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体臭とは別モノ!? 汗をかくと“雑巾のニオイ”がする原因と解消法4つ

  • 2015.7.8
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【パパからのご相談】

40代。観光業の会社に勤務しています。毎年6月から9月ごろにかけて同じ悩みに苛まされるのでご相談させてください。毎日ちゃんと洗濯したシャツを着て出かけるのに、汗をかくと、体から雑巾のような耐えがたい悪臭が漂ってきてしまうのです。 私は身長が171cmで体重は85kgです。肥満体と言えば肥満体ですが、体はいたって健康で、これといって悪いところはどこもありません。妻や娘たちからも、「夏は周りの人のことを考えて、小まめに汗を拭いて、消臭スプレーも使うんだよ」と言われ、実践しています。それでもあの“雑巾臭”だけは別物のようです。何とかしたいのですが、良い方法はありますでしょうか?

●A. 雑巾臭は体臭ではなく基本的には“衣類臭”です。モラクセラ菌の仕業によるもので、良い対処法はあります。

こんにちは。エッセイストでソーシャルヘルス・コラムニストの鈴木かつよしです。ご相談ありがとうございます。

汗をかいたときに発生する、あの雑巾のニオイのような耐えがたい悪臭。私も長年にわたって“体臭の一種”と思い込んできました。ところが、2011年に行われた花王株式会社の研究によって、『モラクセラ菌』という雑菌が衣類の洗い残したタンパク質などを餌にして増殖し、それらが悪臭を放っているのだと解明されました。

もっとも100%衣類臭ということではなく、頭皮や髪があの雑巾臭を放つこともあります。この場合は、汗や雨に濡れることによって頭でモラクセラ菌が繁殖してしまったことが原因です。したがって雑巾臭は、「体臭であることもあるが、基本的には衣類臭である」と言えます。

いずれにしても原因が解明されたので、打つべき対策はあります。今回は、都内の総合病院で総合診療科に勤務する医師にお話をうかがいながら、考えてみることにしましょう。

●モラクセラ菌とはどのような細菌なのか?

『雑巾臭の原因となる“モラクセラ菌”は、日常の生活空間のどこにでもいる常在菌の一種です。この菌は健康な人には無害ですが、免疫力が極端に低下していると日和見感染症を起こすことがあり、モラクセラ・カタラーリスは成人の市中肺炎の原因菌としてしばしば検出されています。

2011年5月に花王株式会社が発表した研究成果で、洗濯物の部屋干しの際に発生する悪臭の原因菌が“モラクセラ・オスロエンシス”であることが突き止められ、この菌が雑巾のような悪臭を発生する“4メチル3ヘキセン酸”という化学物質を作ることが分かりました。まず、一般の家庭から雑巾臭がする衣類を回収し、付着している微生物を抽出し寒天培地で培養・分離しました。すると、滅菌して水分を加えた中古タオルで培養した場合、モラクセラ菌をつけたタオルだけ“4メチル3ヘキセン酸”が大量に生成されたのです』(40代男性/都内総合病院総合診療科医師)

●雑巾臭を解消する方法4つ

●(1)抗菌効果が80%を超える抗菌洗濯洗剤で洗濯する

『“部屋干し用”をうたっている洗剤であっても、実際の抗菌効果が3%台といった商品もたくさん出回っています。これに対して、「ニオイ菌99%抑制」をうたう花王株式会社の“アタックNeo抗菌EX・Wパワー”や、抗菌効果が80%を超えるライオン株式会社の“部屋干しトップ”といった抗菌洗濯洗剤は、一般的な菌のみならずモラクセラ菌にも対応していると考えられるため、雑巾臭の解消にも効果があります。実際に雑巾臭が漂うようになってしまったタオルなどを試しに洗濯してみると、その効果がはっきりとわかります』(40代男性/前出・医師)

●(2)弱酸性の石鹸などを使用する

『モラクセラ菌を退治するためには弱酸性の石鹸も有効と考えられます。たとえば、花王株式会社の“ビオレU”や第一三共ヘルスケア株式会社の“クリアレックスW”などを洗面器に適量入れ、60度程度のお湯に30分くらい浸しておくだけで大丈夫です。ただし、この方法で洗ったあとは風通しが良く日当たりが良い場所に干し、よく乾燥させることが肝要です』(40代男性/前出・医師)

●(3)雑巾臭が取れなくなってきたシャツは、棄てる

やや乱暴な方法ですが、上述の2つの方法を用いても雑巾臭が取れない場合、そのシャツは思い切って捨てて新しいものを買いましょう。もったいないと非難する方がいらっしゃることを重々承知のうえで、夏の間だけの期間限定悪臭対策と割り切ってご提案いたします。発している本人が耐えられないようなあの悪臭を、狭い職場で働く同僚たちがどう感じるかと想像すれば、この方法も“アリ”ではないかと思います。

●(4)頭が濡れたあとは、とにかく乾かす。水分を落とす

『雑巾臭は基本的には衣類の臭いであって、自分の“体臭”ではないことが分かりました。とはいえ、頭が雨や汗に濡れてしまったり、風呂上がりに髪の毛をよく乾かさずに眠ってしまったりしたときに発生する雑巾臭はやはり“体臭”です。このような場合、とにかく頭皮を乾かす、ハンディタオルなどでしっかりふき取り水分を落とす。雑巾臭はモラクセラ菌を退治することで消え去ることを思い出し、菌が繁殖できない状態にしてしまうことを心がけましょう』(40代男性/前出・医師)

●雑巾臭は誰にでも起こりうる問題です

いかがでしたでしょうか。体臭ではなく衣類で増殖した雑菌が原因なわけですから、雑巾臭は誰にでも起こりうる問題です。多量に発汗をすれば、「自分は体臭は大丈夫だ」と思っている人でも、ある日いきなりわが事としてふりかかる問題と言えます。

今回の方法で一定の対処は可能ですが、出先でやむにやまれず多量の汗をかいて雑巾臭に見舞われてしまうこともあるでしょう。そんなときは、やはり応急措置として携帯用のスプレー式消臭剤でマスキングするのが現実的な対処方法と言えるでしょう。

つまり、ご相談者様の奥様や娘さんが常々おっしゃっていたアドバイスの中に、「心がけていてもやむなく発生してしまう雑巾臭」に対する究極の対処法は隠されていたわけです。

【参考リンク】

・洗濯後に発生する衣類の悪臭の原因菌を解明 | 花王株式会社

●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)

慶大在学中の1982年に雑誌『朝日ジャーナル』に書き下ろした、エッセイ『卒業』でデビュー。政府系政策銀行勤務、医療福祉大学職員、健康食品販売会社経営を経て、2011年頃よりエッセイ執筆を活動の中心に据える。WHO憲章によれば、「健康」は単に病気が存在しないことではなく、完全な肉体的・精神的・社会的福祉の状態であると定義されています。そういった「真に健康な」状態をいかにして保ちながら働き、生活していくかを自身の人生経験を踏まえながらお話ししてまいります。2014年1月『親父へ』で、「つたえたい心の手紙」エッセイ賞受賞。

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