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草笛光子「こんちくしょう…!!」 女優人生70年、初めて監督に言われた言葉

  • 2021.10.9
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人生の先輩的女性をお招きし、お話を伺う「乙女談義」。今月のゲストは、10月で88歳を迎える草笛光子さん。『その女、ジルバ』のくじらママのご登場です。第1回は「好奇心と“やってやろう”魂が大事です。」。

好奇心と“やってやろう”魂が大事です。

私の芸能界入りは、女学校(今でいう女子高校)を中退し、松竹歌劇団(SKD)に入り研究生になったことが第一歩。素人でしたので、3年間みっちりダンスと舞踊、歌のレッスンを受け、ありがたいことに在学中から舞台に出演。卒業後はそのままSKDに所属しながら、映画やテレビに出させていただき…今に至ります。気がつけば女優になって70年余り。舞台でもストレートプレイ、ミュージカルなどいろんな役をやらせてもらって、とても幸せな女優人生だな、と思っています。

作品選びだけではないですが、私が大事にしているのは“好奇心”。演じる役柄に対して、やったことのない役をいただいたときはもちろんですが、今日のように雑誌の取材で用意された衣装やその日の髪型でも全部、与えられた役のように思うんです。それで、“よし、やってやろう!”って気持ちが湧いてくる。未知の難しいことに挑戦するのって、いくつになっても楽しいわよね。

女優に“演技をしないでくれ”って何事?!

この秋、出演した映画『老後の資金がありません!』が公開されます。かつて浅草にあった老舗和菓子屋を夫とともに切り盛りしていた妻、という役どころで、脚本を読むとこれがまあいろんな人を引っ掻き回す、結構な悪役。どう演じたらいいか…と監督さんに相談をしたら、「草笛さんはそのままで十分おかしいですから、演技はしないでください」と言われたわけ! 私、70年以上女優をやってきて、少しは二枚目なんじゃないかしらと思っていたのに、「何もしないでいい」って。そんなことを言われたのは初めてで、心の中では「こんちくしょう…!!」って(笑)。

でもそこで逆に考えたんです。そうおっしゃるならすべて監督に預けよう。その代わり、良くても悪くても監督のせい。それもある種の好奇心よね。ただ、試写を観た方から「おもしろかった!」と言われると、“え、私の素がそんなにおもしろいの…?”と不安になります(笑)。

くさぶえ・みつこ 女優。1933年生まれ、神奈川県出身。松竹歌劇団を経て女優デビュー。以来映画、ドラマ、舞台、ミュージカルなど幅広く活躍。10/30より映画『老後の資金がありません!』が公開。衝撃の傑作コメディです!

アクセサリー協力・ABISTE(TEL:03・3401・7124) その他はスタイリスト私物

※『anan』2021年10月13日号より。写真・中島慶子 スタイリスト・市原みちよ ヘア&メイク・中田マリ子(ヘアーベル)

(by anan編集部)

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