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【女子のばんそうこう】女とファッションの呪い〜これ着ていいのは何歳まで?

  • 2021.10.29
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先日、年若い知人(大学生)がフリルたっぷりのショートパンツをはいていた。それは彼女の雰囲気にすごく合っていたので「めっちゃかわいい」と褒めたら、彼女は「ありがとうございます!でもこういうのはけるの今のうちだけですよね〜」と言った。私も周りの皆も「いくつになっても着ればいいじゃん!」と返したけど、そう付け加えたくなる彼女の気持ちもよく分かった。女子はいつだって「こういう格好(髪型含め)いつまでしていいの?」という悩みと共に暮らしてるから。

★「○歳まで」で誰が幸せになるのか

世間てやつはとにかくうるさい。ミニスカートとかフリルとかあらゆるファッションについて「○○を着ていいのは○歳まで」「いい年して着てたらイタい」と釘を刺してくる。20代の頃でさえ、女性誌をひらけば「イケメン座談会〜こんなコはイヤだ」みたいな特集が頻繁に組まれてて、こういう格好は男にだらしなそうだのコワくて敬遠してしまうだの彼ママに嫌われるだの、とにかく細かくダメ出してくる。私たちに絶え間なく注ぐのは愛ではなく「年齢やTPOや好感度にそぐわない女でいてはダメよ」という呪いであった。

若い頃の私はそれを「うっせーわ」のひとことで片付けて超ミニとか好きな格好をしてた。いやほんとに余計なお世話だと今でも思う。ファッションに勝手に年齢制限つけるな。マナーとかTPOとかもっともらしい名目で人のスタイルをジャッジするな。もし私が今の時代の「ちゃんとした」就活ルックで当時の入社試験に臨んだら確実に落ちてたと思うぞ。もちろん格好で受かったわけじゃないけど「私はこういう人間です」という主張の一端にはなる。誰にもとがめられない服とは誰の目にもとまらない服だったりする。それでどうやって自分をアピールすればいいのさ?(ちなみにショートのカーリーっぽいヘアに千鳥格子柄のスーツで通しました)

★自分自身がかける呪いの強さ

世間やメディアの声に「うっせー」と思う反面、年をとるにつれ己の脳内から聞こえる「その年でその格好イタくね?」という声を拒絶しきれなくなってくるのもまた事実。自らかける呪いはけっこう強くてやっかいだ。

例えば後ろ姿は確実に20代の派手なギャル、顔を見たら化粧気のない推定50代、という女性を見かけた時は正直「うわーナシだ」と思った。年甲斐うんぬんより、ファッションと顔の雰囲気が全く合ってない!と思ってしまった。さらに自分自身や同世代の女たちからの学びも蓄積してゆく。例えば総柄のカシュクールワンピや巻きの入ったロングヘアなど、若い頃は押し出しがきいたそれらのスタイルは却って老けて見えるとか。カジュアルな格好の時にメイクやヘアをサボるとそれはそれで老けて見えるとか。「服とメイクと髪が若い頃のままで止まってる」「いまの若者と同じ格好をする」は致命傷!とか。

前シーズンまではフツーに着ていた服が今シーズンいきなり「似合わん!」となる恐怖を味わうと、別に若く見られたいとまでは思わなくても「老けて見られたくはない、イタく思われたくない」と強く思う。だから自分の中でのNG事項が年々増えていってしまう…つらい。

★それでも最後は「好きにしろ」を選びたい

「好きな服を着ればいい」「これ着るとイタいかも」の完全に矛盾する気持ちはいつでも自分の中でせめぎあってて常に悩む。

それでも最近は「こういう年齢や外見だからその格好はおかしい」と自他に思うことはなるべくやめるぞ!と思うようになった。私は己に問う。先述のギャル服50代には失笑するくせに60代でミニをはきこなすユーミンを賞賛してたよね?その差はなに?アンタの勝手なジャッジだよね?それでいくと「男なら男の格好で生きろ、女装は似合わないから」ってなっちゃうけどそれアカンよね?と。

そんなさなか、俳優の滝藤賢一さんのスタイルブック「服と賢一」を買った。洒落者として知られる彼のオール私服218スタイル。自由だ。あまりに自由だった。流行りもTPOも、外側ではなくぜーんぶ彼の内側にあるオリジナル。年齢とか「ちょうどよい丈や色使いや着方」とか全無視でカッ飛ばしてて小気味いい。何より楽しそうだった。そうだ…こういうのだよ、これでいいんだよ。「好きなものを好きに着る」って、人間の個性をこんなに鮮やかにするんだよ。男性ファッションだけど、私のように相反する気持ちがせめぎ合って悩む人はぜひ手に取ってみて欲しい。

プリンセスプリンセスは 名曲「Diamonds」の中で歌った。「好きな服を着てるだけ 悪いことしてないよ」 …いやほんとそうだよね。似合う似合わないなんてどーでもいい。それを着てる本人が幸せならその方がいい。私たちもそうあろう。

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