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お金と引き換えに失ったものも…コロナ禍の節約で失敗した理由

  • 2021.7.30
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コロナ禍で先行きが不安な中、お金をより多く手元に残しておきたいと思う人もきっと多いですよね。
今回は、コロナ禍で節約をするつもりでがんばったはずなのに、本末転倒だったという女性の体験談を3つご紹介します。3人の体験から、節約を成功させる秘訣を考えていきましょう。

ランチ代節約で失った人間関係

まずは、ランチ代の節約で人間関係に思わぬ影響が出たというAさん(仮名・30代会社員・女性)のエピソードをご紹介します。
通信販売を運営する会社に勤めるAさんは、新型コロナウィルスの流行以降、フルリモート勤務に切り替わったそうです。

「リモートで働くようになってから、大きく変わったのが食事です。オフィス勤務の頃は、毎日日替わりでいろんなお店にランチを食べにいくのが楽しみでした。オフィスに出勤しなくなってランチがなくなり、最初はストレスを感じることもあったのですが、お金の減り方が全然違うことに気づいてからは、なんだかうれしくなりました」

Aさんのオフィスがあるのは、県庁所在地の中心部。
新旧さまざまなジャンルの飲食店がひしめき合うエリアでした。ランチではだいたい1,000円オーバー、月に一度開催される同僚とのランチ会では2,000円近く払うこともあったそうですが、必要経費だと思って特に予算は設定していなかったそうです。

リモート勤務となり、ランチへの出費が極端に減ったことから思わぬ節約に成功したAさんは、次第に食費を切り詰めることに大きな喜びを感じるようになりました。
しかしその逆に、食事にお金を使うことにストレスを感じるようになったそうです。

そんな折に、同僚からお誘いの声がかかります。

「うちは通販の会社なので、同僚もみんな通販好き。コロナ禍で外出できなくなってからは、みんなそれぞれにお取り寄せグルメを楽しんでいるのは知ってました。ある日、同僚の一人が『オンラインでお取り寄せグルメをリモートランチで楽しむ会をしよう!』と言い出したんです」

食費を削ることが楽しみになっていたAさんは、この誘いを断ります。
そのあとも何度か誘われましたが、ずっと断り続けているうちに、声もかからなくなったそうです。
当時はこの決断に何の疑問も抱かなかったAさんでしたが、数か月後、思わぬ事態に見舞われます。

「久しぶりにオフィス勤務すると、同僚とどうも話が噛み合わなくて。よく話を聞くと、お取り寄せグルメを楽しむ会はその後も定期的に行われていたそうで、近況報告をしたり、仕事で困ってることを共有したりして、とても強い結束が生まれていたんです。その集いにまったく参加していなかった私は、一人だけ蚊帳の外ですごく焦りました」

Aさんはそれから、節約の方法を見直したそうです。

「ランチとかお茶代って、単純に食事やお茶にお金を払っている訳じゃないんですよね。食事をともにする人との関係を維持するコストなんです。そのことに気づいてからは、ランチ代を0にすることじゃなく、メリハリをつけるよう意識するようになりました。オンラインのランチ会にも遅ればせながら参加でき、人間関係も仕事も、前よりスムーズになった気がします」

節約を考えるときに、多くの人がまっさきに削ろうとするのが外食費。
しかし、外食費は人間関係を維持するのにも必要な経費であることを覚えておきたいですね。
考え無しにお金を使わないのではなく、本当に必要な経費かどうかを見極めて使う力を身につけたいものです。

美容代節約のつもりが散財することに

続いては、コロナ禍で人と会う機会が減ったのを機に美容代を節約したつもりが、結果的にコストがかかってしまったというBさん(仮名・30代会社員・女性)のエピソードをご紹介します。

メーカーの企画職として勤務するBさんは、コロナの流行を機に週の半分をリモート勤務に切り替えたそうです。
オフィスに出勤するときもマスクが必須の毎日に、メイクをすることの意義を見いだせなくなったと言います。

「オンライン会議がないリモート勤務の日は、一日中すっぴんでいることも珍しくありませんでした。メイクをするって言っても、アイメイクをちょっとする程度。顔の半分はマスクで隠れているから、ファンデーションやリップがもったいないと感じていたんです。美容にかけていたお金も節約できるし、なんだか得した気分でした」

