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いながきの駄菓子屋探訪68火災で失われた店を再建した「駄菓子屋まも」

  • 2021.11.6
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全国約400軒の駄菓子屋を旅した「駄菓子屋いながき」店主・宮永篤史が、「昔ながらの駄菓子屋を未来に残したい」という思いで、これまで息子とともに訪れた駄菓子屋を紹介します。今回は北海道斜里郡小清水町の「駄菓子屋まも」です。

国道沿いの新しい建物

北見市にあり、オホーツク地域の駄菓子屋文化を下支えしている問屋さん、前橋玩具店。以前も網走市の高橋菓子舗のことでお世話になりましたが、今回も卸先である小清水町の駄菓子屋を教えていただきました。小清水町は網走市と斜里町の間。北は網走国定公園・小清水原生花園があるオホーツク海、南は阿寒摩周国立公園の近くまで伸びる、南北に長い自治体です。

教えてもらった住所に行くと、そこは小清水町役場のすぐそば、商店が立ち並ぶ国道391号線沿いでした。想像していたよりもかなり新しい建物で、赤肉のメロンのようなかわいい色の外壁が特徴的です。

大きな窓の付いた座敷が3部屋

店内にはかなりの種類の駄菓子が置かれていますが、それでも充分にゆとりのある広さ。レジカウンターの近くには、綿菓子機や飲食用のテーブルもあります。焼き鳥も販売されていて、値段は5本で200円とかなりリーズナブル。早速、駄菓子のラーメンと一緒に、定食のような感じでいただきました(笑)。

奥には座敷が3部屋あり、調理場の近くにはカウンター席、テーブル席も。テーブル席は小ぶりなサイズで、子どもたちのための場所であることを感じます。座敷にはクーラー・ヒーターが設置され、スマホなどの充電用に電源も多数配置。居心地の良さが完全保証されていました!仕切壁に付いている大きな窓は、「悪さをしないように一応見通しを良くしました(笑)」とのこと。

2020年、火災により建物が焼失

駄菓子屋まもは平成24年(2012年)の創業で、店名は店主、佐藤守(まもる)さんのあだ名から。小清水町にあった唯一の駄菓子屋が閉業してしまい、「それなら自分が作ろう」と、本業である設備業の腕を活かし、古い物件を改装して始めたそうです。ところが、令和2年(2020年)3月、火災により建物が焼失。現店舗は、その年の11月に再建された2代目でした。

「火事になって、もちろん営業ができなくなってしまったんですが、お店のなくなり方が衝撃的だったからか、子どもたちに泣かれてしまったんですよ。そんな姿を見てしまったので、再建することに迷いはまったくありませんでした。もうこうなったら、前より良い駄菓子屋にしてやろうと。そういう気持ちで設計からやりました」

小清水町のみんなのためになるような店作り

「前の店舗は混むとゴチャゴチャになってしまっていたので、かなり広めに作りました。コロナの時代なので、これで良かったんじゃないかと思っています。もっと調理品を増やそうとか、いろいろと計画中。今後も子どもたちを含め、小清水町のみんなのためになるような店作りをしていきます」

なんというバイタリティ。お話を伺っている間、「駄菓子屋界にはこんな人もいるんだ・・・」と驚いてばかりでしたが、佐藤さん自身は、あくまで自然体なのも印象的でした。町に駄菓子屋を残し、気軽に入れて長居ができるみんなの居場所に発展させ、消費はもちろん、雇用も生んでいる駄菓子屋まも。オホーツクの町では、駄菓子屋が力強く社会貢献を果たしていました。

駄菓子屋まも

住所:北海道斜里郡小清水町元町1-2-1

電話:090-3393-6984

営業時間:平日14:00〜18:00、土日祝12:00〜18:00(いずれも冬季は17:00まで)

定休日:不定休

[All photos by Atsushi Miyanaga]

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