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フリーランスが加入できない社会保険とは? 法定外福利厚生にも注意

  • 2021.11.5
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フリーランスと会社員の社会保険の違いについて、前回(会社員だけがもらえる給付金も!? フリーランスと会社員、年金や健保はどう違う?)は年金制度と健康保険について解説しました。第2回となる今回は、原則会社員しか加入できない社会保険制度や福利厚生制度についてご紹介します。

フリーランスとして独立してから「この制度は会社員だけのものだったんだ!」と気付くことがないよう、今のうちから理解しておきましょう。

脱サラ後、フリーランスとして収入があると雇用保険の「失業給付」はもらえない!

雇用保険は労働者が失業や雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に必要な給付や支援が受けられる社会保険制度です。

雇用保険は大きく分けて、「失業等給付」「育児休業給付」「雇用保険二事業」に分類されます。失業等給付にはさまざまな種類がありますが、失業時に一定の条件を満たせば給付される「求職者給付の基本手当(いわゆる失業給付)」がよく知られています。育休期間中に支給される「育児休業給付」もご存知の方は多いかもしれませんね。最後の「雇用保険二事業」は、失業の予防や雇用機会の増大、労働者の能力開発等に関する支援制度です。

雇用保険の保険料は業種によって事業主と労働者で負担割合が決められています。令和3年度の「一般の事業」の雇用保険料率は0.9%です。そのうち労働者負担は0.3%、事業者側は0.6%となっています。

求職者給付の基本手当は通称「失業給付」と呼ばれるものです。失業給付は雇用保険の被保険者が勤務先の倒産や定年などさまざまな理由で失業中した際に、できるだけ早く再就職できるように失業時の収入を補うことを目的として支給されるものです。

失業給付を受けることができる日数は、離職時の年齢や雇用保険の被保険者であった期間、離職の理由などによって90日~360日の範囲で定められています。

基本手当の所定給付日数は(基本手当の支給を受けることができる日数)、離職時の年齢、雇用保険の被保険者であった期間および離職の理由などによって、90日~360日の間で定められています。

なぜ、フリーランスは失業給付を受けられないのか

失業給付を受けるためには、失業状態であることが求められます。失業状態とは以下のすべての条件を満たす場合のことをいいます。

・就職しようとする意思があること

・いつでも就職できる能力(健康状態・環境など)があること

・上記の状態にあるにもかかわらず職業に就けず、積極的に求職活動を行っている

フリーランスは上記の条件に該当しないため、原則失業給付を受けることができません。

ただ、フリーランスとして独立しても軌道に乗って安定的に収入を得られるようになるまでには時間がかかることがあります。また何らかの事情で仕事がなくなった場合に備える必要もあります。こうしたリスクを想定して、フリーランスの方は独立前に目安として1年分程度の生活費を蓄えておくのが望ましいでしょう。

労災保険は一部のフリーランスのみ特別加入が可能

労災保険は業務中や通勤中の出来事が原因でケガや病気をした際、または亡くなった場合に保険給付を受けられる制度です。会社員の方の労災保険料はすべて事業主負担であるため、加入している意識がない会社員の方も多いかもしれません。

業務中の”万が一”の備えが必要なのは会社員に限った話ではありません。労災保険は原則会社員などの労働者が加入できる社会保険です。しかしそれ以外の方でも職業によっては任意で加入できる場合があります。

一部職種のフリーランスなら加入できる! 労災保険の「特別加入制度」とは?

労災保険には「特別加入制度」があるのをご存知でしょうか?

特別加入制度は会社員などの労働者以外でも、一定の要件を満たす人が任意で加入でき保険給付を受けることができる制度です。

特別加入制度はこれまで個人タクシー事業者や建設工事に従事する一人親方など、特定の個人事業主に対象が限定されていました。しかし2021年9月から、以下の職業の方が新たに対象として加わっています。

・ 自転車を使用して貨物運送事業を行う者

・ ITフリーランス

「自転車を使用して貨物運送事業を行う者」は最近増加しているウーバーイーツ等の配達員を想定しています。「ITフリーランス」も近年増加しているフリーランスの職種なので、該当するフリーランスの方にとっては朗報と言えるのではないでしょうか。

ただし保険料は全額個人負担となるため注意が必要です。特別加入の年間保険料は、保険料算定基礎額(給付基礎日額×365)に対してそれぞれの事業に定められた保険料率をかけて計算します。令和3年のITフリーランスの保険料率は0.3%、ウーバーイーツ等の配達員であれば1.2%です。

特別加入の保険料の基礎となる「給付基礎日額」は3500円~2万5000円の範囲で加入者が申請します。たとえばITフリーランスの方が給付基礎日額を1万円とした場合の年間保険料は1万950円となります。

