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クレカは2枚持ちが基本!専門家インタビュー

  • 2021.10.25
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クレジットカードを保有している人は多いだろう。しかし、「どれくらいの枚数が適切なのか」「そのような視点で選べば良いのか」について深く考えていない人もいるかもしれない。

そこで今回はクレジットカードを30年間にわたって研究しており、クレジットカードのムックも50冊以上監修している「キャッシュレスの生き字引」の岩田昭男氏に話を聞いた。(聞き手=菅野陽平)

基本はメインとサブの2枚持ちを デビットカードという選択肢もあり

岩田昭男
消費生活ジャーナリストとして、30年以上にわたりクレジットカードおよび電子マネーの情報収集・発信を行う。主な著書は「Suica一人勝ちの秘密」(中経出版・現カドカワ)「信用力格差社会―カードでわかるあなたの“経済偏差値”」(東洋経済新報社)「信用偏差値」(文春新書)「クレジットカード・サバイバル戦争」(ダイヤモンド社)「ドコモが銀行を追い抜く日」(PHP)「キャッシュレス覇権戦争」(NHK出版)等で、他にクレジットカードのムック監修も多数。
HP:岩田昭男の上級カード道場
YouTube:岩田昭男のキャッシュレス道場

おすすめはメインとサブの2枚持ち

基本はメインとサブの2枚持ちを デビットカードという選択肢もあり
(画像=Production Perig /stock.adobe.com)

――まずは簡単に自己紹介をお願い致します。これまで、どのような活動をされていらっしゃったのでしょうか?

クレジットカードを中心に30年くらいの取材歴、研究歴があります。

ちょうどビザやマスターカードが日本に上陸した頃ですね。

彼らが日本に上陸した後はずっと業界を見てきています。

2000年頃には電子マネーが出現し、そちらも約20年にわたって取材しています。

最近はPayPayといったコード決済(スマホ決済)にも関心を持っています。

――ありがとうございます。早速クレジットカードについて色々とお伺いできればと思います。「カード枚数が多すぎると住宅ローン審査に影響がある」と聞いたことがありますが、岩田さんの印象はいかがでしょうか?

確かに「たくさん持っていると減点対象になる」という意見はありますが、そこまでの影響はないでしょう。

ただし、クレジットカードを持っているということは借金をしている、少なくとも借金をするツールを持っているということです。

「実際に使っている、使っていない」にかかわらず、ポジティブに働くことは考えづらいため、いずれにせよ枚数を整理することをおすすめします。

――それでは、一般論としてクレジットカード何枚くらい持つべきとお考えでしょうか?

クレジットカードの話ですよね。

というのも、近年は決済手段がクレジットカード、電子マネー、コード決済などと多岐にわたるためです。

クレジットカードで言うと、私の書籍にも書いているのですが、メインとサブの2枚持ちが良いと思います。

たくさんクレジットカードを持っていても、結局使うカードは1枚か2枚になるはずです。

メインをよく使うお店やサービスに関するものにして、メインとは違う領域(ライフスタイル)をカバーするサブを持つと良いでしょう。

「違う領域」とは、「メインほどではないがよく使うお店やサービス」はもちろん、国際ブランドという視点もあります。

例えば、「メインのブランドがビザだから、サブは別のブランドにする」などです。

特にJCBは日本および東アジア中心のブランドですので、海外で買い物する可能性がある人は、サブにビザやマスターカードを持つと良いでしょう。

クレジットカードを申し込むことは、公的機関に登録するということ

基本はメインとサブの2枚持ちを デビットカードという選択肢もあり
(画像=hanack /stock.adobe.com)

――手持ちのカードを解約して減らす場合、何を基準に残すカードを選ぶべきでしょうか?

前提として、何枚もクレジットカードを持つことは注意が必要です。

盗難、紛失のリスクもありますし、手元にカードがあってもどこかでスキミングされて、不正利用される可能性もあります。

また、なかには「ポイントが貯まるから」と使う予定がないのにたくさん申し込む人、いわゆる「チェリーピッカー」がいます。

さくらんぼの美味しいところだけ食べていなくなるという意味です。

日本ではあまり重要視されていませんが、クレジットカードを申し込むと、CICという信用情報機関に個人情報が登録されます。

クレジットカードを申し込むことは、公的機関に登録するということなのです。

一度にたくさん申し込むと、「お金に困っているのでは?」とあらぬ疑惑を持たれ、クレジットヒストリーに傷がつく可能性があります。

前置きが長くなりましたが、断捨離をするうえで重要なことは、「一番使うところ(お店やサービス)はどこか」「一番自分のライフスタイルに合致しているカードはどれか」ということです。

