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夏バテ解消のカギは「ほっこり」! 夏の疲労、だるさを改善する意外な方法 #118

  • 2021.7.28
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ジリジリと肌を焦がすかのような強烈な日差しに、室内外の温度差…気力体力が奪われ、はやくも夏バテしていませんか。そこで、漢方薬剤師の大久保愛先生が、暑くてだるい状況を打破する簡単な方法を教えてくれます!

暑さに負けていませんか?

【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 118

そろそろ夏バテが始まっていませんか? 強い紫外線が降りそそぐなか、外を歩いていると体力がどんどん吸い取られていくような感覚になりますよね。特に何かを頑張ったわけではないのにドッと疲労感を感じたり、動きがスローになったりと時間を無駄にしてはいませんか?

そんな時には、体をクールダウンさせる冷たい飲み物やアイスや果物ではなく、胃腸を強くするほっこりするような食事をとるのがおすすめです。基本ですが体は栄養がないと元気には動かないので、食事で胃腸の働きを助けて栄養を補うことのできる食事をとることが大事ですよね。

そこで、今週は食事の見直しをしながら、暑くてだるい状況を打破する食薬習慣を紹介します。

今週は、暑くてだるいときの食薬習慣

最近「はぁ、疲れた…」が口癖になっていませんか? 朝、家を出発しようとするとき、ちょっと時間ができたタイミングについつぶやいてしまっている人は夏の暑さや冷房の環境に体が負けてしまっているかもしれません。

早く元気を取り戻さないと、だるい時間が続き、効率よく時間を使えず、楽しい自由時間が減ってしまいます。これを打破するためには、漢方で胃腸を整え体力をつける『脾気』を補うとよいとされています。そのためには、まず氷の入った飲料、麺やパンなどで完結する糖質過多の食事を控えることが大切です。そのうえで、胃腸を温め、胃腸の粘膜を強化し、タンパク質やビタミン、ミネラルを含む食事をとるようにすると効率よくだるさを軽減してくれます。

そこで、今週食べるとよい食材・メニューは、【モロヘイヤのサムゲタン風】です。

食薬ごはん【今週食べるとよい食材。メニュー:モロヘイヤのサムゲタン風】

本格サムゲタンは家庭では難しいので、手羽元を使った簡単サムゲタンを紹介します。まず、お鍋にみじん切りにしたにんにく(1かけ)を入れ、オイルで炒めます。そして、手羽元(5本)に焼き目をつけます。そこにお水(500ml)、もち麦(50g)、くるみ、千切りの生姜、キノコなどをお好みで加え20分程度中弱火で煮込みます。

手羽元がホロホロと崩れるのが目安です。最後にみじん切りにしたモロヘイヤを加え一煮立ちしたら、塩、こしょうで味を整え完成です。緑色のトロトロサムゲタンになります。

【モロヘイヤ】

モロヘイヤは、ネバネバしていますが、このネバネバが胃腸の粘膜を強化し消化をサポートしてくれます。さらに、体にこもった熱も冷ましてくれます。栄養素としては、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンE、カルシウム、鉄などを含んでいます。

そのため、夏バテ対策、ストレス対策、疲労回復、整腸作用などさまざまなメリットがあります。また、脂溶性のβカロテンも多く含むため油との相性もよく、鶏肉をグツグツ煮込んだサムゲタンと一緒にとるのはおすすめです。

【手羽元】

鶏肉には、タンパク質、ビタミンB群、ビタミンA、ミネラルなどが豊富ですが、骨ごとコトコト煮込むことでコラーゲンが低分子化され、胃腸にダメージがある人でも負担なく栄養の吸収ができるようになります。なので、煮込む時間は、時間があるなら長めにしていただけるとさらに良いです。中弱火にしていると焦げにくいので水を少しずつ足しながらじっくり煮込んでみましょう。

今回は、モロヘイヤでアレンジしてみましたが、ほぐしたタラコを混ぜてみたり、練り胡麻を混ぜてみても美味しいと思います。ぜひ、疲れた夏にはサムゲタンをお試しください。ほかにも体バテ対策のためのレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

※食薬とは…
漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもが体に影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか? 一月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。

月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人の体も約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。

つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化とさまざまなものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。

Information

大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。
公式LINEアカウント@aika

『1週間に一つずつ 心がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー)。

『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典』(KADOKAWA)
体質改善したい人、PMS、更年期など女性特有の悩みを抱える人へ。漢方×栄養学×腸活を使った「食薬」を“五感”を刺激しつつ楽しく取り入れられる。自分の不調や基礎体温から自分の悩みを検索して、自分にあった今食べるべき食薬がわかる。55の不調解消メソッドを大公開。

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©Catherine Delahaye/Gettyimages

文・大久保愛

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