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パリス・ヒルトンとの秘話も明らかに!キム・ペトラスが語る、女性ポップスターや日本文化の魅力【インタビュー】

  • 2021.10.17
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8月にシングル「Future Starts Now」をリリースして、ついにメジャーデビューを果たしたドイツ出身のポップスター、キム・ペトラスにインタビュー。トランスジェンダー女性として経験した苦労や、パリス・ヒルトンとの絆、憧れの女性ポップスターたちから受けた影響、日本への愛などについて訊いた。(フロントロウ編集部)

ドイツ出身のポップスター、キム・ペトラスがメジャーデビュー

ドイツで生まれ育ち、現在はアメリカを拠点に活動しているシンガーソングライターのキム・ペトラスは、今、世界で最もホットなポップシンガーの1人。彼女はトランスジェンダーであることでも知られている。

画像1: ドイツ出身のポップスター、キム・ペトラスがメジャーデビュー

2017年にファーストシングル「I Don't Want It At All」をリリースして、インディペンデントで本格的にシンガーとしての活動をスタートさせたキムは、今年8月に、アリアナ・グランデやテイラー・スウィフトらが所属するリパブリック・レコードと契約したことを発表。ついにメジャーデビューを果たして、翌9月に開催された今年のMTVビデオミュージック・アワードでは、移籍第1弾となるシングル「Future Starts Now」を初パフォーマンス。

同月に開催されたファッションの祭典、メットガラにも招待されるなど、シーンのアイコンになりつつあるキムだが、トランスジェンダーであるが故に、デビューするまでには様々な苦労も経験したという。

画像2: ドイツ出身のポップスター、キム・ペトラスがメジャーデビュー

リパブリック・レコードと契約を結んだ直後には、日本のメディア向けのオンライン視聴会も開催され、フロントロウ編集部も参加。キムはそこで、現在の拠点であるアメリカよりもLGBTQ+の人々に抑圧的だったというドイツで幼少期に経験した苦労や、当時、自身が目標にできるトランスジェンダーのシンガーがいなかったことなどについて語ってくれた。

今回、フロントロウ編集部は「Future Starts Now」のミュージックビデオが公開されたタイミングでキムにインタビューすることができたので、Netflixのオリジナルアニメシリーズ『日本沈没2020』にインスピレーションを得たというそのMVや、恩人とも言えるパリス・ヒルトンとの深すぎる絆、トランスジェンダーとして経験した苦労、きゃりーぱみゅぱみゅや日本カルチャーへの愛について語ってもらった。

キム・ペトラスにインタビュー

画像: キム・ペトラスにインタビュー

ドイツで生まれ育ったあなたは、ブリトニー・スピアーズのインタビューを観て英語を学んだそうですね。

「当時のドイツでは、ドイツ語で吹き替えられていない唯一のチャンネルがMTVで、そこでは、スターたちが話す英語にドイツ語の字幕をつけて放送していた。私はいつも、ブリトニー・スピアーズの特集ばかり観ていたんだ。彼女のインタビューを録画して、彼女の発言を繰り返し再生して、字幕と組み合わせて彼女が話している英語を理解しようとした。学校から帰ると、いつも観ていたの。そうやって勉強したことで、YouTubeの動画の英語も少し理解できるようになったし、ドイツ語の字幕をつけて英語で映画を観るようにもなった。当時、英語を話すスーパースターのファンになったことは幸運だったと思う。だって、彼女が何を話しているのか知りたいって思えたから。最初は全然分からなかったからね(笑)」

ブリトニー・スピアーズが、自身のシングル「Malibu」に合わせて踊っている動画をアップした際には、「人生で最高の日」と喜んだキム。

数年前にあなたの音楽を初めて聴いた時に、2000年代の女性ポップスターたちのような空気を感じたことを覚えています。子供の頃はどんな人たちに憧れていましたか?

