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おにぎりを食べると、世界の子どもたちに給食が届く。〈TABLE FOR TWO〉の「おにぎりアクション」

  • 2021.10.14
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ハナコラボ パートナーの中から、SDGsについて知りたい、学びたいと意欲をもった4人が「ハナコラボSDGsレポーターズ」を発足!毎週さまざまなコンテンツをレポートします。第46回は、ライターとして活躍する五月女菜穂さんが、NPO法人〈TABLE FOR TWO〉へ行ってきました。(写真提供:TABLE FOR TWO)

おにぎりの写真をSNSに投稿すると、1枚の写真投稿につき給食5食分に相当する寄付ができるキャンペーン「おにぎりアクション」。NPO法人〈TABLE FOR TWO〉(略称:TFT)が2015年から始めた取り組みで、2020年までの6年間で、累計100万枚の写真が投稿され、約540万食の給食が世界の子どもたちに届けられたそうです。

10月16日の「世界食料デー」に合わせ、今年は10月5日(火)〜11月5日(金)に開催されます。どんな思いで取り組んでいるのか、〈TABLE FOR TWO〉事務局の小此木利沙さん(35)にお話を伺いました。

おにぎりの写真投稿で、気軽に社会貢献

(写真提供:TABLE FOR TWO)

ーー改めて「おにぎりアクション」について教えてください。

「国連が定める10月16日『世界食料デー』に合わせ、2015年から毎年行っているキャンペーンです。おにぎりの写真を特設サイトや、ツイッターやインスタグラムなどのSNSに『#OnigiriAction』をつけて投稿すると、1枚の写真投稿につき給食5食分に相当する寄付を協賛企業が提供し、NPO法人〈TABLE FOR TWO International〉を通じて、アフリカやアジアの子どもたちに給食をプレゼントできる取り組みです。去年でいうと、だいたい1日平均して約6,500枚の写真投稿が寄せられています」。

投稿された写真の一例(写真提供:TABLE FOR TWO)

ーー1日6,500枚も!毎年規模がどんどん大きくなっているのでしょうか?

「そうですね、傾向としては大きくなってきています。ただ、この『おにぎりアクション』は、参加者の方から多く写真を集めるところと、協賛してくださる企業様を集めるところの両輪で成り立っている活動なんです。活動の認知自体は広がってきて、参加者の方からの写真投稿は年々増えているのですが、昨年はやはり新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、社会情勢も厳しく、開催日数を短くせざるを得ませんでした。今年は去年より11社も多くの企業様にご賛同いただきまして、〈日産セレナ〉様をはじめ、過去最大の30団体に協賛をいただいています」。

タンザニアで給食を食べる子ども(写真提供:TABLE FOR TWO)

ーー〈TABLE FOR TWO〉は2007年に設立されましたが、どのような経緯で始まったのでしょうか?

「世界経済フォーラム(ダボス会議)の地球規模課題についての分科会に参加していて、その時のテーマが「飢餓と肥満」というでした。日本人同士のメンバーでそのテーマを話し合う中で、隣のテーブルでは飢餓の問題について話し合っていて、反対側のテーブルでは肥満の問題を話し合っている。この問題を同時に解消できないのかということから着想を得て、立ち上げに至りました」。

ーー日本発のNPOなのですね。それからどのように「おにぎりアクション」をはじめ、活動を展開されていったのですか?

「はい。〈TABLE FOR TWO〉を直訳すると『2人のための食卓』となりますが、先進国と開発途上国の子どもたちが1つのテーブルを通じて、食事を分かち合うことができる。そんなコンセプトで活動しています。

主な活動としては『TFTプログラム』が挙げられます。社員食堂や店舗などで、対象となるカロリーを抑えたヘルシーなメニューを購入すると、代金のうち、開発途上国の給食1食分にあたる20円が寄付されます。気軽に社会貢献ができ、同時に私たちも健康になれて一石二鳥のプログラムです。

年々メディアで取り上げていただく機会が増えたり、人づてに伝わったりする中で、企業に所属していなくても、個人として参加する方法はないかという声をいただくように。そこで誰でも気軽に、日常生活の中で社会貢献ができる取り組みを作りたいということで、『おにぎりアクション』が始まりました」。

ケニアで給食を食べる子ども(写真提供:TABLE FOR TWO)

ーーなるほど。現在、TFTの支援先として、ケニアやルワンダ、フィリピンなど5カ国が挙げられていますよね。これはどのように開拓されたのですか?