一日すっぴんでいた日はクレンジングもせず、保湿も適当に済ませることが増えたBさん。
さらに、短時間の外出なら、日焼け止めも塗らずすっぴんで出かけることも平気になっていったそうです。
定期的に買わなければならなかった化粧品の減りがゆっくりになったことで、出費を抑えることができたBさんでしたが、季節が変わる頃に後悔することになります。

「夏の間に手入れを怠ったせいか、秋になるとシミと毛穴がすごく気になるようになったんです。手持ちのクレンジングや保湿剤ではもうどうしようもないぐらい悪化してしまって…。そこから、シミと毛穴に効果があるとSNSで話題の化粧品を試す日々が始まったんです」

検索すればいくらでも出てくる化粧品を、一つずつ試していくしかなかったというBさん。
結局、夏の間に節約できた金額よりも、秋以降に肌のリカバリーのために費やした金額の方が高くついたそうです。

「肌にトラブルが起こってからだと、元の肌の状態に戻すための美容代が本当に高くつくことを実感しました。お肌のお手入れは継続することが大事だと思うので、人に会う予定がなかったとしても、自分のためにかけておくべきコストだと思います」

マスクが欠かせない毎日だと、美容にかけるコストがもったいないと感じる人もきっと多いはず。
美容代は適正な金額かを見極めつつも、必要なお手入れは継続しておきたいですね。

娯楽代節約で見えた意外な落とし穴

最後にご紹介するのは、ホテルに勤務するCさん(仮名・30代会社員・女性)のお話。
節約の動機や続け方について、考えさせてくれるエピソードです。

Cさんは、職場の雑談の中で同僚よりも貯金額が少ないことを知り、漠然と焦りを感じたことから節約をスタートしました。

「同じ会社で同じぐらいの年なのに、私だけ貯金が少なくて。これは、私のお金の使い方に問題があるんだと思って、片っ端から削れるものを削っていきました」

Cさんがまず削ったのは、音楽や動画のサブスクサービス。
続いて、仕事が忙しくてなかなか通えていなかったスポーツジムも退会しました。
さらに、長らく読んでいなかったマンガや書籍もフリマサイトで売却。

節約と同時に断捨離もできたことに満足していたCさんでしたが、このタイミングで新型コロナウィルスが流行し始め、生活に大きな変化が訪れます。

「勤務先のホテルでは出勤する人数を調整するようになり、お給料はもらえるものの家から一歩も出ない日が増えました。転籍や出向の話も出てきて、自分の将来がどうなってしまうのかとても不安で、ますます節約に傾倒していきました」

不安を抱えながらも、厳しい節約生活を継続していたCさん。
やがて、気分が落ち込むことが増えてきたそうです。

これはまずいと思い、友達に久しぶりに電話をすると、思いもよらないことを言われました。

「今の状態で節約を続けたら、心身ともにもたないよ!と説教されてしまいました。それから、ずっと家に一人でいれば誰だって気分が落ち込むから、好きな音楽を聞いたり映画を見たりして、まずは元気な自分を取り戻したら?とアドバイスしてくれたんです」

いくらお金がたまっても、心身が健康でなければ本末転倒ということに気がついたCさん。
自分を立て直すために、一度は解約した音楽や映画のサブスクサービスに再度登録します。
好きな作品に触れるうちに、憂鬱な気分も徐々に晴れてきたそうで、節約に対しても考えを改めたそうです。

「人と比較して漠然と不安を抱いたことが節約の動機でしたが、明確なゴールを持たずに、ただコストを削るだけの生活は続かないと痛感しました。それから、娯楽代って余分なコストに思えるけど、自分をリラックスさせたり、やる気を起こさせたりするのにはやっぱり必要なものですね」

コロナ禍の節約生活では、何のために節約するのかを明確にした上で、自分を健康に保つためのコストは安易に削りすぎないのが成功の秘訣なのかもしれません。

時代に合った節約方法で自分らしい生活を!

お金と引き換えに得ているものには、サービスや商品という対価だけでなく、人との関係性や生活の満足度も含まれています。
特にコロナ禍の今は、生活様式の変化も大きく、これまでどおりの節約方法では行き詰ってしまうこともあるのかもしれません。

節約を成功させるには、その時々の状況と、本当に必要なものを見極めてから計画を立てたいですね。

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