日本の借金1,200兆円超…国民1人970万円の借金でも破綻しない理由

2021年、日本の借金が1,200兆円を超えたと財務省から発表されました。金額に驚き、少し前に破綻危機を迎えたギリシャを思い浮かべた人もいるでしょう。ここまでの借金がありながら、どうして日本が破綻しないのか疑問に思いませんか？今回は、莫大な借金を抱える日本が破綻しない理由について紹介します。

■2021年3月末の日本の借金は1,216兆円！

財務省によると、国債や借入金、政府短期証券を含めた国の借金は、2021年3月末時点で、1,216兆4,634億円と過去最高額になりました。2021年1月1日時点の総人口は、1億2,563万人なので、国民1人あたり約970万円の借金です。

■国民1人当たりの借金は約970万円！なぜ破綻しないの？

大きな借金を抱え、どうして日本は破綻しないのでしょうか？その理由について解説します。

●日本人投資家が日本国債を買うから

破綻危機に陥ったギリシャは、EU加盟国で、通貨はユーロです。そのためギリシャの投資家は、為替の影響を受けずに他のユーロ圏の国債を購入できます。破綻危機にある自国の国債を買う必要がありません。

また、高利回りを求めて破綻リスクのあるギリシャ国債を購入した投資家は、危険を察知するとすぐに売却するでしょう。結果、ギリシャ国債を支える人がいなくなり破綻危機を迎えます。

反対に日本の通貨は、自国通貨である円です。日本人投資家は、他国の国債を購入するには為替リスクがあると知っているため、安全資産を求めて日本国債を購入します。実際に、財務省の「債務管理リポート2021」をみても、2020年12月末の海外投資家の日本国債保有割合は13.3％で、ほとんどが日本の投資家です。

●金融政策を日本が決められるから

ギリシャはEU加盟国なので、金融政策の判断を他のEU加盟国に仰がなければなりません。しかし日本は、自国で貨幣を作ることも、独自の金融政策を打ち出すこともできます。日本銀行が日本国債を購入して、国債の価格を安定させるなどの方法をとることも可能でしょう。

■自国通貨建ての国債での破綻は考えにくい

財務省は、日本国債の格付けに苦言を呈しており、「自国通貨建ての国債の破綻は考えられない」と表明しています。金融機関に対して日本銀行が貸し手となる「日銀特融」といった無担保の融資もあるので、日本が破綻するリスクはさらに低いといえるでしょう。

文・山村望愛