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ひきこもりの子を持つ親が、今から「やるべき」単純なこと。

  • 2021.8.11
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ひきこもりの高齢化が問題となってきた現代。保護者の年齢は80代、ひきこもり当事者の年齢は50代となることを指して「8050問題」という用語が作られるほどである。さらに高齢化が新たな問題も生み出している。それは、保護者がひきこもり当事者を残して亡くなってしまうこと。残されたひきこもり当事者はどうなるかというと、悪意のある人に騙されたり、場合によっては生活保護さえ受けられず自殺してしまったりするケースさえあるようだ。

そんな深刻な問題を抱えている親が頼りにできる一冊を紹介する。川崎栄太著『ひきこもらせた親が死ぬまでにやるべきことを教えます』だ。本書は、ひきこもりを自立させるための本ではない。親が死んだあとも子どもが生きていくために今できることを指南する本だ。例えば、本書では最終的なゴールを「生活保護受給」としていて、とても実践的な内容が書かれている。本記事では本書から役立つ部分を3つ紹介する。

生活保護受給を視野に入れる

問題を解決するにはゴール設定が欠かせない。子をこもらせた親が見据えるゴールは「いずれは生活保護を受けさせる」ことだと著者は言う。生活保護に偏見がある人も少なくないとは思うが、本来は困った人が正当に受給するための制度であるから、なんら恥ずかしいことはない。もし生活保護の知識を得ないまま「生活保護だけはイヤ」と考えるならば、それは親の無知か世間体の問題で、結局子どもより自分が大切なのだと著者は叱責する。

また、生活保護はお金をもらうだけと考えがちだが、実は本当の強みはケースワーカーに指導してもらえることなのだ。生活保護を受給すると地区担当員、つまりケースワーカーがつく。ケースワーカーは自立に必要な支援計画を立てて指導してくれるため、親がいなくなったあとの心配も軽減される。

病気や障害のことを勉強して病院に行く

ひきこもった原因は色々あるだろうが、大きい原因の一つに病気や障害があると著者は指摘する。中でも、統合失調症、軽度知的障害、発達障害が圧倒的に多いようだ。しかもこれらは見た目ではわからないとのこと。必ず親がしっかりと勉強して専門の病院に連れていくことを勧めている。特にひきこもりの診察をしてもらうには、発達障害や知的障害に明るい先生がいる病院にいくことが大原則だそうだ。

親が自分の人生を楽しむ

最後に本書で一番重要だと感じたことを紹介する。それは、「親が残された人生を楽しむこと」だ。これは子どものことを見捨てて楽しむということではない。子どもが生まれてよかった、自分の人生は幸せである、と子どもに行動で示すためにも、親である自分が楽しむことが大切であるという著者のメッセージだ。実はこのメッセージが本書の最初の項目に書かれている。親が自分の心にもしっかりと向き合った上で、様々な役立つアドバイスを実践することが大切なのだろう。

その他にも成年後見制度の紹介や資産を現金化しておくなど、実際的に役立つ情報が得られる。実践的な内容に絞って記載されているため、比較的薄い本で読みやすい。お悩みの方にぜひ手に取っていただきたい一冊である。

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