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不動産の個人間取引「仲介手数料が節約できる」という甘い言葉に潜む落とし穴は?

  • 2021.7.30
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土地や建物を売買するとき、不動産会社を通すと高額な仲介手数料がかかってしまいます。親戚や友人間なら不動産会社なしに個人間で取引した方が、経費を抑えられそうですよね?

しかし実際には不動産の個人間取引には高いリスクがあるので、よほどの特殊事情がない限りお勧めできません。今回は経費を節約しようとして知り合いから直接不動産を購入し、トラブルに巻き込まれたBさんの事例を見てみましょう。

会社の同僚から不動産を直接購入してトラブル!Bさんの体験談

Bさん(仮名・38歳)は会社員、妻と子どもと3人暮らしです。「そろそろ自分たちの家がほしいな」と思って不動産探しをしていました。なかなか予算内で良い物件を探すのは難しく、会社の同僚などにも家探しをしていることを相談していました。

そんなとき、それほど親しいわけではない別の課の同僚のCさん(仮名)が噂を聞きつけ「実は市内に不動産を所有しているのだけれど、買いませんか?」という話を持ちかけてきたのです。

Bさんは「家を買うときには不動産会社を通さなければならない」と思い込んでいましたが、Cさんの話によると、「不動産は個人間でも取引できる」とのこと。司法書士の無料相談を利用して確認すると、やはり「不動産会社は必須ではなく、個人間でも取引してかまわない」と言われました。

Cさんからは「不動産会社を通さなければ仲介手数料がかからないので、100万円以上節約できる」「僕のほうも不動産会社に手数料を払わなくていいので、その分売却代金から差し引いて安く売れる」と言われて、Bさんは「確かにその方がお得だ!」と考えました。

1つ目の落とし穴:ローンが通らない!

ところがその後、大変なことに。

Bさんは頭金として300万円用意していたものの、1200万円全額をキャッシュで払うのが苦しかったので、銀行の住宅ローンを申請しました。しかし、どこの銀行でも「不動産会社が入っていない取引ではローンを通せません」と断られてしまいました。

Bさんは自己資金を用意するしかなくなり、これまで子どもの教育費として貯めていた500万円の貯金を取り崩し、生命保険を解約して100万円を用意。250万円は親に頼み込んで借金、どうしても不足する50万円はカードローンを利用する羽目に。

2つ目の落とし穴:登記してくれない!

なんとか一括で1200万円を支払い、不動産をBさん名義に移してもらう手続きを申請しようとしました。ところがCさんはなかなか登記申請用の書類を用意してくれません。

司法書士に相談しても、「Cさんが協力しないと、Bさん単独では登記申請が困難です」と言われてしまいました。

Cさんは「とりあえず、今のままで家には住んでくれていい」というので家族で引っ越しを完了しましたが、家の名義は相変わらずCさんのまま。これでは「他人の家に住まわせてもらっている」のと同じことになってします。妻も心配して「早く名義を移してもらってよ」と言ってきて、Bさんは大変困ってしまいました。

弁護士に相談してトラブルに

Bさんはとうとう困り果て、弁護士に相談。

すると「相手が登記に協力しない場合、裁判で強制的に登記するしかない」と言われてしまいました。Bさんとしては、会社の同僚とのいざこざは避けたかったのですが、登記してもらえないと困ります。

仕方なく弁護士に依頼してCさん宛に内容証明郵便で通告書を送ってもらい、何とか登記書類を渡してもらうことができました。

しかし「いきなり弁護士から書類が送られてきた」と言われてCさんとの仲は悪化、会社内でも険悪になってしまいました。50万円の借金を抱え、貯金はなくなり、弁護士費用や司法書士費用もかかり、家族にも迷惑をかけてしまうことに。

Bさんは「こんなことなら初めから不動産会社を通じてまともな方法で家を買えばよかった…」と後悔しています。

不動産の個人間取引に潜むリスク

不動産会社を通さない「個人間取引」でも、それ自体は違法ではありません。しかし、Bさんのケースのように個人間取引には多大なリスクがあります。

ローンが組めない

まず個人間取引ではほとんどのケースで金融機関の住宅ローンを利用できません。

Bさんのように現金を用意して一括払いするか、相手と話し合って分割払いする必要があります。

しかし分割払いは売主に不利なので、渋られる可能性が高いでしょう。売主からすると本当に完済まで払ってもらえるのか不安ですし、途中で支払いが止まったら裁判などの手段をとらねばならないからです。

住宅ローンの団体信用生命保険に入れない

Bさんは購入資金を用意するために生命保険を解約してしまい、保険のない不安な状態に陥ってしまいました。

もしも住宅ローンを利用できたら「団体信用生命保険」に自動的に入るので、保険については万全の状態になったはずです。団体信用生命保険とは住宅ローンに付随する生命保険で、債務者が支払中に死亡したら、住宅ローン全額が保険会社から支払われるものです。

団体信用生命保険に入ったらこれまでの生命保険が不要になり、解約する方もたくさんいます。個人間取引をすると団体信用生命に入れたのに、Bさんは手数料を節約しようとして個人間取引したために、反対に保険を失ってしまいました。

登記に協力してもらえない

個人間取引の場合、相手がきちんと登記に協力してくれないケースが多々あります。

悪気がなくても「面倒だから」といった理由で書類を渡してくれないケースも少なくありません。そうなると、Bさんのように「他人名義の家」に居住し続ける状態になってしまいます。

ちなみに、今回はBさんが買う側の立場のケースでしたが、売主になった場合は、相手が代金を払ってくれないリスクを負うことになります。高額な不動産を売ったのに代金を払ってくれなかったら、多大な損害が発生するでしょう。

どちらのケースでも最終的に裁判をしなければなりません。多大な労力とストレス、経費がかかりデメリットばかりが大きくなります。

不動産の取引は宅建業者を通じて行おう

知り合いや親戚であっても不動産の取引は宅建士の資格と持つ不動産業者を通じて行いましょう。仲介手数料を節約すると、かえって大きなコストがかかってしまいます。

まして見知らぬ他人との取引は絶対に個人間で取引してはなりません。宅建士のチェックが入らない個人間取引は不動産詐欺に用いられるケースもあるからです。

親しい親子間で売買するケースのように「絶対的に信用できる特殊な場合」を除けば個人間取引をお勧めできるケースはありません。今後の参考にしてみてください。

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