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官能的でコミカル!? とびきりチャーミングな恋物語『ボヴァリー夫人とパン屋』

  • 2015.7.17
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フランスで4週連続興行成績第1位の大ヒットを記録した話題作が、日本でも公開され好スタート。

先日、フランス映画祭2015でプレミア上映された話題作『ボヴァリー夫人とパン屋』が先週末に公開された。
「パンをこねるシーンがこんなに官能的だなんて!」と評判(!?)の本作、フランスが好きで、美味しいパンが好きで、さらには美形青年、ラブロマンス、シニカルな笑いも大好き、という方には、特に気に入ってもらえそう!?

ジェマ役には偶然にも同じ名前だったジェマ・アータートン(『アンコール!!』)。なんと監督に彼女を薦めたのはイザベル・ユペールだったとか。美形青年役には、グザヴィエ・ドラン監督『マイ・マザー』などに出演のニールス・シュナイダー。


◆ストーリー

パリで12年間、出版社に勤務した後、故郷のノルマンディーに戻って、パン屋を継いだ初老の男、マルタン(ファブリス・ルキーニ)。文学好きの彼は、向かいに越してきたイギリス人の夫婦、チャーリー(ジェイソン・フレミング)とジェマ・ボヴァリー(ジェマ・アータートン)が、愛読書であるギュスターヴ・フローベールの最高傑作『ボヴァリー夫人』の登場人物と名前が似ていることから、勝手にジェマを"ボヴァリー夫人"に重ね合わせ、さまざまな妄想を抱き始める。奔放な彼女は、チャーリーという夫がいながら年下の美形青年と不倫している。それを知ったマルタンは『ボヴァリー夫人』の結末を想像し、ある行動に出てしまうが......。

原作は、イギリスの絵本作家ポージー・シモンズのグラフィック・ノベル。ただし、結末はオリジナルだそう。


◆男の妄想が!? チャーミングな脚本に魅せられて

"妄想"といえば女の特権だと思っていたが、本作に至っては妄想を通り越して"思い込み"、その結果大胆な行動に出てしまうのは男性の方。しかも、そのマルタンってば、彼女の為に良かれと思ってやることが、次々に予想外の顛末に......。この男、フツーなら面倒くさいタイプとして嫌われそうなのに(笑)、ファブリス・ルキーニの芝居が巧い。密かにジェマに恋心を抱きつつ、自分の妄想力で勝手に盛り上がっちゃうところが、何とも憎めず思わず笑ってしまう。一方、ヒロインのジェマも健康的なエロティックさに溢れていて女性から見ても魅力的。思わず美形青年と恋に落ちて、お城のような家でロマンティックな時間を過ごすひとときなんて、「私もいつか美形青年と......」という、いけない妄想まで駆り立ててくれる。

また、彼らを取り巻く人々もチャーミングで、交わす会話もウィットに富んでいる。時折、登場する「フランス人は〜」「イギリス人は〜」というお互いの国を意識したセリフは、国民性をよく知っている方なら、きっと面白く感じるはず。

監督は、『ドライ・クリーニング』や『ココ・アヴァン・シャネル』のアンヌ・フォンテーヌ。とっても美しくセクシーな女性です。


◆官能的なシーンとコミカルな場面との絶妙なバランス

マルタンの妄想から二転三転、物語は思いもよらぬ方向へと展開していくのだが、そこには常にパンと恋が存在している。

マルタンが焼くパンを買いに来るジェマ、そんなジェマはさまざまな愛を行ったり来たり。アンヌ・フォンテーヌ監督が描く美しいシーンの数々も必見だ。ジェマのうなじや、体のラインが出たワンピース姿など、マルタンのときめきが伝わってくるような官能的なショットに思わず見惚れてしまう。そして、マルタンがジェマにパンのこね方を教えるシーンがあるのだが、なぜかこのシーンまでエロティック。必見(笑)。またノルマンディーのキラキラと眩しい景色も格別で、ちょっとした旅気分も味わえる。夏休みはまだ先だけど、バカンス気分を味わいたいなんて方にもオススメ。ただし、ラストはまさかのまさかなので、その展開をお楽しみに!

『ボヴァリー夫人とパン屋』
監督:アンヌ・フォンテーヌ
出演:ファブリス・ルキーニ、ジェマ・アータートン、ジェイソン・フレミング、ニール・シュナイダー、イザベル・カンディエ
シネスイッチ銀座ほかにて公開中。
(C) 2014-Albertine Productions-Ciné-@-Gaumont-Cinéfrance 1888-France 2 Cinéma-British Film Institute
http://www.boverytopanya.com/


◆おまけ

フランスといえば、今週末にオススメのイベントが開催されます。映画監督、歌手、俳優とさまざまな顔を持つセルジュ・ゲンスブールをフィーチャーした「ゲンスブールナイト」の記念すべき20周年。ジェーン・バーキンのワールドツアーバンドに抜擢された坂口修一郎氏(Double Famous)が登場し、ゲンスブールマニアで元「東京スカパラダイスオーケストラ」の冷牟田竜之氏が特別パフォーマンスを披露します。日本初上陸のシャンパーニュも登場するとか。

こちらのイベント、私も出演させていただいたことがありますが、個性豊かなアーティストたちのパフォーマンスが本当に刺激的。ぜひ美味しいお酒と音楽&トークを楽しんで!

出演者の「黒色すみれ」。クラシックやシャンソン、日本歌曲や大正ロマンを基調とした音楽、独自の世界観を持ち、Le Mondeなどフランスのメディアでも紹介された「ロリータ・クラシック・ユニット」です。

「ゲンスブールナイト2015 GAINSBOURG NIGHT 2015~20 years anniversary」
日時:2015年7月20日(月)16:00~22:00
会場:六本木スーパーデラックス
料金:前売り・予約3,000円、 当日3,500円 (別途DRINK700円)
https://www.facebook.com/gainsbourgnight

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