「そうね。マドンナにシェール、ジャネット・ジャクソン、ブリトニー・スピアーズ、それから、きゃりーぱみゅぱみゅのことは本当に大好き。(“きゃりーぱみゅぱみゅ”って)きちんと発音できてるかな(笑)。 あとは、カイリー・ミノーグにビヨンセ、デスティニーズ・チャイルドも。正直、私は女性シンガーが歌うポップソングなら何でも好きだった。ガールグループも大好きで、デスティニーズ・チャイルドはもちろん、スパイス・ガールズとかね。私はあらゆる音楽を吸収するスポンジみたいだったから。あ、グウェン・ステファニーも大好き! 女性ポップスターたちのアルバムは、できるだけ手に入れてた。彼女たちの音楽をヘッドフォンで聴くと、自分が抱えている問題を忘れさせてくれるの。ファンタジーみたいな音楽だから。彼女たちの曲はファンタジーのような曲ばかりで、子供の頃は大好きだった。ソングライターになろうって決めたのもその時。彼女たちの曲が大好きで、キャッチーな曲を書けてすごいなって思ったの。なので、小さい頃から毎日、ソングライターとして自分の部屋で曲を書いてた。自分のMacBookで曲もプロデュースしていたよ」

トランスジェンダーの女性として、子供の頃は目標にできるトランスジェンダーのシンガーがいなかったと語っていましたが、当時のご自身にとって、女性ポップスターたちはどのような存在だったのでしょう?

「みんな強い女性だったからね。強いなかにも、弱さもあって、美しい女性たちを観るのはすごくクールだった。そんな彼女たちに、私は自分自身を投影することができたの。私は子供の頃から自分が『女性』だって思っていたんだけど、学校では女性らしく振る舞うことができずに、大きくなるまで自分がトランスジェンダーだということを秘密にしなければいけなかった。だから、ドレスを着ることもできなければ、メイクをすることもできなかったの。学校には、『男の子』として通わなければいけなかったから。だから当時は、家に帰るとドレスを着て、ママのコスメを使ってメイクして、ブリトニー・スピアーズやマドンナのような、ファビュラスな女性たちの曲を聴きながら踊っていたんだ。いつか自分もそういう女性になるんだって思いながらね。だから、彼女たちは私にとって掛け替えのない存在だったし、今でもそう。ポップソングは、私にとってのすべてなの」

オンライン視聴会で、幼少期の頃のドイツについて、今あなたが暮らしているアメリカよりもLGBTQ+の人々にオープンではなかったとおっしゃっていましたが、今の世の中は、かつてよりもLGBTQ+の人々にオープンになったと感じていますか?

「もちろん。特に、ソーシャルメディアについてはすごく進歩があったと思う。私は自分自身のプラットフォームを築くことができて、私と同じようにポップミュージックと向き合っているキッズたちがいることを確信することができた。ファンのみんなを見ていると、昔の自分を思い出すの。ポップミュージックやポップスターたちに夢中になって、ルックスやメイクを参考にしていた頃の自分をね。まさに、数年前までの自分という感じなの。友達のような存在だね。それから、私がキャリアを始めたばかりの頃は、派手なポップソングを作っていたすごくニッチなアーティストで、しかもトランスジェンダーだったこともあって、ポップスターとして成功できないって言われていた。だから、私は自分自身を証明する必要があったの。最初はゲイ・クラブでのパフォーマンスから始めて、お客さんも20人から500人、10,000人へと増えていった。当時は、ビッグなトランスジェンダーのアーティストがいなかったから、自分で自分を証明しなければいけなかったの。今後、こういう状況がどんどん良くなっていけばいいなって思ってる。ほら、音楽って、ジェンダーやセクシャリティ、肌の色といった、あらゆることを超越するものでしょ? 音楽は『感情』についてのものだから」

画像: オンライン視聴会で、幼少期の頃のドイツについて、今あなたが暮らしているアメリカよりもLGBTQ+の人々にオープンではなかったとおっしゃっていましたが、今の世の中は、かつてよりもLGBTQ+の人々にオープンになったと感じていますか?

新曲「Future Starts Now」は、ロックダウン中に感じた心境を反映したものになっているそうですね。

「そう。ロックダウン中は、何かに集中することがすごく難しかった。なぜなら、私の人生はツアーに出て、歌っての繰り返しで、ツアーから戻ったらまたツアーに出かけていたから、リラックスの仕方を知らなかったの。私はこの仕事が大好きで、13歳くらいの頃からソングライターをやっていたからね。私はこの仕事に情熱を捧げてきたから、パフォーマンスができなかったり、自分の仕事ができなかったりしたことは、私にとってすごく難しいことだった。クリエイターとして、八方塞がりになっていたと思う。世界がいつまたオープンになるか分からなかったからね。そうしたなかで書いたのが、未来ではなく、『今』にフォーカスした曲。私は他のアーティストたちと同じように、いつリリースできるか分からないような曲を書いていたのだけど、そんな時に、私に今できるのは、自分が美しいと思う音楽のような、実りある何かを作ることしかないって思ったの。この曲では、そういうことをテーマにしている。つまり、流れに身を任せるということ。何が起きても、それに身を任せて変化に順応することについての曲で、変化を受け入れることを歌っている」

新型コロナウイルスによるパンデミックは、楽曲制作の方法や音楽との向き合い方にどんな影響を与えたのでしょう?

