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額面と手取りの違いって?! 正しい「給与明細」の見方とは…/サイフの穴をふさぐには?

  • 2021.11.7
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給与明細を見てみよう (C)pixta
給与明細を見てみよう (C)pixta

元銀行員FPがイチから指南! 貯金&投資のはじめ方/お金の不安がなくなる資産形成1年生

家族の将来や、自身の老後を見すえて「今よりも貯蓄を増やしたい!」と思っている方は多いでしょう。貯蓄を増やすためにまず思い浮かぶのは節約ですが、「節約してもお金がなかなか貯まらない」という話もよく耳にします。

元銀行員でブログなどでお金に関する情報を発信するオロゴンさんは、「貯蓄を始めるなら、まずは身のまわりのお金や社会のルールに目を向けることが必要」と語ります。

貯金がゼロなら節約はもちろん必要ですが、貯蓄を増やしていくためには、給与明細をきちんと確認したり、投資について勉強するなど、お金の情報をきちんと知ることが大切なのだそうです。

『サイフの穴をふさぐには? 学校も会社も教えてくれない税とお金と社会の真実』(KADOKAWA)から、「額面と手取りの違いって?! 正しい『給与明細』の見方とは…」を紹介します。

「貯蓄って何から始めたらいいんだろう?」そんな方がまずすべきことを、イチから学ぶことができます。

※本作品は著/オロゴン、監修/大河内 薫の書籍『サイフの穴をふさぐには? 学校も会社も教えてくれない税とお金と社会の真実』から一部抜粋・編集しました

額面と手取りの違いって?! 正しい「給与明細」の見方とは…

アイコン1 (C)オロゴン、大河内 薫/KADOKAWA
アイコン1 (C)オロゴン、大河内 薫/KADOKAWA

【主人公】ごく普通のサラリーマンの僕は、お金があるとつい使ってしまうタイプで貯金もない。

アイコン3 (C)オロゴン、大河内 薫/KADOKAWA
アイコン3 (C)オロゴン、大河内 薫/KADOKAWA

【フゴー】ふとクローゼットの奥からブタの貯金箱を取り出すと、ブタの貯金箱は自分のことを「金と知恵の神、フゴー・マネーリテ」と名乗り、「お金」について話し始めた…!

ある日、同級生の結婚式に参列した僕。ご祝儀の3万円を渡すことすらギリギリだったため、参加費がかかる二次会は行くのをあきらめるという情けない状況に。

家に帰ると、例の貯金箱のブタがまた話し出して――。

給与明細を見てみよう

家に着き、ワンルームの床にカバンと引き出物の入った紙袋を置くなり、ぴょこんとフゴーが飛び出した。

アイコン2 (C)オロゴン、大河内 薫/KADOKAWA
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僕:「いきなり飛び出されるとびっくりするからやめてよ」

こちらのことなどおかまいなしに、フゴーはぴょんぴょんと本棚をつたって勉強机の上に上がる。

アイコン3 (C)オロゴン、大河内 薫/KADOKAWA
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フゴー:「ほな、さっそく始めるで!」

僕は「はいはい」と苦笑いをしながらスーツのジャケットをハンガーにかけると、ベッドの上に腰かけた。

アイコン3 (C)オロゴン、大河内 薫/KADOKAWA
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フゴー:「ほんならまずな、なんで自分はお財布も銀行口座もすっからかんで、今日二次会行けんかったか、わかるか?」

アイコン1 (C)オロゴン、大河内 薫/KADOKAWA
アイコン1 (C)オロゴン、大河内 薫/KADOKAWA

僕:「そりゃあ……、給料が少ないから?」

テーブルが同じだった同級生たちはきっと僕よりたくさん給料をもらっているから、二次会の会費ぐらいの出費は痛くもかゆくもないのではなかろうか。するとフゴーは、少し呆れた顔をしながら口を開く。

アイコン3 (C)オロゴン、大河内 薫/KADOKAWA
アイコン3 (C)オロゴン、大河内 薫/KADOKAWA

フゴー:「たしかに、結婚式は3万円以上かかるから若者に重いっちゅうのはわかるけどな。そういうことじゃないんやなぁ……まぁええわ、ほんなら自分、給料いくらもろうてんねん?」

アイコン1 (C)オロゴン、大河内 薫/KADOKAWA
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僕:「毎月の給料ってこと? 23万円くらいかなあ?」

