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11月1日はラジオ体操の日。97歳村山富市元首相も実践「究極の運動」の効能に注目

  • 2021.11.1
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1928(昭和3)年11月1日の午前7時に、日本放送協会(NHK)の東京中央放送局から、「ラジオ体操」の放送が初めて流された。これにちなみ、当体操の普及の一翼を担ったかんぽ生命保険が2018(平成30)年に、この日を「ラジオ体操の日」と制定した。

ラジオ体操のルーツは意外にも海外にあった

1925年にアメリカのメトロポリタン生命(現在のメットライフ生命)が、ピアノの伴奏に合わせた健康体操を創作しラジオ放送を始めた。この体操をメトロポリタン・ヘルス・エクササイズと称して普及に努めたのが、ラジオ体操の端緒だとされる。最盛期には約400万人に及ぶ人がこの体操に興じたとされる。

日本ではこれを参考に、旧逓信省の簡易保険局がラジオ体操を考案し、NHKが協力して、1928(昭和3)年11月1日に放送を開始した。ラジオ体操は今でこそなじみのある体操として定着しているが、創設当時は国民の健康増進のためとはいえ、その趣旨がなかなか理解されなかった。このため、その普及に向け各種の取り組みが実施された。体操をしながら眺めるための「体操掛軸」や「体操人形」が作成されたり、「国民体操宣伝隊」が編成され、全国各地を廻るキャンペーンなども行われた。また、「健康星取表」というカードが無料配布され、体操をした後に星を付けるとともに1銭の貯金をするという取り組みも行われた。体操で健康とお金が貯まるという訴えだ。

しかし、国民にあまねく定着したラジオ体操も、第二次世界大戦が終わった直後には1週間にわたり中止された。その後また当然のごとく再開されたものの、多くの国民が一斉に同じ運動をするという光景に、全体主義的な恐怖を覚えた連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)は、中止すべしとの命令を出した。これに対し、ラジオ体操の関係者らが、「ラジオ体操は気分を爽やかにするものであり、争いをなくすために効果がある」などと説得するとともに、連合軍の将校たちの前で体操をする姿を見せるなどの努力をした結果、ラジオ体操は再開されることになった。

1951(昭和26)年には現在のラジオ体操第一が考案され、翌年の1952(昭和27)年にはラジオ体操第二が発表された。さらに、1999(平成11)年には、高齢者や障害者が座ったままでできる「みんなの体操」が打ち出された。

現在は、かんぽ生命保険とNHK、さらにNPO法人全国ラジオ体操連盟が提携してのイベント開催などで普及促進活動をしている。さらに、その一環として適切なラジオ体操の定着に向けた指導者としての資格認定制度(「ラジオ体操指導士」)の実施や普及促進に功績のあった人の表彰などを実施している。

一方、ラジオ体操がアメリカから日本へと継承される動きとは別に、旧ソ連でもラジオ体操に似た職場での体操が存在した。1920年代後半には、音楽に合わせて行う労働者のための体操として、生産体操と称される体操が創設された。さらに、1961年にはラジオ放送による体操が開始され、ソ連が崩壊する1991年まで続いた。

究極の運動とまでいわれるラジオ体操の効能

ラジオ体操は、普段は動かさない筋肉や関節も大きく動かし体全体を活性化させることを目的とする。筋肉は約400以上も使うとされ、同時に左右均等に動かすために体の歪みを直すとされる。高齢になると左右どちらかに歪んでいる人が見られるが、こうした歪みの予防になるだけでなく、美しい姿勢をもたらすとされる。

体を曲げたりひねったりすることで腹部の体幹に刺激を与え鍛えることにもなり、内臓の活動を促すことで血行が良くなったり胃腸の動きを活発化させ便秘などにも効果がある。新陳代謝が改善する効果もあるそうだ。

こうした効果から、ラジオ体操は究極の運動とまでいわれる。通常なら動かさない筋肉も動かすことから、つまずいたりバランスを崩して倒れそうになった時などに、頭などを保護すべく自動的に手で支えたり足を使ってバランスをとったりすることで大事に至らず済むことがある。

筆者も会社を退職した後、特別なことがない限り毎日取り組んでいるが、現役時代に同じことが起こっていたなら大けがをしたであろうと思うことで、命拾いしたことがある。年齢を重ねるなかで、こうした事態に遭遇することは多くなる。親の世代が、長生きするための生活訓として「転ぶな、風邪ひくな、義理を欠け」と話しているのをよく耳にしたものだ。転ばないように風邪をひかないようにと、体力づくりのキッカケとしてのラジオ体操を検討してみるのはいかがだろう。

ただ、第一体操と第二体操では強度が違う。第一体操は姿勢や呼吸を整えることが主体で運動負荷は低いが、第二体操は筋肉を鍛える要素も多く運動の負荷は高い。高齢の人が始めるには、まず第一体操で慣れることが大切だとされる。

運動は知的な活動であるとともに人とのつながりも増幅する

健康を保つには、栄養の摂取や睡眠などの休息とともに運動が必要とされる。ただ、食事や休息は時間がたてば自然と体が欲するものであり、改めて身構える必要はない。しかし、運動を始めるには強い意志が必要であり、究極の知的活動といえる。

なお、高齢化社会となった現在、健康維持のために、以上の3項目以外に必要なこととして強調されることがある。社会とのつながりを保つことの重要性だ。人と交流することの大切さだ。孤独に伴う心情の落ち込みは、煙草を1日に15本吸うことに匹敵するほどに健康を害するといわれる。イギリスでは、孤立者を出さないように、あわせて孤立者を救おうと、新たに孤独担当大臣まで任命された。日本も同様にこの課題は大きくなっており、イギリスに追随したことはご承知の通りだ。

大分市在住の村山富市元首相は、97歳の今でも元気な姿がテレビなどで見られるが、ラジオ体操も一役買っているようだ。毎朝、ラジオ体操が行われる場所に出向いて行き、みんなと一緒にラジオ体操をしているそうだ。もちろんラジオ体操だけでは終わらないだろう。会場までの行き帰りには、何かと会話も弾むことだろう。運動と社会とのつながりを上手に実現させている好例といえる。

執筆/大川洋三

慶應義塾大学卒業後、明治生命(現・明治安田生命)に入社。 企業保険制度設計部長等を歴任ののち、2004年から13年間にわたり東北福祉大学の特任教授(証券論等)。確定拠出年金教育協会・研究員。経済ジャーナリスト。

著書・訳書に『アメリカを視点にした世界の年金・投資の動向』など。ブログで「アメリカ年金(401k・投資)ウォーク」を連載中。

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