「パンデミック中は、ずっと一緒に作業してきた友人でもありプロデューサーのアーロン(・ジョセフ)とアレックス(・チャップマン)の2人とレコーディングしていた。一緒に家を借りて、クローゼットや寝室をスタジオにしたの。なので、私は今回の新曲をクローゼットにあるスタジオでレコーディングしたんだ。初めての体験だったよ(笑)。それまではずっと、本格的なスタジオでレコーディングしていたからね。とにかく、私たちは自分たちで小さなスタジオを作ることを余儀なくされたの。なので、何かアイディアを試してみたい時には、厳密にはスタジオではなく、クローゼットに行くんだ(笑)」

「Future Starts Now」のミュージックビデオは、Netflixのオリジナルアニメシリーズ『日本沈没2020』にインスピレーションを得たそうですが、このことについて教えていただけますか?

「コロナ禍で『日本沈没2020』を観ていた時に、(実際の現実世界との)繋がりをすごく感じたんだよね。というのも、作品では終わりに向かう世界や、変化への順応が描かれていたから。アメリカにいた私は、故郷のドイツにいる家族に会いに行くことができなかったり、友達に会いに行けなかったりした。そうしたなかで、誰もが、変わりゆく世界にいかにして順応すべきかということを考えていたと思う。一方で、『Future Starts Now』は、私が大好きなジャンルの1つであるフレンチ・ハウスのサウンドを取り入れていてね。私はよくフランスへ行っていて、大好きな場所なんだ。それで、クローゼットに作ったスタジオには、エッフェル塔の巨大な写真を飾っていて。『日本沈没2020』を観ては、スタジオへ行くっていうことをしていた時に、2つを組み合わせることを思いついたの。『日本沈没2020』のように、沈みかけているエッフェル塔が海から突き出しているっていうイメージが良いんじゃないかって。それらのテーマをミックスさせて、何もかもが悪い方向に進んでいるなかでも、それに順応して、最善を尽くすということを表現した。ある意味では、世界の終わりをお祝いしているとも言えるかな(笑)」

オンライン視聴会で、「Future Starts Now」はニューアルバムからのシングルだとおっしゃっていましたが、ニューアルバムについて現時点で教えていただける情報はありますか?

「ヨーロッパの音楽からの影響を受けたものになっている。イタリアン・ディスコやフレンチ・ハウス、ジャーマン・テクノといった音楽からね。それから、幼い頃に移民として移住してきたアメリカからも影響を受けている。同時に、これまでで最もボリュームのある作品にもなっていて、18曲が収録されているのだけど、これは私のプロジェクトとしてはこれまでで最も多い曲数。だから、ものすごく楽しみ。個人的には、これまでで最高の作品だと思う。楽しみにしていてほしい。ファンのみんなにもそう思ってもらえて、気に入ってもらえることを願ってる」

私たちも楽しみです。「Future Starts Now」を初めてパフォーマンスしたのは、MTVビデオミュージック・アワードのプレショーのステージでしたが、この時はパリス・ヒルトンの送迎で会場に来ていましたね。以前からパリスのファンであることを公言されていますが、パリスの魅力はどんなところでしょう?

画像: 私たちも楽しみです。「Future Starts Now」を初めてパフォーマンスしたのは、MTVビデオミュージック・アワードのプレショーのステージでしたが、この時はパリス・ヒルトンの送迎で会場に来ていましたね。以前からパリスのファンであることを公言されていますが、パリスの魅力はどんなところでしょう?

「パリスは私が今までに出会ったなかで最も優しくて、素敵な人の1人。パリスとは特別な関係にあって、私にとってのフェアリーゴッドシスターのような人なの。私がファーストシングルの『I Don’t Want It All』をリリースした時、そのミュージックビデオを作ろうとしたんだけど、当時はインディー・アーティストだったから、予算がほとんど無くてね。それで思いついたのが、“パリス・ヒルトン神社”的なものを作って、お祈りを続けていたら本物のパリス・ヒルトンが現れて、私にクレジットカードをくれて、私はショッピングに行くことができるっていうストーリーだった。それで、当時の私はファンもいなければ楽曲も出していなかったのに、パリスは曲を聴いてくれた上に、『ミュージックビデオに出演するよ!』って言ってくれたの!」

「もう、一生かかっても返し切れないくらいの恩だよ。おかげで、パリスのファンもビデオを観てくれたんだから。以来、彼女はずっと私のことを応援してくれて、親切にしてくれているの。本当に感謝してる。だから、私にとっての初めてのMTV VMAに彼女が付き添ってくれたのは必然のようなものだった。彼女がそれを承諾してくれたことを、光栄に思う」

そのパリスも出ている「Malibu」のミュージックビデオも最高です。あれだけの豪華なセレブたちをどのように集めたのですか?

