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古閑美保コラム 「五輪で銀メダルを獲得しても、プロゴルファーは悔しいと思う」

  • 2021.8.26
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こんにちは、古閑美保です。今回からこのRegina-Webでコラムを持つことになりました。

私のゴルフに対する考えやゴルフ界に言いたいこと、女性ゴルファー向けの話しなど、歯に衣着せず、感じたことをお伝えしていきたいと思います。よろしくお願いします!

古閑美保プロ/写真提供 Zone.inc

夏の一大イベントの東京五輪が行われました。閉幕後もメダリストの方々がテレビに出演していたり、五輪熱が冷めませんね。ゴルフ競技では女子の稲見萌寧が、元世界ランキング1位のリディア・コとのプレーオフを制して、銀メダルを獲得。日本ゴルフ史上初のメダリストの誕生です。最終日、首位と5打差の3位タイからスタートした稲見は、12番から4連続バーディを奪うなど、17番を終えて首位のネリー・コルダに並びました。金メダルの可能性も高まりましたが、最終18番でボギーをたたいての銀メダルです。世界のトップ選手が集まる中で、本当に素晴らしいプレーで“優勝争い”を見せてくれました。そして、みんなが「銀メダルおめでとう!」。銀メダル獲得は素晴らしいことですが、私の中では、ちょっとしっくりこないんですよね。

私は現役時代、どの試合も優勝しか目指していませんでした。これは私の価値観ですが、2位でいいなんてことはありません。毎週のように行われるゴルフは1番を決める競技で、2位や3位は表彰されない、敗者なのです。五輪期間中、多くの選手から「ゴルフに2位はない」というコメントも聞かれましたが、やっぱりプロゴルファーは1番になってなんぼだと考えるものだと思います。五輪という4年に1度の舞台で周囲は稲見の銀メダルに盛り上がっていますが、1番が目の前にあっただけに、稲見自身は、とても悔しくて仕方ないと思うんです。

そもそもゴルフ競技は、前回のリオ五輪で112年ぶりに復活しました。当時のゴルフ競技を知っている人なんか、もういないですよね。私がゴルフを始めたのは30年ぐらい前です。当時は五輪に出るなんてことは、夢にも思っていませんでした。私たち世代のゴルファーには、なじみのないのが五輪だと思うんですよね。他の競技など4年に1度の大舞台と同じようにとらえるのは、私は難しいと思います。

2012年のロンドン五輪の時に、テレビ局のリポーターとして現地に行かせていただきました。生で見る初めての世界的なイベントに興奮したのは、今でも覚えています。当時、事前取材などで半年以上かけていろんなスポーツを追って、アスリートの方にインタビューをさせてもらいました。その中で「自分の限界に挑戦する」という言葉を何度も聞きました。女性でいえば生理が止まるほど追い込むとも聞きました。4年に1度の一瞬に、自分の極限にかけているのです。ゴルフのツアーは毎週試合があるので、“4年に1度”の思いは、私にはない経験です。もちろん、私たちも優勝するために日々の鍛錬は欠かせませんし、やらないと勝てません。毎週毎週試合があって自分の限界に挑戦するのと、4年に1度の大舞台に限界に挑戦するのとでは、限界の挑戦の仕方が違うように感じました。本当に自分の価値観が変わりました。競技によって五輪にかける思いも全く違うもの。だからスポーツは見ていて面白いのだと、私は思います。

稲見の銀メダル獲得は、歴史的な快挙で素晴らしいことです。しかし、同じプロゴルファーとしては、2位は悔しいもの。パリ五輪でもゴルフ競技はあるので、日本人選手が金メダルを首に掛けるのを期待したいですね。

こが・みほ/1982年7月30日生まれ、熊本県出身。身長167センチ、2001年プロ転向。03年にヨネックスレディスでツアー初優勝を遂げるなど、年間2勝を挙げて賞金ランキング3位。08年には年間4勝を挙げて、賞金女王戴冠。29歳になった11年、シード権保持していたがツアー引退。ツアー通算12勝。21年からGMOインターネットグループのアンバサダーに就任

取材・文/小高拓

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