SHOCK EYEが教える伊勢の知られざる「絶景スポット」

何度も通うことで「心のふるさと」になる

僕が伊勢神宮に何度でも通う理由はまだある。こんなふうに言うのは畏れ多いけど、伊勢はもう僕にとって自分の地元や実家のような感覚なんだ。自分の体を作る成分のひとつ。「そんなに何度も行って飽きないの？」と思う人もいるかもしれないけど、実家や地元に「飽きたなー」とか思わないでしょ？

「あーやっぱ落ち着くなー」って感覚を、みんなはどこに感じるだろう。実家や地元以外にも、たとえば学生の頃から通った定食屋さんとか、旅行で行くハワイ、という人もいるかもしれない。みんなそれぞれだし、それが僕にとっては伊勢っていうだけなんだ。

あとは、何度も訪れるうちにご縁がつながった人たちにまた会いに来るって意味合いも大きい。近くまで来たから顔出さなきゃ、みたいなね。少なくとも「ご利益を授かろう」とか、そういう気持ちはあまりない。

もちろん僕もいろんな神社を巡る中で、今まで味わったことのない新鮮さや驚きを求めているところはある。新しい刺激やパワーというものも、日々を楽しく過ごすには必要だ。でもそれとは別に、安心や、自分の原点と感じられる場所も同じくらい大切なんだ。それは自分の心が常に整った状態でいるために。

伊勢神宮も最初はすごく新鮮だったし、でも今は安心の場所に変わってるってこと。「心のふるさと」なんていうと照れくさいけど、そういう場所は自分でいくらでも作ることができるんだ。

“絶対に変わらない場所”が教えてくれること

ただ何だかんだ言って、伊勢神宮には訪れるたびに感動させられるし、毎回新しい発見がある。1回だけじゃ分からないことってたくさんあるし、回数を重ねてこそ見えてくるものもあるんだよね。

前回見えていなかったものが見えたという事実は自分への自信にもつながるし、自分が変わったかどうか、その変化を受け入れているのかそうでないのかの基準にもなる。

「地元」でたとえるなら、久しぶりに会って友達の頑張ってる姿に何となく焦りを感じたら、それはきっと今の自分に納得がいってないってこと。逆に、会話にズレを感じたり、友達が昔のまま止まってるように見えたら、それだけ自分が前に進んでるってことなんだろう。

そういう”定点観測”ができるのは、神社はいつ行っても、絶対に変わらないでいてくれる場所だから。変わらないものにありがたみを感じるのは、僕がとりわけ変化の激しい世界で生きてるから、というのもある。ただ今は全てが急激に変わっていく時代で、その変化に無関係な人なんていない。だからこそ、絶対に変わらないものをみんな一つは持っておくべきだと思うんだ。

伊勢神宮は日本で最も有名な神社の一つだから、行ったことがある人は多いだろう。「1回行ったから大丈夫」という人もいるかもしれないけど、僕はそういう人にこそ、この機会にぜひもう一度訪れてみてほしいと思う。1度目には見えなかった景色が、今の自分にとって大切なことは何かを教えてくれるはずだよ。

＜column＞稲田の美しさに心洗われる、日本の原風景

皇大神宮の別宮、伊雑宮（いざわのみや）に隣接する「磯部の御神田（おみた）」。青い空に緑の山々、風に揺れる青々とした稲とまさに日本の原風景が広がっていて、その上を吹き抜けてくる風は真夏の暑さも忘れるくらい気持ちよかった。ここで毎年6月24日に行われる「御田植式」は、地元の方々も色鮮やかな装束で参加するとても華やかな祭事だそうだ。実った稲穂で一面が黄金色に染まる秋も、きっと息を呑む美しさだろう。違う季節に、また何度でも訪れたいな。

＜Data＞
今回、参拝したのは……

【伊勢神宮】
皇大神宮（内宮）：三重県伊勢市宇治館町1
豊受大神宮（外宮）：三重県伊勢市豊川町279
HP：https://www.isejingu.or.jp/
ご祭神：内宮：天照大御神（あまてらすおおみかみ）、外宮：豊受大御神（とようけのおおみかみ）

【SHOCK EYEプロフィール】
1976年神奈川県生まれ。RED RICE、若旦那、HAN-KUNとともに「湘南乃風」を結成、2003年デビュー。2011年にはポルノグラフィティの新藤晴一らとTHE 野党を結成。著書に『歩くパワースポットと呼ばれた僕の大切にしている小さな習慣』『歩くパワースポットと呼ばれた僕の大切にしている運気アップの習慣』（ともに講談社）がある。インスタグラム上で、Shrinegramという、オンラインでの会員限定コンテンツも人気。
Instagram：@shockeye_official
Twitter：＠SHOCK_EYE_

撮影／大坪尚人（弊社写真部） スタイリング／渕上カン ヘアメイク／大島千穂 取材・文／山崎恵 企画／黒田剛