これを見極める理想的な方法は、レシートを貯めて、「自分はどこでどれくらい使っているか」を改めて確認することでしょう。

電車や鉄道会社のサービスをよく使う人であれば、交通系のカードと相性が良いはずです。

クルマをよく運転する人なら石油会社のカード、Amazonをよく使う人ならAmazonカード、最近は行けませんが海外出張が多い人は航空会社のカード(マイル系)など、自分のライフスタイルに合致しているカードを残すようにしましょう。

年会費も確認すると良いでしょう。

「年会費が無料のカードはサービスが悪い」という印象があるかもしれませんが、最近の傾向では、年会費が無料のカードのほうが還元率が高いということが挙げられます。

カード会社に自信があるのでしょう。

集中的に資本投下して、色々なサービスを提供しています。

したがって、年会費が無料のカードを選ぶことも選択肢です。

――「クレジットカードを1枚しか持っておらず、2枚目をどのカードにしようか」と考えている人も、基本的には同じロジックで考えれば宜しいでしょうか?

そうですね、先ほど申し上げた「メインとサブの関係性」を意識して頂ければと思います。

具体的には、「いかにメインに不足している領域や機能を補強するか」を念頭に置いて選べば良いでしょう。

前述のように、生活圏の違いをカバーする形でも良いですし、異なる国際ブランドを持つ形でも良いですね。

少し年会費は高くなってしまいますが、旅行やホテルが好きな人はホテル系のカードも選択肢になるでしょう。

例えば、アメックスのSPG(スターウッド プリファード ゲスト)カードはホテル内レストラン飲食代金が安くなったり、カード継続毎に無料宿泊特典をもらえたりします。(参考=アメリカン・エキスプレス)

カードには大きな分類としてマイル系や交通系といった「○○系(○○派)」がありますが、コロナ禍ということもあり、最近はホテルステイ系が注目されているようです。

デビットカードを持つという選択肢もあり

基本はメインとサブの2枚持ちを デビットカードという選択肢もあり
(画像=kelly marken /stock.adobe.com)

――専業主婦やパートタイムの主婦が審査に通りやすいカードはありますか?

デパートやスーパー、コンビニといった流通系のカードは比較的審査に通りやすいのではないでしょうか。

審査に落ちる、もしくは審査にびくびくするのが嫌であれば、クレジットカードではなく、デビットカードを持つという選択肢もあります。

近年は「ブランドデビット」としてビザ、マスター、JCBがついているデビットカードもあります。

ポイントはたくさんとは言いませんが、ある程度もらえることが多いようです。

そうなると、基本的な機能はクレジットカードとほとんど同じですよね。

デビットカードの良いところは、その場で銀行引き落としされるため、借金にならないこと、無理な買い物を予防できることです。

もちろん、多額の現金を持ち歩く必要もなくなります。

主婦の方はもちろん、クレジットカードを持ちにくい高校生や高齢者にも向いているでしょう。

2020年の日銀の調べによると、デビットカードを使う人が増えたそうです。

おそらく、ここ数年のキャッシュレスブームで「キャッシュレス」という言葉を聞く機会が増えて、人々のリテラシーが上がってきたのでしょう。

「自分はクレジットカードとデビットカードのどちらが向いているのか」を自問し、デビットカードを選ぶ人が増えたのかもしれません。

――最後に読者に向けて、クレジットカードを上手に活用するためのアドバイスをお願い致します。

近年はFinTechの発展もあり、クレジットカード以外の決済手段も色々なものが出てきています。

コード決済のような新しい決済手段は、大々的に告知していますし、還元率が高いケースも多いですが、セキュリティや救済制度確立という意味では、クレジットカードのほうが相対的に安心できるはずです。

クレジットカードの歴史は約60年ですが、それはそのまま不正利用との戦いの歴史でもありました。

今日においては、基本的には不正に使われてもきちんと補償してくれますし、やはり中心に置くべきはクレジットカードだと思います。

いわば、クレジットカードは航空母艦です。航空母艦は飛行機の発着陸のベースとなる場所ですよね。

クレジットカードを航空母艦にして後方を固めて、そこから電子マネーやQRコードといった新興の決済手段に広げていくのが良いと思っています。

カードの選び方に関しては、「なぜ自分はこのカードを使っているか」を人に説明できるくらいまで、自分のなかで選択理由を明確にしておいたほうが良いでしょう。

反対に言えば、説明ができないカードは保有している意義が薄く、解約候補になるはずです。

文・fuelle編集部

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