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結婚当日に“夫”と初対面…悩み多き王妃を癒した植物のアート

  • 2021.10.16
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英国のシャーロット王妃が愛したアートが集まる展覧会が、東京・目黒にある東京都庭園美術館で開かれています。美しい植物の絵やウェッジウッドの陶磁器、さらに激動の時代を生きた王妃の人生もご紹介!

どんな展覧会?

【女子的アートナビ】vol. 224

『キューガーデン 英国王室が愛した花々 シャーロット王妃とボタニカルアート』では、キューガーデン所蔵の貴重なボタニカルアートコレクション約100点のほか、王妃が愛したウェッジウッド社の陶磁器なども展示。美しい植物画を見ながら、17~18世紀当時の歴史や時代背景なども知ることができる展覧会です。

キューガーデンとは、ユネスコ世界遺産に登録されている英国王立植物園のこと。ロンドン南西部に位置し、3万種以上の植物と、約1万4000本の樹木が植えられている世界を代表する植物園です。

キュー王立植物園が誕生したのは1759年。そもそもヨーロッパの植物園は、医療のための薬草園としてスタートし、それが植物園に変わっていきました。

17~18世紀には、イギリスやフランスなどの権力をもつ君主が植物学や博物学を重視。世界各地の珍しい植物を記録するため植物画家が起用され、ボタニカルアートも発展していきました。

この展覧会では、18~19世紀に制作されたボタニカルアートの原画や手彩色銅版画をたっぷり楽しめます。

花を愛したシャーロット王妃

ところで、本展のタイトルに出てくるシャーロット王妃(1744-1818)とは、どんな人なのでしょう?

王妃の夫は、イギリス国王ジョージ3世(1738-1820)。1760年、父王が亡くなり即位したジョージ3世は、信頼する部下にお妃探しを命じ、見つけ出されたのがドイツのメクレンブルク=シュトレリッツ公女、シャーロットでした。

二人は結婚当日に初めて会ったといわれていますが、相性はとてもよかったようです。ともに音楽好きで、一緒に音楽を奏でたり、演奏会に出かけたりしていました。

また、シャーロットは植物を心から愛し、娘たちと一緒にボタニカルアートを習ったり、庭園で国王とともに外国の植物を育てたりして、楽しんでいました。

さらに、王妃は1759年に創業したウェッジウッド社の陶磁器に注目。国王も関心をもち、ウェッジウッドは王室御用達となりました。展覧会の会場では、王妃お気に入りのクイーンズウェアも見ることができます。

スキャンダルに悩まされ…

ジョージ3世は浮気もせず家庭を大事にし、夫妻は15人の子どもにも恵まれ、シャーロットは幸せな結婚生活を送っていました。ですが、幸福そうに見える家庭にも悩みはあります。

シャーロットの場合、まず成長した子どもたちにスキャンダルが頻発。さまざまな事件や問題が発生します。世継ぎとなる長男も愛人問題などでトラブルを抱え、国王と息子の関係も悪くなっていきます。

さらに夫が精神疾患を発症。たびたび発作を起こし、正気を失うこともあったようです。

シャーロットは1818年に74歳で死去。その後、1820年にジョージ3世が81歳で亡くなりました。

アメリカ独立戦争やフランス革命など激動の時代に君臨した夫を支え、キューガーデンや植物画の発展の立役者となったシャーロット王妃。庭園に咲く花々が、彼女を支えていたのかもしれません。

おすすめのボタニカルアートは?

最後に、ボタニカルアートを長年学んでいる筆者が特におすすめしたい作品をご紹介します!

まずは、シャーロット王妃や王妃に植物画を教えたキューガーデン最初の王室付き画家、フランツ・アンドレアス・バウアーの作品群。ゴクラクチョウカ科の植物の姿が非常に美しく鮮やかに描かれています。

豪華な植物図鑑『フローラの神殿』の手彩色銅版画も必見作のひとつ。華やかに描かれた植物と、少し不気味な背景の絶妙なバランスが魅力的です。

女性の植物画家が描いた作品群も、ぜひご覧ください。18世紀、裕福なイギリスの家庭では、女性たちが教養として植物学や水彩画を学んでいました。そのなかで植物画家となっていった女性たちの作品を、会場で見ることができます。シャーロット王妃の娘、マチルダの作品も展示されています。

ちなみに、一部のボタニカルアート作品には写真がついています。これは、美術館と同じ敷地内にある庭園や、隣接する国立科学博物館附属自然教育園で実際に見られる植物の写真です。展示を見たあと、庭園や自然教育園を散歩して同じ植物を探してみるのも楽しいですよ。

展覧会は11月28日まで開催。

※本記事の写真は主催者の許可を得て撮影しています。

Information

会期 : ~11月28日(日)※休館日は毎週月曜日
会場 :東京都庭園美術館(本館+新館)
開館時間 :10:00–18:00(入館は閉館の30分前まで)
観覧料 :一般¥1,400、大学生(専修・各種専門学校含む)¥ 1,120、中学生・高校生¥ 700、65歳以上¥ 700 *小学生以下および都内在住在学の中学生は無料

※日時指定予約制です。詳細は公式サイトをご覧ください。
※高校生以下無料(日時指定予約が必要)
問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)


※最新情報は、展覧会公式サイトをご確認ください。

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