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【星のや東京】宿泊者限定のディナーコース「Nipponキュイジーヌ ~発酵~」は、フレンチと発酵食品のエンターテインメント!

  • 2021.8.11
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大手町駅直結の“塔の日本旅館”星のや東京。地上17階建ての建物は1階がエントランス、2階がレセプション、3~16階が客室という構成で、最上階には地下1500mからくみ上げた大手町温泉も設けています。1フロアの客室数は各6室、全84室を有します。今回は、宿泊した人だけがいただくことができる、星のや東京のメインダイニングをレポートします。いったいどんなものが食べられるのでしょうか。

(C)星のや東京

スターシェフ渾身の「Nipponキュイジーヌ ~発酵~」とは?

江戸小紋「麻の葉崩し」のモチーフが連なった外観、エントランスで靴を脱ぎ、滞在中はスリッパを使用せず過ごす趣向、各階に設けられた宿泊者専用の「お茶の間ラウンジ」などなど、星のや東京はこだわりの宝庫。語りたいことは多々あるのですが、今回は、宿泊者だけが利用できる「星のや東京ダイニング」をフィーチャーしてお伝えします。

(C)星のや東京

星のや東京の料理長は、浜田統之氏。ボキューズ・ドール国際料理コンクールにてフランス大会本選世界第3位、魚料理で1位を獲得したスターシェフです。その浜田氏が、2020年より、日本に古くからある醤油、味噌、漬物、塩辛などのさまざまな発酵食品とフレンチの技法を融合させたディナーコース「Nipponキュイジーヌ ~発酵~」を提供しています。フレンチと発酵の組み合わせは、なかなかイメージしにくいと思いますが、エンターテインメント性あふれるおいしい時間が待っていました!

今回、いただいたのは、2021年8月31日まで提供されている「Nipponキュイジーヌ ~発酵~」の夏のコース。「ちょ、時間がないじゃん!」という方、すみません、大丈夫です。9月からは秋のコースが展開されるので、「こんな感じなんだ~」とイメージを膨らませていただければ幸いです。

巨石が出迎える、地下のダイニングへいざ

(C)星のや東京

さて、「星のや東京ダイニング」。こちら地階にあるんです。エントランスでは、地層をイメージした左官仕上げの壁と、巨石が出迎えてくれました。一見、レストランとは思えない、日常と少し隔絶した空間に、ワクワク度がアップします。あえて眺めがのぞめない場所にダイニングを設けるとは、なんとも大胆!

photo by kelly

洞窟を探検するような感覚で案内された個室のテーブルの上には、料理の食材とともに、漢字一文字のみが書かれたメニューが用意されていました。いったいどんなものが食べられるのだろうかとそわそわしているなか、最初にやってきたのは、「肥/ 鰻」。脂ののった鰻とサマートリュフ、サワークリームをライ麦パンにのせたオープンサンドウィッチです。ひとつ食べて大きなハスの葉っぱを開けてみると、もうひとつ構成を変えたものが用意されていました。

photo by kelly

2つ目のそれは、ライ麦パンの上にシェイブルチーズ、きゅうり、きゅうりの花があしらわれています。タレは発酵食材である鰻の魚醬。おいしさと楽しさに夢中でパクリ。

五味を表現する、スペシャリテ

photo by kelly

「石/ 五つの意思」は、浜田氏のスペシャリテのひとつ。石の上にのった一口サイズの料理は、日本料理で大切にしている酸・塩・苦・辛・甘という五味、そして、前菜、スープ、魚料理、肉料理、デザートを表現しています。この夏のメニューでは、酸味は鯵のルーロー(味噌)、塩味はほおずきのガスパチョ(塩麹)、苦味はサザエの肝のムース(サザエの麹漬け、海苔醤)、辛味は蛸のメルゲーズ(辛麹)、甘味はずんだ餅を模した、穴子の甘露煮(黒みりん)。どれもこれも発酵食材が用いられていて、すでに、発酵食材のバラエティの豊富さに圧倒され気味です。すごいな、発酵食材。

