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なぜ富裕層はいつでも早期リタイアできるのに「FIREに目もくれない」のか

  • 2021.7.28
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若い人を中心に早期リタイアを目指す「FIRE」が注目を集めています。いつでもFIREできるような富裕層たちは、それをどう見ているのでしょうか。外資系コンサルを辞めて不動産投資を始め、現在はその経験を活かしたコンサルティングを行う午堂登紀雄さんが解説します――。

夏休み, ビーチ旅行, カップルのための休暇
※写真はイメージです
頭文字ワードに要注意

昨今、米国を中心にして「FIRE」というコンセプトが人気です。これは缶コーヒーのことではなく、Financial Independence Retire Early、つまり「経済的に自立し、早期リタイアする」という意味です。

ちなみにこういうアルファベットの頭文字を使ったキーワードが出てくるときは要注意。必ずそれを商売にしよという人・企業が出てくるからです。

ビジネスの世界でもたとえばCRMとかSFAなどと、内容はごく当たり前のことなのですが、それを導入すればあたかもあらゆる問題が解決する魔法の道具のような響きがあり、ITベンダーのカモになってしまうというアレです。

また、そういう短縮キーワードを使うとなんとなく最新で賢くて、というイメージもあるためか、中身を深く考えずつい口にしてしまいがちです。「ナントカ2.0」とか「ホニャララ3.0」とか。それはついに芸能界にも波及し、「お笑い第7世代」といった言葉も飛び交っています。

経済的自立の2つの意味

ここでは、そういう表面的な新規性(に思えること)よりも、内実に目を向けてみます。

まず「経済的自立」は言うまでもなく重要で、これは誰もがうなずくところだと思います。

ただしこれには2つの意味があると私は考えていて、1つは一般的な「自分の労働力に依存しない不労所得がある」ということと、2つ目は「誰にも頼らず自分の腕一本で食べていける」という意味です。

貯蓄額が少なくても得られる不労所得

前者の「不労所得」にもいくつかパターンがあります。

たとえば若かりし頃は猛烈に働いて節約貯金し、あるいは起業してその会社を売却するなどして多額のお金を手にし、あとはそのお金を取り崩しながら生活するというタイプ。米国に多いと聞いたことがあります。

退職金制度
※写真はイメージです

次は、貯蓄額はそれほどではないものの、高配当株や高利回り債券による配当収入や金利収入で生活する人、賃貸用不動産を所有し家賃収入で生活する人です。

特に日本では、賃貸用不動産を複数所有し会社員を卒業する人が多い印象です。というのも、株にしても債券にしても、配当や金利だけで生活するレベルにするにはやはりそれなりの元手が必要ですが、不動産は手元資金が潤沢ではなくても、金融機関からお金を借りることで大規模な運用が可能だからでしょう。

早期リタイアする働きたくない人たち

後者の「誰にも依存せず自分の腕一本で食べていける」とは、一言で言うと「プロ」ということですが、需要の高い技術、希少性の高い技術、誰よりもうまくできる技術、余人を持って代えがたい技術を持っていれば、仕事の依頼が途切れることはないでしょう。

これはプロスポーツ選手や職人などに限らず、会社員でも同じことが言えると思います。

そしてこの仕事観が「FI」しても「RE」するかどうかの分かれ目となるのですが、「働きたくない」「仕事が楽しくない」という人が「RE」つまり早期リタイアします。

私の知人でもリタイアしている人を知っていますが、若いころからずっとリタイヤを目標としてお金を貯めて実現し、現在は美味しいものを食べたり、気ままに旅行に行ったり、日がなのんびり過ごしているようです。

富裕層は会社員を辞めたあとも働き続ける

一方、「仕事は楽しい。でも会社員だと自由にならない」という人は、自分で会社を立ち上げるなどして働き続けます。経済的自立も早期リタイアも手段でしかなく、「自分がやりたいことを仕事にする」ためのリタイアですね。

私の周囲の富裕層はこのタイプが圧倒的多数派で、彼らは仕事が楽しくて仕方がない。そもそも好きなことをやって、顧客から感謝されて、お金までもらえるので当然と言えば当然かもしれませんが。

