1. トップ
  2. おでかけ
  3. オテル・ドゥ・ラ・マリーヌで18世紀の豪奢に酔う。

オテル・ドゥ・ラ・マリーヌで18世紀の豪奢に酔う。

  • 2021.8.29
  • 2730 views

コンコルド広場に面したオテル・ドゥ・ラ・マリーヌもカルナヴァレ博物館、ラ・サマリテーヌ同様、6月にオープンした。ジュ・ドゥ・ポームの斜め向かいにあるこの建物は、2015年までフランス海洋省が使用していたので一般人には無縁だった。それが、4年がかりの修復の後、食事もできれば、18~19世紀のフランス装飾芸術を満喫できる文化遺産として、パリの観光名所のひとつに仲間入りしたのだ。地上階のレストランのひとつである「Café Lapérouse(カフェ・ラペルーズ)」についてはすでに紹介した通り。9月にオープンするジャン・フランソワ・ピエージュの「Mimosa(ミモザ)」の開店を待ちながら、まずはオテル・ドゥ・ラ・マリーヌについて少し知っておこう。

ヴェルサイユ宮殿の主役がルイ14世なら、オテル・ドゥ・ラ・マリーヌはルイ15世。まだリヴォリ通りもない時代に、チュイルリー公園とシャンゼリゼ大通りを結ぶいまのコンコルド広場を造り自身の騎馬像を設置し、広場に面して王室の家具調度品保管所として建築させたのがこの建物である。フランス国王に仕える主席建築家アンジュ=ジャック・ガブリエルによる建築で、保管所を管理していたのがマルク・アントワーヌ・ティエリー・ドゥ・ヴィル・ダヴレー。彼との縁故関係から、ここにフランス革命を機に1789年に海軍省の本部が入ることに。以来2015年まで海洋省が使い続けていた。今回、建物を所有するフランス文化財センターによる修復工事によって、保管所長のアパルトマン、小サロン、食堂などが18世紀当時の調度品を再現して蘇った。生地や壁紙は、修復不可の場合はオリジナルに忠実に新たに作り直すという力の入れよう。なお、ここで保管されていたのは家具調度品だけでなく、王室の宝飾品も。1792年にフレンチブルーと呼ばれるブルーダイヤモンドが盗難にあったのが、まさにここである。

フランスのサヴォワールフェールを集結させての大修復。保管所の管理者だったティエリー・ドゥ・ヴィル・ダヴレイ男爵の仕事場、住居内に木彫り細工、壁紙、布地、シャンデリア、鏡、絵画などが再構築され、来場者は18世紀の豪奢な装飾芸術に驚かされる。これらはコンコルド広場とサン・フロランタン通りのコーナーを占める部分。その中庭には新たにHugh Duttonによるガラスの屋根が設けられた。鏡が仕組まれていて、その輝きはシャンデリアのよう。晴天の日は太陽が燦々と広場を照らし、曇りの日でも明るいうえ、中庭はチケット売り場なので、雨の日の対応策ともなっている。

見学コースは2種類あり、どちらも締めはロジアと呼ばれるコンコルド広場を見渡せるバルコニーだ。Le Confidantと呼ばれるヘッドフォンをつけての自由見学なのだが、流れてくるのは会話スタイルで当時の雰囲気を織り込みつつの説明というのがおもしろい。「サロン&ロジア」(45分/13ユーロ)は広場に面した複数のサロンとギャラリー、そしてロジアの見学。グランド・ツアー(90分/17ユーロ)では、これらに所長のアパルトマンが加えられる。建築時にルイ15世の希望で、室内装飾は王室の邸宅なみの芸術的レベルで邸内に施された。それが再構築されてのオテル・ドゥ・ラ・マリーヌである。ヴェルサイユ宮殿まで足をのばす時間がない時、この後者のツアーで小規模ながら18世紀のフランス装飾芸術が見学でき、満足できそうだ。

Hôtel de la Marine / Centre des monuments nationaux2, place de la Concorde75008 Paris開)10:30〜19:00(土~木)、10:30~22:00(金)無休www.hotel-de-la-marine.paris

元記事で読む
の記事をもっとみる