(C)星のや東京

「尽/鰹」は、夏に旬を迎える鰹を藁焼きにし、米麹醤とごま油でマリネした鰹に、南高梅のソースをあしらった冷菜です。鰹の下には長ネギのコンフィが潜んでいました。普段は捨てられてしまう鰹の血合いや内臓を使った、鰹のブーダンノワール(フランス料理で、豚肉の血と脂で作られる腸詰めの一種)も添えられていて、まさに鰹尽くし!茄子の焼きびたしも夏爛漫です。

photo by kelly

牛タンとアワビの心躍るカップリング

photo by kelly

そして、出ました、キング・オブ・夏の食材、鮎!「蒼/鮎」は、頭から骨、尻尾までまるごと約6時間コンフィ(食材を油に浸し、じっくりと煮るフランス料理の調理技法)した鮎を、パートブリック(小麦粉で作られた薄い皮)で包み、焼き上げることで鮎本来の味と風味を油で閉じ込めているそう。これは丸ごといただくとしましょう。ソースは、鮎の内臓を発酵させて作る発酵調味料「黒うるか」と、黒オリーブやにんにく、ケッパーなどを合わせて作っていて、和の食材のイメージが強い鮎が見事、フレンチに昇華されていました。

付け合わせのスイカのカッペリーニもさわやか!食がすすみます。聞けば、焼いた鮎は瓜やスイカの香りがすることに由来しているのだとか。ちょっとー、楽しいんですけど。

photo by kelly

メインは「凝/牛タン」。2020年夏まで、浜田氏は、星のや東京では魚介類をメインとしたコース を提供していましたが、コロナ禍で捨てられてしまう鴨を仕入れたことをきっかけに、肉料理の提供をスタートしたのだとか。

今回の肉料理は、牛タンとアワビというかなり贅沢なカップリング。牛タンの間には山わさびや発酵昆布の佃煮が入っていて、その上にアワビがどどん。磯の香りを放つアワビの肝を裏ごししたものと赤ワインを合わせたソースとの相性も抜群です。別添えで、牛テールとフォアグラ、夏野菜、奈良漬け、牛テールのブイヨンで構成されたテリーヌも。なるほど、だから「凝」なんだ!

発酵食材の奥深さに開眼!

(C)星のや東京

小夏のグラニテ「爽/小夏と大葉」。白麹仕込みの日本酒のジュレ、大葉のソルベなどを合わせた、さわやかなアーバンデゼール。

photo by kelly

メインデゼールは「遊/桃」。水やシロップに漬けるのではなく、フレッシュな桃を真空調理しコンポートし、発酵クリームと合わせたもの。夏の草原で遊ぶアゲハチョウを模した2重のラング・ド・シャは、センターにナイフを入れると、羽ばたいて見えるという演出も粋です。

お腹も気持ちもすっかり満たされ、大満足。おいしくて、楽しくて、そして、カラダにも良いなんて最強!今まで知ることのなかった、フレンチと和、そして発酵食材の未知なる可能性に出会えること請け合いですよ。食べた後には発酵食材に対する愛情がぐぐんと増しているんじゃないでしょうか。

そんなわけで、早くも秋のメニューが気になっている今日この頃です。

(C)星のや東京

ちなみに「Nippon キュイジーヌ ~発酵~」は、アルコールペアリングもオーダーできます。温泉につかって発酵食材をいただき、ほろ酔い気分で就寝。これぞ大手町の極楽です!

(C)星のや東京

星のや東京 Nipponキュイジーヌ ~発酵~

住所:東京都千代田区大手町1-9-1星のや東京

営業時間:17:30~20:00入店

休業日:無休

座席数:テーブル4席、個室6室(2~4名)

料金:「Nippon キュイジーヌ ~発酵~」21,780円(税・サ込、宿泊料別)

※要予約、星のや東京宿泊者のみ

※状況によりメニューの内容、食材が一部変更になる場合あり

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