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予想のつかない展開に息を呑む、台湾青春ミステリー『共犯』

  • 2015.7.10
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昨年の東京国際映画祭でも上映された話題作がいよいよ公開。


先日、友人と話していたら「通勤の電車の中では、いつもミステリー小説を読んでいる」という。「違う世界に飛び込んだ気分になれるし、最後に真実がわかった時の爽快感はストレス解消にもなるのよね」とのこと。

なるほど、確かにミステリー小説は結末が"いい意味"で読者を裏切ってくれればくれるほど、読み終わった時の衝撃や充実感は深いものになる。今回紹介する映画『共犯』は、鑑賞後にまさに独特の味わいの余韻と一筋の希望が残るミステリー作品だ。まずはストーリーから。

主題歌は、flumpoolが中国語で歌いあげた「孤獨」。台湾では先日、ワンマンライブが行われ盛り上がったとか。


◆ストーリー

高校生のホアン、リン、イエは、通学途中、同じ学校に通う女子生徒シャーが道で倒れて死んでいるのを発見してしまう。それまでほとんど面識がなかった3人だが、シャーが死んだ理由をゲーム感覚で調べていくうちに友情が芽生えていく。彼らは、シャーが内緒でつけていた日記に手がかりがあるのではないかと考え、それを探しに彼女の部屋へ忍び込むが......。

ホアン役には、長澤まさみ主演『ショコラ』などにも出演し、さまざまな役をこなすウー・チエンホー。さすがの存在感で登場。


◆観るものを翻弄する展開

今回は本当に、結末がまったく読めなかった。

冒頭、水の中にたゆたう少年たちが現れる。ミステリアスでもあり、神秘的......と思いきや、映像は一転、いじめられている主人公ホアンが登場する。え!? あの水の中のシーンは何の暗示......?

そう思っていたら、中盤、ああコレだったのか。という場面にいきつくのである。そして......と続きを書きたいところだが、勿論ガマン。既に公開された国では、その予想できないストーリー展開に多くの観客が翻弄されたようだ。


◆台湾青春映画の新しい風

本作を手がけたのは、視覚障害を持つピアニストを描いた感動作『光にふれる』のチャン・ロンジー監督。

日本でも大人気だったホウ・シャオシェンの『恋恋風塵』やエドワード・ヤンの『クー嶺街少年殺人事件』、2000年代の『藍色夏恋』『あの頃、君を追いかけた』など、現代を生きる若者たちの姿を瑞々しく描く台湾青春映画の系譜に、新たな潮流をもたらしたと絶賛されている。

ロンジー監督は、3人の男子たちそれぞれが抱える孤独や不安、悲しみを繊細に描きながらも、決して陰鬱な感じではなく、むしろ青春映画のようなタッチで若さゆえの光と影を紡いでいく。彼らの人生を左右する女子高生たちの存在も、また印象的だ。

ロンジー監督の色彩感覚にも注目を。学校の外と中では色の使い方を大きく変え、2つの世界の違いを際立たせている。


◆さいごに

観る前は正直なところ、男子高校生たちが主人公のミステリーって、世代的に楽しめるか不安だった。が、『スタンド・バイ・ミー』はいつ見たって、やっぱり心にグッとくるワケで、本作もまた若い彼らが様々な形で現実と向き合おうとする姿に胸を打たれた。そして、想像もしなかったエンディングと監督が残してくれた一筋の光に、何とも言えない余韻が残ったのだった。

作品タイトルの『共犯』とは一体誰と誰の事を指すのか? その捉え方は、観る人によってそれぞれ、なのかもしれない。


『共犯』
監督・脚本:チャン・ロンジー
出演:ウー・チエンホー、トン・ユィカイ、チェン・カイユアン、ヤオ・アイニン
Double Edge Entertainment (C) 2014 All rights reserved
2015年7月25日(土) 新宿武蔵野館ほか全国順次公開
http://www.u-picc.com/kyouhan/