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「占いとSNSが好きな人は大損する」プロが断言する投資で"一番やってはいけないこと"

  • 2021.7.28
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投資で成功する条件とは何でしょうか。『あなたが投資で儲からない理由』(日経プレミアシリーズ)の著者である大江英樹さんは「投資で失敗する人を数限りなく見てきました。うまくいく人といかない人には明らかにはっきりとした特徴があります」と言います――。

タロットカード
※写真はイメージです
投資がうまくいく人といかない人には明確な違いがある

今月、私は新しい本を出しました。私にとっては30作目の本なのですが、実は初めて「投資」というテーマにフォーカスした本なのです。タイトルは『あなたが投資で儲からない理由』というちょっとドキッとするものです。私自身が40年近く証券会社で仕事をしてきた中で数多くの個人投資家の相談を受けたり接したりしてきましたが、投資でうまくいく人といかない人には明らかにはっきりとした特徴があります。最所に投資で成功する人に共通するポイントを挙げてみましょう。

1.勉強をしたり、調べたりするのが好き
2.どんな情報でも信用せず、必ず自分で確かめる
3.人と反対のことが平気でできる
4.「朝令暮改」も平気

といったことが挙げられます。

知識と強いメンタリティーが必要

まず投資はそれほど簡単なものではありません。最低限必要な知識とある程度強いメンタリティーを持っていないとなかなかうまくいかないのです。

「でも、株式投資ならそうかもしれないけど、投資信託とかだったら任せておいても良いんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、任せると言っても、それは“運用を任せる”だけのことであって、必ず儲けてくれるわけではありません。

そして儲かっても儲からなくてもその責任は運用した人ではなく、任せたあなたにあります。したがって、投資信託を購入する場合でも運用を任せるに足りうる会社なのか、どういう運用をしようとしているのかということを理解した上で少なくとも次の5項目は購入にあたってあらかじめ調べておく必要があります。

投資信託の購入にあたって調べるべきこと

①組み入れている株式や債券の価格変動のメカニズム
②運用のスタイルと方針
③自分が負担するコストの種類とその水準
④投信を評価する基準(シャープレシオやインフォメーションレシオ)
⑤交付目論見書の内容に対する理解

少なくともこれぐらいの知識はもっていないと、ただ「何とかナビ」や「ロボアドバイザー」に全てお任せしていれば安心というわけではないのです。最低限必要な勉強や情報は知っておく必要があります。

次に、投資の世界は実に様々な情報が交錯しています。新聞やマネー雑誌、最近ではYouTubeなどで情報を仕入れる人も多くなってきています。情報というものは多ければ多いほど良いというわけではありません。大事なことは株価が上がりそうな材料に飛びつくことではなく、投資をしている企業の今後の業績見通しや属している業界の話題、今後の方向といったことをていねいに調べることが必要です。

それもネットに出ている記事とかではなく、少なくとも『会社四季報』、できれば「決算短信」や「有価証券報告書」といった一次情報に目を配っておく必要があります。つまり評論家やアナリストの意見はあくまでもひとつの意見として聞くのはかまいませんが、それを全面的に信じてしまうのは考え物なのです。

株式市場のグラフ
※写真はイメージです
みんなが売っているときに買えるか

さらに3つめのポイント、実はこれがとても重要なのですが、人と反対のことを平気でおこなえる強いメンタリティが求められるのです。株の基本は下がって安くなったところで買って、高くなったところで売るということが大切です。ところが投資経験のある人ならわかると思いますが、これがなかなか難しいのです。下がって安くなるというのは世の中の人の多くが売っているからです。

そこでみんなが売っている時に自分だけは逆に買うという行動を取るのはかなり強いメンタルが必要になります。自分だけ買った結果、もっと下がったらどうしようという不安を抑えて行動しなければならないからです。逆も同じです。株価が上がっているのはみんなが買っているから上がっているわけです。そこで冷静になって自分だけ売るということは理屈ではわかっていてもなかなかできません。

そしてこれも株式だけではなく投資信託も同様です。例え毎月積み立てで購入していても、下がったら嫌になって積立を中止してしまう人もいます。でも本来は逆で、下がったらそこでむしろ買い増しをした方がいいのです。しかしながらこれも強い意志が必要になります。投資というのは心理戦の要素が強いものですから、こうした強いメンタリティは投資で成功するには欠かせません。

投資で一番やってはいけないこと

そして最後4つめは「柔軟に考える」ということです。経済は生き物です。過去に良かったことがこれからも良いとは限りません。

大江英樹『あなたが投資で儲からない理由』(日経プレミアシリーズ)
大江英樹『あなたが投資で儲からない理由』(日経プレミアシリーズ)

一般的に人間の行動として「朝令暮改」はよくないということが言われますが投資の世界では「朝令暮改」はどんどんやるべきですし、場合によっては「朝礼朝改」だってありなのです。投資で一番やってはいけないことは特定の運用方法や特定の人の言うことを信じること、すなわち原理主義に陥ってしまうことです。

さて、こんなふうに考えてくると今日のコラムのタイトルも理解できるのではないかと思います。「占い」というのは自分の将来の見通しや判断を人に聞いて委ねるということです。でもこれは投資では一番やってはいけないことなのです。投資は人の意見は参考程度にはするものの、すべからく自分だけの判断で行うもの。ところが占いが好きな人は、言わば人に判断してもらうことが好きなので、評論家や金融機関が勧める推奨銘柄を何の疑いもなく買ってしまう恐れがあります。朝出かける前にテレビのニュース番組で「今日の運勢」を聞いて楽しむぐらいならともかく、占いに凝ってしまうような性格の人は、投資はすべきではありません。

考えて、考えて、考え抜く

またSNS好きな人も投資の面では困ったことがあります。それはさまざまなニュースや情報が手軽に入るので、深く考えることをせず、安易に信じてしまいがちになるからです。もちろん単に読み流すだけならそれでいいでしょうが、その情報を基に判断をするというのであれば、SNSの情報だけを信じるのはとても危険です。私はSNSに限らず新聞や雑誌に書いてあることでも、自分の大事なお金をどう投資するかの判断をする場合はそれだけでは絶対に信用しません。必ず元データを見てその上でそれがどう影響するのかということを自分で考えて判断します。

先ほど投資で一番やっていけないことは「原理主義に陥ることだ」と言いましたが、占いやSNSの好きな人は、大体において人が良いためにすぐ信用してしまう傾向があります。でも本当に投資で大事なことは自分の頭で考えて、考えて、考え抜くことです。何事に対しても安易に信じるのではなく、自分の目で確かめたり判断したりすることが求められるのが投資なのです。

私は今まで投資で失敗した人は数限りなく見てきましたが、いずれも前述した「投資で成功するための四つの原則」とはほど遠い思考や行動パターンの人ばかりでした。やはり投資で最も大事なことは、人に頼るのではなく、“自分の頭で考える”ということに尽きると思います。

大江 英樹(おおえ・ひでき)
経済コラムニスト
大手証券会社に定年まで勤務した後、2012年に独立し、オフィス・リベルタスを設立し、代表に。資産運用やライフプランニング、行動経済学などに関する講演・研修・執筆活動などを行っている。近著に『定年前、しなくていい5つのこと』(光文社新書)など。

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