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下町カルチャーが面白い!鶯谷のホテル「ランダバウト」宿泊レビュー

  • 2021.8.6
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「鶯谷(うぐいすだに)」とあなたが聞いて感じる、街のイメージはどんなものでしょう。

歓楽街?治安が悪そう?女性一人で歩くのが怖そう……。

多くの人がそんなイメージを持っているかもしれません。わたしもその一人でした。

けれど今回訪れたホテル「LANDABOUT TOKYO(以下ランダバウト)」での体験宿泊を経て、イメージが一変しました。山手線の線路沿いから見えていたホテル群の先には、下町のカルチャーが色濃く残る、魅力的な鶯谷の街並みが見えてきたのです。

上野駅から一駅。アクセス抜群の山手線沿線に位置する「鶯谷」

鶯谷は山手線沿線と京浜東北線が走る駅の一つ。日暮里駅と上野駅の間に位置していて駅間の距離が短いこともあり、上野公園には徒歩10分ほどで着くことができます。駅別乗降客数をみると、鶯谷駅は最下位の29位(平成30年時点)。けれど山手線沿線なのでアクセスの良さは抜群です。

ランダバウトはそんな鶯谷駅の南口から徒歩5分ほどの場所にあります。山手線が走る駅でありながら、駅のサイズは少し小さめ。どちらかというとのどかな田舎町のような雰囲気も残っています。取材当日は梅雨明けの晴天。夏の始まりを感じる青々とした空が広がる風景が印象的でした。

いくつも走る線路をまたぐ大きな橋を渡り切ると、今回宿泊するホテル、ランダバウトが見えてきました。15階建ての建物には169部屋の客室が用意されています。マネージャーの濱田光紀さんと足立巴奈子さんにお話を伺いました。

コンセプトは「まちと旅人の交差点」

ランダバウトは2020年1月にできたばかりの、まだ新しいホテル。もともと銀行があった土地を活用して建てられました。

「信用金庫自体が人が集まる場所だったので、その思いを受け継ぎこのホテルのコンセプトも『まちと旅人の交差点』としました。地域の人がホテルに来たり、宿泊者が街を楽しんだり。ホテルを拠点に、地域の人・宿泊者・街が交わるような場所を目指して『LANDABOUT(環状交差点)』という名前をつけたんです」

1階には谷中エリアを中心に飲食店を経営する企業とタッグ組み、カフェバーを併設。ここでは宿泊者用の朝食をいただくことができます。(一食あたり1,100円で提供)

こちらが翌朝いただいた朝食。ベースに酢飯かパン、具材に全国各所の農家さんから届くフレッシュな野菜、自家製のドレシングをそれぞれ選択して、オリジナルの朝食が完成!わたしは酢飯をチョイス。さっぱりとしたご飯なので食欲のない朝でもするする入ります。

入り口付近にはカウンター席。通常は朝8時から24時までモーニング・ランチ&カフェ・ダイニング&バーなど時間に合わせて料理やドリンクを提供しています(取材時は時短営業中のため20時に閉店)。もちろん宿泊者だけでなく、地域の人がふらりと入ってもOK!

奥に進んでいくと、テーブル席があります。電源やWi-Fiもあるので、朝食をいただいた後にそのまま仕事!なんて生活もできますよ。

2階にはホテルの受付や宿泊者が利用できるラウンジ、ランドリー、自販機、電子レンジなどがありました。

1階の飲食店の食事はテイクアウトの予約もできるので、ホテルの室内でいただくことも可能です。外に出るのが面倒なとき、ホテル内でほとんどのことを完結できる設備があるのはありがたいですね。

3階から14階は1名から利用できるコンパクトダブルルームから、5人まで泊まれるファミリー向けのお部屋まで、さまざまな用途に応じて使い分けできる部屋が用意されています。

15階には芝生が敷かれたテラススペースもありました。遠くにはスカイツリーを眺めることもできます。

1階入ってすぐの場所にある、ロビー。1階のカフェのコーヒーを片手に、仕事できそう。

「1階のロビーやレストラン、2階のラウンジ、15階のテラスなど、どこにいても気持ちよく過ごせるようにこだわって造られています。部屋で仕事をされる際の気分転換に、ぜひ活用していただきたいです」

コンパクトながら狭さを感じさせない、リラックスできる客室

ホテルの室内を見ていきましょう。ビビッドなカラーが使われたロビー付近と一転、ナチュラルで落ち着いた雰囲気のデザインです。

広さは11㎡とコンパクトながら、あまり狭さを感じません。その秘密はベッドにありました。

足つきのものを選ばず、あえてマットレスのみのベッドにすることで、天井を高く開放的に見せるよう工夫したのだそう。

玄関を開けてすぐの通路も、一般的なホテルよりも横幅がしっかりとられているような印象がありました。

そしてテレワークや食事をする際に欠かせないのがデスク。テレビの前に設置されていますが、パソコンを置いても問題のない広さです。長期滞在でデスク付きのお部屋がマストの際は、予約時に伝えましょう。状況に応じてできるだけ対応してくださるようです。

