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この夏こそ手に入れたい、こだわりの逸品。熟練技から生まれる美しい「麦わら帽子」

  • 2021.8.21

埼玉県春日部市にある「田中帽子店」は、日本でも数少ない、昔と変わらぬ製法で麦わら帽子を作り続ける天然素材の帽子工場だ。伝統の技を守りながらも、時代に沿った帽子を次々に提案。今夏は、丁寧に紡がれた日本人による、日本人のための麦わら帽子で涼しさを手に入れたい。

水運に恵まれた豊かな土壌のため、古くから麦の栽培が盛んだった埼玉県春日部市。この町では、明治30年頃にドイツからミシンが輸入されると同時に、麦わら帽子も多く作られてきた。農作業用の麦わら帽子を中心に作り、最盛期には数十軒ほどの帽子屋があったというが、現在帽子作りを行っているのは3軒ほど。中でも、明治期より130年にわたり営みを続ける田中帽子店では、日本人の頭に合わせた麦わら帽子を作り続けている。

縫いあがった麦わら帽子を天日干しする「寒干し」Harumari Inc.
金型を取り付けた専用の型入れ概を使い、水圧でプレスし成型する「型入れ」Harumari Inc.
汗止めやリボンなど全て手作業で行う「装飾」Harumari Inc.

昔ながらの製法で作る麦わら帽子は、材料をミシンに取り付け、帽子の形に縫製したのち、プレスして成型する……と、とにかく工程に手間がかかる。
麦わら帽子の原料は、主に麦の茎部分を編んだ「麦わら真田(さなだ)」というもの。職人は、1本の麦わら真田を円状に重ねながら帽子の形に縫製。独特で美しい造形美を作り上げていく。田中帽子店では、もちろんすべてハンドメイドで作られ、使われているミシンなどの道具も創業以来大切に使い続けているものばかりだそう。

長い間、地元の農家さんだけにとどまらず、多くの幼稚園や保育園の子供たちに愛用されてきた麦わら帽子。田中帽子店では、時代に合わせて、ファッションアイテムとしても取り入れやすいデザインを柔軟に提案している。

 

ていねいに編まれた帽子には伸縮性があり、かぶり心地も抜群に良い。さらに天然素材による通気性の高さから、涼しさも格段に違う。
帽子はかぶればかぶるほどその人に馴染んでいくもの。手作りだからこその馴染みの良さは、たとえば革靴が自分の足に合っていくような心地よさと似ている。長持ちさせるには日々のお手入れも必要だが、その分愛着も増して特別なアイテムになっていくだろう。まだまだ日差しの強い今夏。毎年の定番アイテムだからこそ、職人が丁寧に作り上げた品を選ぼう。

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