アイコン3 (C)オロゴン、大河内 薫/KADOKAWA
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フゴー:「それは、額面なん?それとも手取りなん?」

アイコン1 (C)オロゴン、大河内 薫/KADOKAWA
アイコン1 (C)オロゴン、大河内 薫/KADOKAWA

僕:「ガクメン? テドリ? わかんないけど、毎月口座に振り込まれてる金額が、だいたいそのくらいだよ」

アイコン3 (C)オロゴン、大河内 薫/KADOKAWA
アイコン3 (C)オロゴン、大河内 薫/KADOKAWA

フゴー:「ほんならそれは手取りやな……。まず、そっからか……。

まず自分は、収入と手取りの違いがわかってへんねん。収入っちゅうのは、会社から支払われる給料の総額のことや。この「収」の文字を取って、1か月分なら月収、1年分なら年収、やな。この収入のことは額面と言ったりもする。

ほんで、手取りちゅうのは、実際に自分の手元にもらえる金額のことや。自分の場合は、給料日に口座に振り込まれる金額やな。

自分らサラリーマンは、収入から税金とか社会保険料とか“控除”と呼ばれる分が天引きされてんねん。だから、手取りになると収入より金額がだいぶ減るわけや」

フゴーはブゥブゥつぶやくと、思いついたように机にあったペンをくわえ、ノートを開いてさらさらと書き始めた。

手取りと収入の違い (C)オロゴン、大河内 薫/KADOKAWA
手取りと収入の違い (C)オロゴン、大河内 薫/KADOKAWA

急に知らない単語が次々と飛び出し、フゴーが書いたメモを慌てて読む。

アイコン1 (C)オロゴン、大河内 薫/KADOKAWA
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僕:「つまり、僕の口座に毎月振り込まれる23万円は手取りであって、月収ではないってこと?」

アイコン3 (C)オロゴン、大河内 薫/KADOKAWA
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フゴー:「そうや。月収にあたる支給額と、天引きされる金額の内訳は、毎月の給与明細に書いてある。ほな、給与明細、持ってきてみいな」

アイコン2 (C)オロゴン、大河内 薫/KADOKAWA
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僕:「それが……、給与明細、見たことないんだよね……」

するとフゴーは、もともと丸い目をさらに丸くして驚く。

アイコン3 (C)オロゴン、大河内 薫/KADOKAWA
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フゴー:「見たことない!? んなわけあるか! 毎月の給料と一緒に、紙でもらえるんちゃうんか?」

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僕:「いや、うちの会社、給与明細はネットで見ることになってるみたいなんだよね……。たしか新入社員のときに説明されたんだけど、ログインの方法がめんどうで1回も開いたことないんだ」

フゴーは目を見開いたまま、しばらく固まった。

アイコン3 (C)オロゴン、大河内 薫/KADOKAWA
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フゴー:「それは……罠わなやな」とぽつりとつぶやいた。

アイコン2 (C)オロゴン、大河内 薫/KADOKAWA
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僕:「ワナ……?」

フゴーは妙に鋭い目つきで話を続ける。

アイコン3 (C)オロゴン、大河内 薫/KADOKAWA
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フゴー:「自分は、国と会社が用意した罠にまんまとハマっとんねん。ネットっちゅうことは、いつでも給与明細にアクセスして見られるっちゅうことやろ?むちゃ便利や。けどな、代わりに紙の明細を渡されることはなくなってしまった。見るも見ないも本人の自由や。すると、意識の高いヤツと、そうでない自分みたいなヤツとの間で“情報格差”がどんどん広がる」

話を終えると、フゴーはドヤ顔でブゥと鼻を鳴らした。

アイコン2 (C)オロゴン、大河内 薫/KADOKAWA
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僕:「……いや、たかが給与明細で大げさじゃないか? 残業代がごまかされてる、なんてこともないだろうし……」

アイコン3 (C)オロゴン、大河内 薫/KADOKAWA
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フゴー:「なんや、ことの重大さがイマイチ伝わってへんようやな。

ま、実際に見て説明した方が早いやろ。とりあえず、システムにログインして給与明細を出してみい」

僕は入社した頃に総務から配られた資料の束から、システムのログイン方法が記載された紙を見つけ出し、パソコンを立ち上げて、給与明細の画面にアクセスした。

アイコン3 (C)オロゴン、大河内 薫/KADOKAWA
アイコン3 (C)オロゴン、大河内 薫/KADOKAWA

フゴー:「お、見れた見れた! お金持ちへの第一関門突破や!」

給与明細の画面には、表の中に項目と数字がびっしりと書かれている。思っていた以上に項目が多く、ぱっと見ただけでは、どこをどう見たらいいのかよくわからない。

アイコン3 (C)オロゴン、大河内 薫/KADOKAWA
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フゴー:「自分、初めて見るんやんな? ほんなら説明していくさかい、しっかり聞いときや」