「我々も少ないメンバーで活動していますので、もともと現地に根付いて活動している団体と連携した方がよりお互いの強みを生かせると考え、現地の提携団体を探すことになりました。いろいろな方にご紹介いただいく中で、その地域が本当に支援が必要なのかどうかを見極め、支援先を決めております」。

ーー長年支援されてきましたが、状況は改善していますか?コロナ禍の影響はありましたか?

「飢餓や栄養失調をめぐる世界の状況をお話ししますと、我々が支援を始めた2007年から飢餓の人口は年々減っていたのですが、3、4年ほど前から気候変動や紛争問題などの影響で、飢餓人口が増えていきました。そして、追い討ちをかけるように、新型コロナウイルスの流行拡大があり、今後、飢餓人口の急増が懸念されている状況です。コロナ禍で、確実に後戻りしてしまっています。

TFTの支援先についてお話すると、コロナの影響で、長く休校が続きました。私たちは、開発途上国の中でも、1日2ドル未満で暮らす極度の貧困状態にある子どもたちの支援を行ってきたので、学校給食が唯一の救いである子どもたちも多いんです。休校が続き、学校給食が提供できないとなると、命に直結する問題にもなってしまう。提携団体のスタッフと協力しながら、調理前の食材パックを提供して、対策はとっていたのですが、調理自体は各家庭に委ねられているので、休校後に調査したところ、栄養失調と判断される子どもの数は1.5倍に増えてしまった地域もありました」。

ケニアのナイロビにあるスラム街をみた衝撃もTFTで働くきっかけの一つだったそう(写真提供:小此木さん)

ーーやはりコロナ禍の影響は大きかったのですね。

「はい。ただ、給食支援と並行して、手洗いをする習慣づけや、布マスクの作り方のトレーニングといった衛生教育も行っていました。コロナの影響によって、子どもたちをはじめとする地域住民の衛生観念が向上したという点は、数少ないコロナ禍によるポジティブな変化だと思っています。実際に下痢症や呼吸器疾患に罹る子どもの数は減少しているという報告を受けています」。

ーー小此木さんご自身のこともお伺いしたいです。TFTには17年にジョインされましたが、何かきっかけはあったのですか?

「私は大学卒業後、新卒で商社に勤めていました。もともとの大学時代から開発途上国をバックパックで旅行する機会があって、いつか開発途上国の支援にまつわる仕事に就くことができたらいいなという思いは持っていたものの、実際商社で働いてると、毎日が忙しくて、楽しくて。なかなか方向転換をできずにいました。

大きな転機となったのは、私の場合、ライフイベントの変化です。結婚をして、夫がケニアに駐在になりました。愛着をもって働いていた会社を退職することは容易な決断ではありませんでしたが、駐在に帯同する形で、一度会社を退職。結果的に半年で帰任することになったのですが、日本に戻ってきたタイミングで、自分の人生、これから何に力を注いでいきたいかと考えたんです。

自分自身も妊娠・出産のことを考えると、30代で何か新しい一歩を踏み出すことは難しいのではないかと考えていたのですが、TFTで働く前に、外資系企業の社会貢献の部署で一時的に働いたことがあって。そこでは40代や50代の女性でも、自分の強みを生かして転職することが当たり前の環境だったんですね。私も自分の年齢や可能性にとらわれずに、新しいところに飛び込んでみたいと思って、17年からTFTに参画しました」。

ーー今、とても楽しく働いていらっしゃる感じがします!

「はい、ありがとうございます。人数が少ないので、いろいろと勉強しながらではありますが、楽しくお仕事をさせてもらっています」。

〈TABLE FOR TWO〉

https://jp.tablefor2.org/

「おにぎりアクション」
期間:2021年10月5日(火)〜11月5日(金)
公式サイト:https://onigiri-action.com/
参加方法:おにぎりの写真を専用サイトに投稿、もしくは「#OnigiriAction」をつけてSNS(Twitter、Instagram、Facebook)で投稿すると、1投稿につき給食5食分が寄付されます。
なお、今年のキャンペーンでは、車内もしくは車外にて撮影したおにぎりの写真に 「#OnigiriAction #思い出をよくばろう」を付けて特設サイトまたはSNSに投稿すると、1投稿につき、給食10食を〈日産セレナ〉が協賛します。

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