また、ユーチューバーやアフィリエイターといったネット起業家も、副業が大きくなって会社を辞めたとしても、継続して仕事をしていますよね(本人たちには「仕事」という認識はないかもしれませんが)。

つまり、イヤイヤ働いてきた(あるいはストレスに耐え忍んで働いてきた)人は早期リタイアを選び、充実して働いてきた人は独立起業を選ぶと言えそうです。

これはどちらが正しいかどうかではなく、本人がどういう生き方を志向するかという問題ですし、もちろん人によって考えも異なりますから、いろんな人がいます。

たとえば会社がしんどくて不動産投資を始め、それで成功して会社を辞めたものの、不動産売買ビジネスに進出する人、講演ビジネスやオンラインサロンなどを始める人は少なくありません。

1億円貯めて節約しながら暮らすのは幸せなのか

ただ、早期リタイアを選ぶ人の多くは、その後もカリカリと節約をする生活で日々を送る傾向があります。特に、1億円くらいの貯金を築いて後はそれを切り崩すだけとか、年間の配当収入や家賃収入が手取りで400万円とか500万円とか小ぶりなスケールの人に多い印象です。

仕事から解放され自由になったのはいいのですが、興味関心のほぼすべてが「いかにローコストで生活するか」で占められているという、そういう生き方が幸福なのかどうか、私個人としてはあまり魅力に感じないところです。

実際、一生かけても使い切れないほどの巨額の財産を持つ孫正義氏、柳井正氏、三木谷浩史氏が、なお現役を続けるのは、おそらくそういうことなのでしょう。

50代を超えてなおプレーする、Jリーグ史上最高齢プロサッカー選手の三浦知良氏は「サッカーが好きだ」と公言します。

FIREの信奉者に若者が多いということも、なんとなく納得できます。若者ほど「仕事を通じて成長する」「その成長実感や貢献実感が幸福感につながる」という経験が少ないからです。

しかしその段階で小規模にFIREをすると、節約節約の隠居生活のようになってしまうリスクがあります。

会社を辞めて自由になるというのは「目的」ではなく、自分が本当にやりたいことをして生きるための「手段」だと思えば、いま現在の仕事に対する関わり方もまた違ってくるのではないでしょうか。

余計なお世話かもしれませんが。

不労所得があっても「仕事を断らない」ポリシー

ちなみに私が経済的自由を目指したのは、外資系戦略コンサルでのハードワークに少し疲れたという側面はあるものの、メインの理由は「コンサルよりも自分でやりたい」という動機が大きくなったからです。

その手段として消去法で不動産投資を始め(当時スマホが存在しない時代、副業禁止、会社のPCは監視されている)、1年後に会社を辞めた。

そして自分の経験を広められればと、まずは投資物件に特化した不動産仲介業を始めた。

さらに自分の投資経験をメルマガで発行していたら、たまたま出版社の編集者が読んでいてくれて、「メルマガの内容を本にしませんか」と声をかけていただいたのがビジネス書作家となったきっかけです。

その後は紆余曲折があったものの、現在は不労所得として家賃収入、売電収入、金利収入、ロイヤリティ収入、販売手数料収入などがあり、労働所得として印税収入、原稿料、講演料、複数のスクール運営からの事業収入といったもので成り立っています。

不労所得だけでも生活は可能ですが、それでも私は「依頼は基本的に断らない」を信条としており、やはり「必要とされる」「声をかけていただける」ことは幸せだと考えているからです。

午堂 登紀雄(ごどう・ときお)
米国公認会計士
1971年岡山県生まれ。中央大学経済学部卒。大学卒業後、東京都内の会計事務所にて企業の税務・会計支援業務に従事。大手流通企業のマーケティング部門を経て、世界的な戦略系経営コンサルティングファームであるアーサー・D・リトルで経営コンサルタントとして活躍。2006年、株式会社プレミアム・インベストメント&パートナーズを設立。現在は不動産投資コンサルティングを手がけるかたわら、資産運用やビジネススキルに関するセミナー、講演で活躍。『捨てるべき40の「悪い」習慣』『「いい人」をやめれば、人生はうまくいく』(ともに日本実業出版社)など著書多数。「ユアFX」の監修を務める。

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