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銀座の老舗がなぜ今、新店をオープン?〈松崎商店〉八代目・松﨑宗平さんのチャレンジ。

  • 2021.10.14
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創業から217年。〈松崎商店〉八代目・松﨑宗平さんは本店を銀座5丁目から4丁目へ移し、〈MATSUZAKI SHOTEN〉をオープンした。新店には物販とカフェスペースを併設。時代はコロナ禍真っただ中、新形態での開店に不安はなかったのだろうか?

こんな時代だからこそ、失われた「交流」の場を。

「コロナ下において、一時はリアル店舗を閉じることも考えました。老舗だから集客力があるという時代は、とうの昔に終わっています。でも、地域密着を掲げたカフェ併設の松陰神社前店は、コロナ下でもほとんど売り上げが落ちなかったんです。」

左から、クリームチーズとも好相性の「ぬれせんべい しょうゆ」5枚入り486円、定番の瓦煎餅「三味 胴」1枚162円、「揚餅マヨネーズ」378円。
左から、クリームチーズとも好相性の「ぬれせんべい しょうゆ」5枚入り486円、定番の瓦煎餅「三味 胴」1枚162円、「揚餅マヨネーズ」378円。
天然着色の白玉と生クリーム、〈ぎんざ空也 空いろ〉のあんこをはさんだ「松崎ろうる」385円。ワッフルのようにフワフワかと思いきや、煎餅感を残した新食感がくせになる。コーヒー550円には、瓦煎餅が1枚サービス。

「我が家は代々商人の家系で、祖母から『工場に顔を出しているか?』と言われたことはないのに、『店に立っているか?』とは毎日のように聞かれていました。僕自身も接客が好きだし、自分の強みでもあると思うと、店をなくす理由はない。それもあって、煎餅の再定義の先の『煎餅の再構築』と、地域密着の先の『地域交流』ができる新しいスタイルの店をつくろう、と考えました」これまで、本店と松陰神社前店では煎餅のラインナップが異なっていたが、新店には全商品を集約。さらに食品以外にも、松﨑さんのお眼鏡にかなったアイテムをポップアップで扱っていくという。

この位置でターンテーブルが使えるよう、ケーブルを接続できるショーケースを特注でつくってもらったそう。ここに集まり、松﨑さんのDJが聞ける日が待ち遠しい。
松﨑さん自らが店舗のデザインも担当。新店のテーマカラーは、ブランドカラーである赤(えんじ色)と松陰神社前店のテーマカラー青(藍色)を融合させた紫。

「この店構えが気になって中をのぞいてくださるお客様が、『なんだ、煎餅か』と帰っていくこともあります。味には自信がありますが、煎餅とはそういうもの。今後は、煎餅に興味がない人にも足を運んでもらう仕掛けを増やし、口に運んでいただくきっかけをつくりたいと思っています。僕は音楽が何よりも好きで選曲もよくやっていますが、ターンテーブルの練習をしながら夜お店を開けて、お客さんに来てもらうのもいい。この先地元の人も他地域の人も集まりやすい、多様な交流ができる場にしていきたいですね」老舗の名に抗うでもあぐらをかくでもなく、自然体で挑戦を続ける松﨑さん。銀座の街に、古くて新しい風が吹く。

〈MATSUZAKI SHOTEN(まつざきしょうてん)〉

歌舞伎座の目の前という好立地で、大のれんとネオンサインが同居する唯一無二の存在感を放つ。10月29日(金)から行われるJAPAN TRADITIONAL CRAFTS WEEKにも参加。
東京都中央区銀座4-13-8
03-6264-6703
10:00~19:00(イートイン18:30LO)無休
10席

(Hanako1201号掲載/photo : Mina Soma text :Akiko Yamamoto edit : Hanako Kajiyama, Yue Morozumi (Mo-Green))

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