお悩み

拙い文章ですが聞いて下さい。
すごくめんどくさい男性がいます。
40代独身で、社会に出て15年ですが、責任はいらないと言いつつ、仕事の愚痴や異動に対しての文句が多いです。
なにか気に入らないことがあるとグチグチ言うので、いつも怒られているような気持ちになり、会いたくもありません。縁を切ればいいのですが、何をされるか分からないので怖くて、LINEは続けています。

先日も、LINEで私が送信取消してそのまま放置していたら「気持ちはわからんでもないけど、日記書いてる訳ではないので人とのやり取りの中でそれで終わりにして放置するのやめてもらっていいですか?」「失礼だ」と言われてしまいました。こちらも一言書かなくて悪かったのですが、私の場合は送信取消されたら「なんか間違ったのかな」って思って全く気にしないのですが…それに対して何か返すと「理屈として指摘してくれないと納得いかない」と言われるのでかなり面倒です。女子がなんとなく嫌な気持ちになって、でもそれを筋の通る説明をしなきゃ納得いかないなんて、本当にめんどくさいの一言です。

いつも振られるらしいし、婚活アプリも利用しているのですが、「いい感じになったと思ってもバッサリ切られるから女の気持ちがわからない」という愚痴も聞かされます。40代でヒラで責任負いたくないという人が「30代後半~40代しかマッチしなくなってきた」と愚痴ります。

そしてケチです。絶対にモテない。でも自分どこが悪いのかまるでわからない人です。伝えようと頑張ったのですが、いつも言い負かされるので疲れました。相手の気持ちをまるで汲み取ってくれません。そんな男性に納得のいく説明をすべきか、放置して離れていけばいいのか、何がベストでしょうか。

私はもう離れたくて仕方ないのですが、家も近いので正直怖いです。

〜ひとみしょうのお悩み解決コラム〜

相談メールを読んでまず気になったのが、マキコさんと相手の関係です。ただの仕事仲間にしては、マキコさんは彼の婚活というプライベートな話をよく聞き知っていますし、ただの近所の人というわけでもなさそうですし。

それはさておき、仕事仲間であろうと近所であろうと、一切かかわらないというスタンスをとることは可能です。そうしたからといって、なにかトラブルが起きるわけではありません。おそらく最初こそ、彼はネチネチと言ってくるでしょうけど、3ヵ月もすれば「マキコさんはそういう人なのだ」と思ってあきらめてくれます。

マキコさんの中の「もうひとりの自分」

ところで、彼はマキコさんの中にいる「もうひとりの自分」です。すなわち、マキコさんの中に、彼のような性格の自分が住んでいるのです。

広く一般化して言うなら、誰の心の中にも、なにかにつけ責任を負いたくないゆえにコソコソし、そのくせなにかあれば陰でネチネチと言い、婚活すればモテず、ケチで……といった「もうひとりの自分」が住んでいます。

そのもうひとりの自分を発見し(どうやって発見するのかはわかりませんが、とにかく発見し)、声を掛けてきたのが彼です。

だから、マキコさんは彼と離れたくても離れられないのです。つまり、誰しも「もうひとりの自分」に愛おしさを感じているので、離れるに離れられないのです。

なぜ彼はマキコさんを「選んだ」のか?

マキコさんは現在、彼に話し相手として「選ばれている」状態です。

彼はなぜマキコさんを話し相手に選んだのか?

マキコさんの中に「自分と似たような自分」を発見したからです。ゆえに話しやすそうに感じたからです。それだけです。

そういう人は、マキコさんがしつこいくらいに「No」と言って取り合わないようにすればやがて消えていきます。そしてふたたびマキコさん以外の誰かの中に「自分と同じもうひとりの自分」を発見し、それにすがるように生きます。つまり、マキコさんにしたようにあれこれ愚痴を言います。

彼の心の闇

なぜそうするのかといえば、簡単に言うと病んでいるからです。

おそらく彼はずっとモテなかったのでしょう。勉強ができるのかスポーツが得意なのかよくわかりませんが、小学生の頃から理屈っぽかったし、そういう自分を正当化して生きてきたし、そのことで他人が嫌な顔をするのを何度も見てきたのだろうと思います。

がしかし、それでもそういう自分を正当化するしかないなんらかの事情があったのだろうと思います。

ぼくの推測では、その理由は「モテなかったから」に集約されるのではないかと思います。

モテる男って、勉強ができなかろうと仕事ができなかろうとスポーツは苦手だろうと、そんなことどうだっていいのです。モテるから。つねに女子がそばにいて、望まなくてもあれこれやってくれるから。

モテない男は、モテる男を目の端で見ています。嫉妬しています。しかし、どう転んでもモテないと思っているし、実際にモテない。だからさらにひがみっぽくなり、理屈っぽくなります。

そういう人の「被害」にあうのはたいてい、心やさしい人です。イヤでもそれを顔に出すことなく「うんうん」と話を聞いてあげることのできる人です。そして彼はズルいですから、そういう性格を徹底的に利用しようとします。それが今のマキコさんと彼の関係です。

思うように生きるきっかけにしては?

思うんですが、マキコさんは彼を切ってもいいのではないでしょうか。誰かに利用されつつ生きるには人生はあまりにも短いからです。他人に利用されていることを小説やエッセイのネタにしようと考えているのであれば、「毒を食らわば皿まで」でやるべきですが、そうではないでしょうから、スパッと切ればいいのではないでしょうか。

責任から逃げ回って愚痴ばかり言う人って、ようするにズルいんです。その心を別の方面から表現するなら、ぼくがいつも書くように「なんか寂しいと思っている人」ということです。そしてそれを、いつも「なんか寂しい」と死ぬまで思い続けたキルケゴールの思想をもとに考察し、その結果をここに書くことも可能ですが、今回はそうしなくてもいいでしょう。

彼はズルくて卑怯な人なのだから、彼から離れる、というのが答えです。怖くても離れる。

そうすることでマキコさんが人間的に成長するはずです。あ、ストーカーなどの被害は最寄りの警察署へ。

(ひとみしょう/作家・キルケゴール協会会員)

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