キムが2020年5月にリリースしたシングル「Malibu」のミュージックビデオには、パリス・ヒルトンのほか、チャーリーXCXやデミ・ロヴァート、『クィア・アイ』のジョナサン・ヴァン・ネス、『リバーデイル』のマドレーヌ・ペッシュ、リアルバービーことローレン・グレイら豪華なセレブたちがカメオ出演している。

「今までに出会ってきた友達に連絡したの。『ビーチに出かけられない代わりに、楽しいミュージックビデオを作っているんだけど、出ない? 夏の曲なんだけど、(パンデミックで)いつも通りのミュージックビデオは撮影できなくて』って。ファンや、これまでに出会った人たち、コラボしたことのある人たち、友達のみんなにね。例えば、何度かコラボしたチャーリーXCXとか。この曲をどうしてもリリースしたかったから、ミュージックビデオを撮影できないなかで友達に助けを求めたの。動画を撮って送ってくれたみんなには感謝しかない」

ここからは、日本について訊かせてください。先ほど、きゃりーぱみゅぱみゅのお話も出ましたが、J-POPとはどのように出会ったのでしょう?

「厳密には、K-POPとJ-POPに夢中になっているという感じ。子供の頃から好きなんだけど、同じ趣味の友達がいて、よく一緒にコンサートに行っていたの。私は日本のアンカフェ(アンティック-珈琲店-)というロックバンドも好き。知っているかは分からないけど、すごく好きなんだ。それから、2NE1やBLACKPINKも好きだし、もちろん、BTSも。今、1番ハマっているのはそんな感じかな。きゃりーは、J-POPで唯一無二と言っていいほど、私が大好きなアーティスト。私にJ-POPについて教えてよ! 私にJ-POPを教えてくれる人がいたらいいなって思う。今のシーンを知りたい! とにかく、きゃりーのことはずっと大好き」

これまでに何度も、日本に行きたいとツイートしてくれていますよね。日本のカルチャーのどんな部分に魅力を感じていますか?

「正直に言うと、日本の食べ物が大好きで(笑)。それから、建築物も好き。可愛さがあるなって思う。日本には、可愛いものがたくさんあるという所が好き。可愛い食べ物や、ちょっとした可愛いアイテムも好きだし、ポケモンも、アニメも大好き。『鬼滅の刃』や『HUNTER×HUNTER』、ポケモン、セーラームーンとかが好き。沖縄に行ってみたいし、大阪や東京にも行ってみたい。ずっと行きたいと思っているんだけど、一度も行ったことがなくて。いつも日本の動画を観ているよ。とにかく日本が好き。可愛いと思う」

最後に、日本のファンへのメッセージをお願いします!

「早くみんなに会いたい! 日本に私のファンがいてくれていることは昔から知っているのに、まだ行けていないから。いつも私の音楽を聴いてくれてありがとう。行ける状況になったらすぐに日本へ行って、みんなの前でパフォーマンスをすることを楽しみにしてる。私が一番得意なのはパフォーマンスすることで、インターネットで観るのとはまた違うものだから、日本のみんなにも早くそれを届けて、体験してもらいたい。それから、みんなのおすすめスポットを教えてもらえたら嬉しい。私は日本のファンの子とメッセージをやりとりしているから、日本に行った時には、その子たちに訊いてみるつもり。日本でおすすめの場所を訊いて、全部のスポットに行きたい。観光客として、私は誰もが行くような場所は調べているけど、日本で育った人たちに、おすすめのラーメン店とか、おすすめの買い物スポットとか、おすすめのデザイナーを訊いてみたい」

画像1: 最後に、日本のファンへのメッセージをお願いします!

キム・ペトラス
「Future Starts Now」
配信中

画像2: 最後に、日本のファンへのメッセージをお願いします!

Photo: ©️Steven Klein,ゲッティイメージズ,フロントロウ編集部

(フロントロウ編集部)

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