特別加入の年間保険料

=(給付基礎日額×365)×特別加入の保険料率

=(1万円×365)×0.3%

=1万950円

給付基礎日額の金額が少なければ年間保険料の負担額も少なくなりますが、その分もらえる給付金の額も少なくなります。保険給付等の種類や金額の目安を確認のうえ、適切な給付基礎日額を選択することをおすすめします。特別加入にあたっての詳細は最寄りの労働基準監督署に問い合わせてみるとよいでしょう。

労災保険に特別加入できないフリーランスはどうすればいいか

特別加入の対象が拡大されたとはいえ、まだまだ労災保険に加入できないフリーランスの方は多くいます。そのような方は民間の保険に加入することで、ご自身の “万が一”に備えることができます。民間保険は会社員でも加入している方は多いですが、労災保険に特別加入できないフリーランスの方にとって、さらに必要性は高まります。

病気に備えたい場合は医療保険、突発的な事故によるケガや死亡に備えたい場合は傷害保険というように目的に応じて加入する保険を選びましょう。

また業務に起因する病気やケガによって一定期間働けなくなる可能性もあります。労災保険の特別加入では休業補償給付が受けられますが、特別加入の対象ではないフリーランスの方はそのような場合に備えて、ある程度の金額を貯蓄しておくことが大切です。

十分な貯蓄がない方は、病気やケガによって不足した収入をカバーするための「就業不能保険」や「所得補償保険」に加入するという方法も有効です。

意外な盲点!? 法定外福利厚生の存在は大きい

福利厚生制度とは、会社が従業員やその家族に対して、健康で豊かな生活を送れるよう支援する取り組みの総称です。

福利厚生制度には大きく分けて「法定福利厚生」と「法定外福利厚生」があります。法定福利厚生とは、これまでにご紹介した厚生年金や健康保険などの社会保険や労働保険(雇用保険・労災保険)といった法律によって加入が義務付けられている福利厚生制度です。

一方、法定外福利厚生は、企業独自で提供する福利厚生サービスを指します。代表的な法定外福利厚生サービスには以下のようなものがあります。

・交通費の支給

・住宅手当

・家族手当

・資格取得支援

・健康診断や人間ドックの補助

・社食

・カフェテリアプラン方式(選択型福利厚生制度)

上記のような法定外福利厚生が受けられない点もフリーランスになる際は十分注意しておく必要があります。

法定外福利厚生のなかで比較的多くの企業で導入されているのは交通費の支給ではないでしょうか。通勤を伴うフリーランスの方にとっては、交通費の支給の有無は家計にそれなりのインパクトがあるでしょう。また賃貸住まいの方にとって住宅手当(家賃補助)は毎月の生活費の大きな支えとなっている可能性があります。

筆者がフリーランスになってから思わぬ負担感を感じたのは、健康診断の補助でした。フリーランスが加入する国民健康保険でも健康診断の費用補助が受けられる自治体は多いのですが、補助が受けられる年齢に制限があったり検査項目が限定的だったりと、会社員が受けられる健康診断・人間ドックの補助より内容が手薄です。筆者の場合は会社員時代に毎年受けていた人間ドックの項目の一部が国民健康保険に切り替わったことで補助が受けられなくなったため、その分の検査項目は自己負担で毎年2万円程度支払っています。

このように、これまで法定外福利厚生のある会社で働いていた会社員がフリーランスになる場合、法定外福利厚生がなくなることで思わぬ負担が生じる可能性があります。フリーランスと会社員の社会保険制度の違いは耳にする機会が多いかもしれませんが、法定外福利厚生が受けられなくなる点は見落としがちです。フリーランスとして独立を検討している方は、今働いている会社でどのような法定外福利厚生が提供されているのか把握しておくことをおすすめします。

まとめ

年金制度や健康保険以外にもフリーランスと会社員では制度面で大きな違いがあることをご理解いただけたでしょうか?

労災保険の特別加入のように、近年増加するフリーランスに対応すべく社会保険制度が見直されつつある昨今。しかしまだまだフリーランスと会社員の制度面の格差は大きいのが現状です。

フリーランスとして独立を考えている方は、フリーランスになることで今回ご紹介したような社会保険制度や福利厚生サービスが受けられなくなることをしっかり把握しておきましょう。

鈴木 靖子/ファイナンシャルプランナー

大学卒業後、銀行の財務企画やコンサルティング会社で金融機関向けサービスに従事。企業のお金に関する業務に10年以上携わる一方、日々の生活に役立つお金の知識の乏しさに気づき、その重要性を感じたことがきっかけで、ファイナンシャルプランニングの勉強を開始。2018年よりFPとして執筆や相談業務を中心に活動中。AFP/2級FP技能士。

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