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身体ナビゲーションVol.61「リンパに関わる病気」

  • 2015.7.24
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こんにちは。健康管理士のSAYURIです。

前回まではリンパの仕組みや働きについてご紹介してきました。今回はそのリンパに関わる病気について解説していきたいと思います。 リンパ液は全身を巡っているため、リンパの不調による症状は全身のどの部分でも起こりえます。

●リンパに関わる病気のほとんどが“がん”に関わるもの。

単なるむくみだと思っていたら、リンパ浮腫という危険な病気が隠れていることがあります。リンパ浮腫は、リンパ液の流れが阻害され組織間室内に水分や老廃物がたまり、むくみが慢性化した状態を言います。

リンパ浮腫は、そのほとんどが二次性リンパ浮腫だと言われています。乳がんや子宮がん、膀胱がん、前立腺がんなどの手術・放射線治療を受けた患者さんが罹患(りかん)し、治療の直後から数年後に症状が現れます。

●がんの手術や放射線治療がリンパに与える影響

例えば、がんの手術で脇の下や骨盤腔内のリンパ節を取り除いたり、放射線療法でリンパ管が閉塞したりすることによって、リンパ液の輸送に障害が起きてリンパ液が滞留してしまいます。するとリンパ管の逆流防止弁が働かなくなり、リンパ液が重力に従い逆流します。さらに組織間室にタンパク質や水分が過剰に滞留することで浮腫を増大させます。

統計を見ると、先天的なものを含む原因不明の『一次性リンパ浮腫(原発性リンパ浮腫)』は全体の約6~10%程度です。一方、『二次性リンパ浮腫』は、乳がんで約30%、子宮がんで約40%を占めていて、女性特有の“がん”を治療した方の発症が多いとわかります。

●リンパ浮腫に伴う合併症

リンパ浮腫は、ステージ0からステージ3までの4段階に分類されます。

潜在性リンパ浮腫というほとんど特別な自覚症状のない段階(ステージ0)から、皮膚組織にある膠原繊維(こうげんせんい)が異常に増殖し、大きくむくんで変形した皮膚が象のように硬くなる象皮症(ステージ3)という段階まであります。

リンパ浮腫が起こるとリンパ液の流れが悪くなるため、わずかな細菌の侵入でも合併症が起こるリスクがあります。

合併症には、赤い発疹・熱・痛みを伴う『蜂窩織炎(ほうかしきえん)』、リンパ管に沿って赤い線のように見える『リンパ管炎』、リンパ管内に発症する悪性腫瘍『リンパ管肉腫』などがあります。中でも、『蜂窩織炎』はリンパ浮腫患者の半数以上が発症すると言われています。他にも皮膚が硬くなってかさぶた状になったり、イボができたりすることがあります。

●悪性リンパ腫

悪性リンパ腫は、大きく分けて『ホジキンリンパ腫』と『非ホジキンリンパ腫』の2種類があります。悪性度が高く徐々に進行するのが『非ホジキンリンパ腫』で、日本では患者の80〜90%が該当するそうです。

また、非ホジキンリンパ腫も進行速度によって、

・年単位で進行する低悪性度の『濾胞性リンパ腫』『MALTリンパ腫』

・月単位で進行する中悪性度の『びまん性大胞性B細胞性リンパ腫』『未分化大細胞リンパ腫』

・週単位で進行する高悪性度の『リンパ芽球性リンパ腫』『バーキットリンパ腫』

と分類されます。

【参考文献】

・総務省認証予防医学学術刊行物『ほすぴ』成人病予防対策研究会発行

●ライター/SAYURI(心理食育インストラクター)

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