そう言ってフゴーは、モニターの横で説明を始める。

給与明細の例 (C)オロゴン、大河内 薫/KADOKAWA
給与明細の例 (C)オロゴン、大河内 薫/KADOKAWA
アイコン3 (C)オロゴン、大河内 薫/KADOKAWA
アイコン3 (C)オロゴン、大河内 薫/KADOKAWA

フゴー:「まず、さっきの“額面”と“手取り”の話に戻るけどな、手取りっちゅうのは、給与明細で言うと“差引支給額”にあたる。ここやな、この、いちばん右下の数字」

そこに書かれているのは見覚えのある、通帳記帳したときに「給与」として入ってくるのとだいたい同じ金額。それにしても、この差引っていうのどういうことだ? 首をかしげている僕の横で、フゴーはかまわず続ける。

アイコン3 (C)オロゴン、大河内 薫/KADOKAWA
アイコン3 (C)オロゴン、大河内 薫/KADOKAWA

フゴー:「ほんで、額面ちゅうのはこの給与明細上で言うと右上のココや。“総支給額”っていうところ。額面っちゅうのは本来、“お札や小切手なんかの表面に書かれた金額”のことを言うんやけど、「あいつの言うことは額面どおりには受け取れない」みたいに使ったりするやん?

つまり“手取り”に対して、あくまでも見かけの数字ってことで“額面”という言葉を使うんやな。そのまま“総支給”って言ったりもする」

アイコン2 (C)オロゴン、大河内 薫/KADOKAWA
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僕:「なるほど。そうすると、僕の先月の月収はだいたい29万4,000円で……、実際に口座に振り込まれる手取りの金額は23万5,000円!? ということは……。なんだよ!? 6万円近くも会社に差し引かれてるっていうこと!? 僕の額面の2割以上じゃん!

業界では名の通っている中堅企業のはずなのに、勝手にこんなに給料から天引きするなんて……。もしかして、ウチの会社はよく言うブラック企業というヤツ??」

アイコン3 (C)オロゴン、大河内 薫/KADOKAWA
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フゴー:「いや、それが普通や。別に自分の会社が特別ヒドいことをしてるわけやないで」

そう言われても、自分の給料からこれだけのお金が引かれているという事実が、僕にはにわかには信じられなかった。

アイコン2 (C)オロゴン、大河内 薫/KADOKAWA
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僕:「6万円もあったら、毎月ちょっとした旅行にも行けるし、そもそも今日みたいに、お金がなくて結婚式の二次会に参加できない、なんてことも起こらなかったじゃないか……」

アイコン3 (C)オロゴン、大河内 薫/KADOKAWA
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フゴー:「まだ信じられんという顔をしとるな。この約6万円が、明細下段の“控除”っちゅう項目にあたるんやけど……」

控除額が6万円近くあったことに驚いた主人公。貯蓄の第一歩として、きちんと自分の収入を把握するために、毎月の給与明細のチェックはしっかり行いたいものですね。

■著者/オロゴン

都市銀行で10年勤めた後、ベンチャー企業経営者を経て個人独立。

経営者として事業を軌道に乗せる過程で、サラリーマン時代には知らなかったお金や社会のルールが多く存在することに衝撃を受け、独立した2018年より、ブログ・Twitter・ネットラジオVoicyにて情報発信を開始。社会やお金のしくみをわかりやすく伝えるスタイルが多くの支持を集める。

■監修/大河内 薫

税理士。株式会社ArtBiz代表取締役。

日本大学芸術学部卒。「税知識をカジュアルに」をモットーに、YouTubeやTwitterで一般向けに税知識を発信。「お堅い・まじめ」などの税理士イメージを打破し、税金を学ぶことへのハードルを下げる活動に従事。また、日本では稀な芸術学部出身の税理士として、クリエイターや芸術・芸能系のクライアントに特化

著=オロゴン、監修=大河内 薫/『サイフの穴をふさぐには? 学校も会社も教えてくれない税とお金と社会の真実』(KADOKAWA)

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