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料理も人生も魅力的! “女将”に会いに行きたくなる本『女将さん酒場』

  • 2021.10.3
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食や酒にまつわる文章を多数執筆している、フリーライターの山田真由美さん。2017年に発売した酒場に集う男性に関するエッセイ『おじさん酒場』に続き、再び酒場をテーマに本『女将さん酒場』を執筆した。今回のテーマは、魅力的な酒場を切り盛りする女性たち、つまり“女将さん”。

「女性も自己実現しやすい世の中になりましたが、それでもまだ、やりたいことを実現し、それで生きていくことのハードルは高いと感じます。以前から、頑張っている女性を応援したい、そういう女性について書いてみたい、という気持ちがあり、そんな話を編集の方としていたところ、“ならば女将さんについて書いてみては?”とアドバイスをもらい、今回の本を書くことになりました」

登場するのは、女性のオーナーシェフはごく少数という飲食の世界に飛び込み、自分の城を構え、日々頑張っている“女将さん”13人。彼女たちに仕事、人生、食への思いなどを取材。描き出された生き方は13人13様ですが、全員揃ってかっこいい。

「私にとって飲食店は総合芸術。料理、空間、シェフ、お客さん、流れる音楽…。そういう要素が絶妙なバランスで絡み合い、食べ物やお酒がより美味しくなる。素晴らしい総合芸術が生まれるところには名監督がいて、今回取材をさせていただいた13人はまさにそれ。料理人としての求道に加え、後輩のために一肌脱いだり、家族に対して労力を惜しまないなど、努力の方向が一方向ではないのも共通点。味はもちろんですが、バイタリティ溢れる女将さんたちに会えることも、“女将さん酒場”に足を運ぶ大きな理由だと思います」

女将さんの言葉やちょっとした動作、お客さんの言葉、そして食にまつわる描写のすべてがみずみずしく、お酒好きの人ならば、行間からにじみ出る山田さんの食や酒場への愛に共感せざるを得ない。

「しばらくはこの本で居酒屋への思いを温め、コロナ禍が一段落したら、ぜひ気になるお店の女将さんに会いに行ってみてほしいです」

登場した女将さん酒場の中で、anan読者におすすめを厳選。

清澄白河『酒と肴 ぼたん』の金岡由美さんは、いつも和服でカウンターに。

林佐和さんは荒木町『やくみや』の店主。凛々しい佇まいが素敵。

長野県諏訪市の『あゆみ食堂』の大塩あゆ美さん。「料理をする手すら美味しそう!」(山田さん)。

西小山のワイン酒場『fujimi do 243』の渡邊マリコさん。山田さん曰く「イタリアのマンマそのもの」。

『女将さん酒場』 自らの店を構え、料理をし、お客さんをもてなす女性たちこそ、女の将軍=女将さんである! 飲食に生きる人生を選んだ13人の女将さんたちの姿に感動しながら、酒場の楽しさも味わえる1冊。ちくま文庫 990円

やまだ・まゆみ フリーライター、編集者。食や酒、酒場に関する著述が多数。著書に『おじさん酒場』(ちくま文庫)が。読売新聞夕刊にて「ぶらり食記」という連載も。また地元・下田で居酒屋も営む。

※『anan』2021年10月6日号より。インタビュー、文・河野友紀

(by anan編集部)

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