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男性は大切にしている女性には手を出さない?【ひとみしょうの男ってじつは】

  • 2021.9.11
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男性は大切にしている女性には手を出さないというのは本当です。出さないというか出せないのですが、そのことについて以下に解説しましょう。

男の葛藤

と、その前に、「手を出してこない男=あなたのことを本気で大事に思っている男」ではない、ということを、まずはっきり申し上げておきます。彼が手を出してこないことからは、以下に申し上げる「彼の葛藤」がわかるのみで、それ以外の(女子が切実に知りたいと思っている)ことはなにひとつ言えないのです。

さて、本題へ。

男は、相手の女性のことが好きになりすぎると葛藤してしまって、その結果、手を出さない(出せない)ということになります。

彼は、大好きな彼女を前にして葛藤します。たとえば、現実と永遠の間で葛藤します。

現実というのは、「このかわいい彼女とエッチしている未来の俺」のことです。

一方、永遠とは「このかわいい彼女を女神のように大事にしたい=エッチなんて絶対できない」という気持ちのことです。男は、自分にやさしくしてくれる究極の曲線美に溢れた女性を見たら女神と思う癖を持っているのです。

永遠とはなにか?女神とはなにか?

その永遠なもの、換言すれば女神とは、肉体を持つあなたそのものですが、彼は、ときにオナラをしたりするごくふつうの人間であるあなたを神レベルまで美化しているので、「セックスさせてくださいと言ってもいいのかな」と思います。「ヤラせてくださいと言うと泣くかな」「ヤラせてくださいと言うと『不潔!』とドン引きされないかな」と思います。

しかしその一方で、先に書いたように、彼は現実もちゃんと認識しています。つまり「好きな彼女とセックスできるのは無上の幸せである」と知っています。

だから彼は葛藤するしかなくなるのです。片方で「女神をけがしてはいけない」と思い、もう一方で「ヤりたい」と思う。つまり、ブレーキとアクセルを同時に踏む、葛藤する、しかなくなるのです。だから手を出せなくなるのです。

男って、それがどのような男であれ、好きな女子のことを女神と思う癖があるので、基本、好きな女子には手を出せない(出さない)のです。

お願いだから「へたれ」と言わないで

がしかし、手を出さないままでいると、女子から「へたれ」とか「いくじなし」と言われた――そういった経験も男たちはちゃんとしています。

だから余計に葛藤します。本当は手を出した方がいいのではないか?出さないままだと「へたれ」と言われて彼女が機嫌を損ね、もう二度と口をきいてくれなくなるのではないか?

さあ、困りました。もう彼の頭のなかはぐちゃぐちゃです。

女神をけがしたくない、でもヤリたい、でもけがしたくない、でも手を出さないと「へたれ」と言われて二度と口をきいてくれなくなる恐れがある。葛藤。葛藤。葛藤。さあ困った。

キルケゴール哲学

その「困った感じ」が彼の心から消えるのは、女子が「許可」を与えてくれたときです。

それは具体的には、女神が「エッチしよ」と言ってくれた瞬間であり、彼女が彼の手をとり自分の胸に導いてくれたときです。その許可がないと、男はずっと葛藤のサイクルの中にいて、そこから「解脱」することができないのです。女神の導きがあってやっと、彼は解脱できるのです。

キルケゴールという哲学者は、私たち人間の葛藤の「構造」を精緻に記述しました(だから哲学界において「スター」扱いされています)。そのうえで、葛藤から解脱する方法を説きました。すなわち、神を信仰しなさい、と――。

キルケゴールの言う神とは、キリスト教のそれですが、僕は言外に女神、すなわち、彼の恋人のことをキルケゴールが言っている気がしてなりません。

キルケゴールは元婚約者のレギーネに「いいよ」と言ってほしいとずっと思っていたのではないか。そんな気がするのです。

※参考 ひとみしょう『自分を愛する方法』玄文社(2020)

(ひとみしょう/作家・キルケゴール協会会員)

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