デスクの脇にある引き出しは、深さがしっかりあるものが2段。長期滞在する場合には下着類などの小物や、洋服をしまっておくこともできそうです。

バスルームは3点ユニットタイプ。鏡が横幅いっぱいに、大きく設置されているタイプなので、浴槽にいながら鏡がチェックできる点もよかったです。

ベッドの足元にはちょっとしたスペースも。トランクを置いたりすることも可能です。

他にも無料のアメニティ配布サービスなども充実していました。わたしは低反発枕を貸していただくことに。ホテルの枕は硬さがしっかりとしていて合わないことが多いので、こうしたサービスは本当にありがたいです。

歩けば面白い!昔ながらの風景が残る、魅力溢れる鶯谷のスポット

ホテルの開業前から周辺の飲食店などへの挨拶まわりを熱心に行ったという、濱田さん。ホームページには、当時街の人たちに協力してもらった、おしゃれな写真がいくつも掲載されています。

ランダバウトのホームページより

鶯谷の街について伺うと「とにかく面白い!」と教えてくれました。

2階のフロント奥には、スタッフおすすめの飲食店などが掲載された大きなマップが。ほかにも地元の人が編集長となって魅力を発信するフリーペーパーなども設置されていて、街を楽しむ仕掛けがたくさんありました

「鶯谷は関東大震災や、東京大空襲でもあまり被害が少ない地域だったそうです。そのため古い建物や、昔ながらの飲食店もたくさん残っている街なんですよ。東京は新しい建物がどんどんできていくイメージだと思いますが、それとはまた違う、ディープな東京を感じられるエリアなんですよね」

ホテルから徒歩7分ほどの場所にある「レボン快哉湯」もその一つ。1928年から約90年間続いた銭湯は、その役割を終え3年前に廃業。現在は銭湯の名残をのこしながら、カフェ兼オフィスとして運営されています。

靴箱や体重計、番台などはそのままに。脱衣所のスペースは現在美味しいコーヒーをいただけるカフェへと生まれ変わり、富士山の壁画が残る浴槽スペースは、オフィスになっています。

お店の人と話したり、読書をしたり。仕事の息抜きに来ると良さそうです。

ホテルからすぐの場所にある「リトレア ヒーリングラウンジ」も、これから鶯谷の密かな人気スポットとなる予感がします。

2階では仕事などがしやすいデスクもそろっています。

古くからあった住宅を改装した建物の中には、さまざまな場所に椅子や机が配置されていて、好きな場所で思い思いの時間を過ごすことができます。

普段は出合わない本との出合い、庭を眺めながらいただくお茶、日ごろの悩みを書き出す時間……。忙しない日常から一歩抜け出して、「何もしない贅沢」を存分に味わうことのできる空間です。

好きな街で、気ままなホテル暮らし。あえて一人暮らしを選ばなかった理由って?-ホテル暮らし経験者・マロさんへインタビュー)

ほかにも名物ママのいる下町の洋食屋「レストランQ」、オーガニック食品やドライフルーツなどの量り売り食材を提供してくれる「cafe&kitchen ayacoya」、銭湯価格で複数のお風呂とサウナなどを楽しめる「萩の湯」など、ランダバウト周辺には一人で訪れても楽しめるお店がたくさんありました。

どこへ行っても「ランダバウトに宿泊している」と伝えれば、会話も弾みます。なんだか一人で暮らしているようで、一人じゃない。そんな気持ちになれる気がしました。

*

取材当時、7月上旬から東京都内で開催されている「東京ビエンナーレ」に合わせ、イベントが行われていました。

ランダバウトで無料の「所印帳」と呼ばれる台紙をもらい、周辺の提携店を巡りながら、オリジナルのイラストが描かれたスタンプを押すイベント「鶯谷所印」

いくつかのお店を巡るため街を散策していると、わたしが想像していた「鶯谷」のイメージがガラガラと崩れさっていくのが分かりました。まさに、いまランダバウトを中心に、鶯谷の街が変わろうとしている。それは決して見せたくないものを隠すということではなく、何事も面白がって魅力を掘り起こしていこうよ、という作業のようにも見えます。

宿泊予定のない観光客の方が迷い込んできたときにも、丁寧に街の魅力を伝えるスタッフさんの姿が印象的でした

まさに「まちと旅人の交差点」。

街のイメージで判断するのではなく、自分自身が入り込んで生活をしながら街を楽しむこと。自宅とホテルの間のような、そんなゆるやかな生活を楽しめるホテル、ランダバウト。まずはスタッフの方とお話に行くだけでもOKです。ぜひ気軽な気持ちで足を運んでみてはいかがでしょうか。

 

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