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眞子さまと小室圭さんの年内結婚が「祝福ムード」からほど遠い本当の理由

  • 2021.9.3
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9月1日、読売新聞など報道各社が、秋篠宮家の長女眞子さま(29)と、婚約が内定している小室圭さん(29)が、年内に結婚される方向で調整が進められていると報じた。武蔵大学社会学部教授の千田有紀さんは「われわれは内親王の結婚相手に、高すぎるハードルを課していないか」という――。

眞子さま婚約/会見される眞子さまと小室さん
婚約が内定し、記者会見される秋篠宮家の長女眞子さまと小室圭さん=2017年9月3日、東京都港区の赤坂東邸(代表撮影)
父母と同じ「キャンパスの恋」の成就

2017年から4年にもわたった秋篠宮眞子さまの婚約騒動。お相手の小室圭さんをめぐって、さまざまな報道があったが、ようやく一段落しそうだ。これまで明らかに国民の多くが、このカップルを「祝福」する状態からは遠かった。「ほかにいい人はいるだろうに」という感想がSNSなどに踊っていたが、眞子さまの立場になってみれば、小室さんは唯一無二の人であるのは間違いない。

正直に言えば、お2人の婚約が内定したときには、ちょっと拍子抜けしたものだ。父母である秋篠宮夫妻と同じように、同じ大学での「キャンパスの恋」である。さらに、小室さんはある意味、現代の若者の代表のような人でもある。シングルマザーに育てられることも、給与がそれほど多くないことも、現代ではいたって「普通」だからだ。見方によっては「格差婚」ともいえる。しかし、それを問わない好意的なお祝いムードに、意外な気すらして、ほほえましく思ったものである。

ところが、小室圭さんの母親の「借金問題」が報道されるにしたがって、小室さんへの風当たりは厳しくなっていった。そうしたなかで「もっといい人がいるのになんで」という声は、さらに大きくなっていったように思う。

眞子さまが唯一、持っていなかったもの

ここで多くの人が「もっといい人がいる」といったときの「いい人」とは、どういう人であろうか。おそらく、社会的に地位のある人であり、学費のための借金をしなくてもいい人であり、よき親族に恵まれた人を指すのだろう。しかし眞子さまの立場からすれば、それらは何の意味も持たないのではないか。

眞子さまはすでに、ご自身が社会的な地位をお持ちだ。小さな頃から金銭的に不自由なく暮らし「借金をする」生活からは無縁である。ただ、眞子さまが唯一持っていないものがある。「自由」である。

「ロマンティックラブ」のラストチャンス

気心の知れた人、好きな人と結婚すること。もし小室さんと結婚しなかったら、内親王に「ふさわしい」男性が選ばれるのだろう。しかし、普通の人が羨むような相手との暮らしは、すでに眞子さまはお持ちであり、特段の魅力があるわけではないだろう。

それに対して、「好きな人と結婚して暮らす」という、普通の若者が謳歌おうかしている「自由」は、小室さんと結婚しない限り実現しないものである。

週刊誌等の報道によれば、眞子さまは大学時代の男友達との合宿時の写真が流出したことで、その相手とは疎遠になったという。ことの真偽はわからないが、普通の大学生たちがインスタグラムなどのSNSに自由に恋人の写真を投稿している一方で、内親王にはそれすら許されない。

こうしたことを踏まえれば、小室さんとの結婚は、自由な結婚、好きになった相手と結婚して添い遂げるロマンティックラブを実現する、ラストチャンスであったことは間違いない。

もし男女が逆だったら

秋篠宮はかつて、「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立する」という憲法に言及し、眞子さまの結婚は認めざるを得ないとおっしゃった。

私はこれを聞いたとき、かなりの違和感を持った。憲法が認めているのは国民の権利である。そうした自由や権利とは別のところで、身分などを皇室典範で決められているのが皇族ではなかったのか。眞子さまは、そうした「国民」のひとりになりたいと、切に願っているのだろう。

そもそも小室さんへのバッシングのきっかけは、親族の「借金問題」であった。しかしもし、小室さんが女性であったら、ここまで問題になっただろうか、とも疑問に思う。

比較するのは失礼を承知のうえだが、「キャンパスの恋」を実らせた秋篠宮さまの結婚は、紀子さまが当時ご家族とお住いだった学習院の職員宿舎の家にテレビがなかったことなどを含めて、「3DKのプリンセス」「質素」な「お嬢さま」として、かなり好意的に受け止められたと記憶している。

階段の下で踊るシンデレラと王子
※写真はイメージです
「内親王の結婚相手」に課された高いハードル

もちろん、小室さんが「母の婚約者には感謝している」「いま、眞子さまと婚約内定できたのも、婚約者の援助があったからである」という誠実な対応をみせないことが、結婚が好意的に受け止められない一因であることは間違いない。そういうところに不信感を持っているのだ、という人が多いのは理解できる。

ただ、眞子さまは結婚によって(現状の制度では)皇族ではなくなり、一国民、民間人になるにもかかわらず、祝福ムードからほど遠い。それは「内親王と結婚する男性は、やはり頼りがいのある、稼ぎのある、信頼できる、誠実な人が望ましい」という高いハードルを、私たちが無意識に課しているせいなのではないのか。もちろんそれは、「眞子さまに幸せになってほしい」と願う、親愛の気持ちの表れでもあるが。

男性版「シンデレラストーリー」は受け入れられるのか

小室さんの側から、この結婚ストーリーをみてみるとどうなるだろうか。

幼少時に父を亡くし、母は高い学費を工面して、プリンセスと同じ大学に入学することができた。「海の王子」に選ばれ、今度は本当のプリンセスと知り合うことができた。プロポーズをして、婚約内定。おかげで、アメリカに留学し、ニューヨークで弁護士資格試験を受け、就職先もみつけられた。そして結婚し、プリンセスとニューヨークに住む。

ある意味で、男性版「シンデレラストーリー」といった物語が作りあげられる。

しかしこれはあまり、好意的に受け入れられない物語である。女性が男性に見初められ、結婚によって地位上昇をはかる場合は純愛物語だが、男性が結婚によって地位上昇する物語は受け入れられにくいのだ。これだけのバッシングに耐えたことを、強い愛情と読み解くことも可能であるのに。

とりあえず、4年にわたる「婚約騒動」が幕引きを迎えそうなことに、ホッとしている。眞子さまはこれから、私たちが経験するような「普通の人生」を歩まれるのだろうか。結婚生活は山あり谷ありであるが、乗り越えられるのだろう。幸多きことをお祈りする。

千田 有紀(せんだ・ゆき)
武蔵大学社会学部教授
1968年生まれ。東京大学文学部社会学科卒業。東京外国語大学外国語学部准教授、コロンビア大学の客員研究員などを経て、武蔵大学社会学部教授。専門は現代社会学。家族、ジェンダー、セクシュアリティ、格差、サブカルチャーなど対象は多岐にわたる。著作は『日本型近代家族―どこから来てどこへ行くのか』、『女性学/男性学』、共著に『ジェンダー論をつかむ』など多数。ヤフー個人

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