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『ボイスⅡ』増田貴久は優しさゆえの苦悩が似合う 樋口と白塗り野郎の過去も判明

  • 2021.8.29
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『ボイスII 110緊急指令室』(c)日本テレビ

不可解な通報から始まった『ボイスⅡ 110緊急指令室』(日本テレビ系)第6話。「本当に怖いのは人間」、樋口(唐沢寿明)の言葉通りの、悲しい結末を迎えた。

現場は、3年前に殺人事件が起きたことから、心霊スポットと噂されるようになった廃墟。動画配信者の成瀬(松岡広大)は、リアルな恐怖映像を撮影することで世界中から注目を浴び、お金を手に入れるようと、何の罪もない少女・碧(花田優里音)を誘拐・監禁・薬物漬けにした。成瀬のつまらない承認欲求のために、我を忘れた化け物のような姿を全世界に晒され、人としての尊厳をも奪われた碧。彼女は二度、殺されたようなものだ。

廃墟を捜索中、石川だけは、碧が監禁されていた気配、薬物使用の痕跡、成瀬の不審な言動に気付いた。あのとき発作が起きなければーー自身の現状をようやく深刻に捉えた石川。今回の事件を最後にする、だから「必ず助ける」と誓った。助けられたかもしれない命が目の前で消えたのは、その矢先のことだった。

成瀬への怒りは成瀬にぶつけることができる。しかし、自分自身への怒りはどこへぶつければ良いのだろう。自らの心身不安定が真相解明を遅らせ、救出が間に合わず、被害者が死亡した。石川に罪はない、けれど自分を責めるには充分すぎるほど、残酷な現実だ。

感情の昂ぶりとともにまたも意識を消失した石川。目覚めるとそこには、血を流し倒れている小野田(大河内浩)の姿が。次週、石川は被疑者として追われることとなる。空白の時間に、果たして何が起こったのだろうか。

朗らかなパブリックイメージを持つ増田。多くの人が、増田貴久といえば笑顔を思い浮かべるのではないだろうか。過去に出演した『RESCUE~特別高度救助隊』(TBS系)や『レジデント~5人の研修医』(TBS系)においても、増田らしく、穏やかで真面目なキャラクターを演じてきたが、そこには共通して「苦悩」も描かれた。人知れぬ苦労や葛藤を抱えながらも、周囲に悟られないよう笑顔でごまかし、心の奥に押し込む。ぎこちない作り笑顔、今にも決壊しそうな笑顔、そして人の心の限界を、増田は表現してきた。優しさ、真面目さゆえの苦悩が似合う俳優だ。

『ボイス』では前シリーズ含め、重い苦悩と葛藤を演じている。石川が異常をきたしていることは誰の目にも明らかで、もはや作り笑いすらできず呆然と立ちすくむことも増えてきた。純名(片山友希)の死から狂い始めた心身、樋口への信頼と感謝、相棒としての矜持、正義感ーーさまざまを抱えて揺れ動く難役に、増田貴久という優しいオブラートが効いている。元来朗らかな人間が、もはや隠せないところまで深く思い悩んでいる姿ほど、見ていて心が痛むものはない。

第6話ではとうとう、樋口と白塗り野郎・久遠(安藤政信)の関係が明らかになった。樋口の話によると、白塗り野郎の正体は、過去に逮捕したある女性の息子。彼は被虐待児であったが、母親を逮捕・連行する樋口に対し「母さんを返せ」と、強い目で詰め寄った。その目が、白塗り野郎と重なるという。母親と引き裂かれた恨みから、大樹(鳥越壮真)との「親子の絆」を引き裂くことが目的なのではないかと、樋口は推測していた。

久遠の闇は相当に深い。ベッドに横たわる母親の手足の色は到底、健やかなものとは思えず、おそらくとうに命は尽きているはずだ。白塗り野郎の正体は明らかになったが、その本質はまだ見えてはこない。久遠はなぜ、人々の心に火を付け、復讐の背中を押すのだろう。なぜ今になって、樋口を狙うのだろう。

「僕がどう生きてきたか教えてあげないとね」。彼の「これまで」、そこに答えがあるのだろうか。(新 亜希子)

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