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『NIGHT HEAD』が蘇った理由 『東京喰種』とも重なる“対立すること”への問い

  • 2021.7.28
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『NIGHT HEAD 2041』(c)飯田譲治/NIGHT HEAD 2041 製作委員会

1992年に放送され、カルト的人気を得たTVドラマ『NIGHT HEAD』が、30年の時を経て、オリジナルTVアニメ『NIGHT HEAD 2041』として帰ってきた。テレビドラマの原作者である飯田譲治が脚本・構成を担当し、映画『シン・ゴジラ』や『寄生獣』などVFX技術を駆使した作品で注目を浴びる白組がアニメーション制作を担当する。

『NIGHT HEAD 2041』の舞台は、超能力や超常現象といったものを完全に否定する物理主義国家となった2041年の東京。2041年という近い未来の話だが、実は第3次世界大戦後、世界の人口が3分の1まで減ってしまった世界という設定になっている。実際、第1話で描かれる東京はテクノロジーが進化した近未来感はなく、どことなく暗く人も少ない。

物語は、超能力を持ってしまったために社会から疎外された霧原兄弟と、非科学的な危険思想を取り締まる国家保安本部の精鋭部隊に所属する黒木兄弟という、相対する2組の兄弟を軸に動いていく。黒木兄弟はTVアニメから登場する新キャラクターだ。能力を持ってしまったが故に居場所のない霧原兄弟と、それを取り締まる黒木兄弟の邂逅。果たして彼らの運命はどのように動いていくのだろうか。

すでに放送された第1話・第2話を振り返ってみよう。まず第1話「結界-Onset-」では、国家保安本部の任務につく黒木兄弟が任務中に謎の少女と出会うところから描かれる。超能力で任務完了目前、謎の爆発が起こり、謎の少女は「結界が破られた」と言い残し2人の前から姿を消す。

一方、15年もの間研究所に隔離され、なぜか森の中で目を覚ました霧原兄弟は、やっと自分たちを受け入れてくれる世界になったのだと喜んで外の世界へと向かう。しかし、そこは物理主義の2041年の東京。まだ自分たちを受け入れてくれる世界ではないということを知ってしまい……。

第2話「偽物-Deception」では、いよいよ霧原兄弟と黒木兄弟が顔を合わせる。任務で取り逃した男を追うためにダイナーを包囲した黒木兄弟。そこには偶然霧原兄弟も居合わせていた。隔離期間と合わない時代設定、能力者の存在を隠していた政府に、政府に協力するマインドコントロールを操る能力者の出現。物語は多くの謎を残して第3話へと向かう。

「NIGHT HEAD」とは、人間が使用していないとされる脳の70%もの容量を差す。超能力などの科学的に証明されない不思議な力はこの70%の部分に秘められており、NIGHT HEADは霧原兄弟の持つ能力のことであり、そして2041年の東京が完全否定し、厳しく取り締まるものということになる。

人によって能力は異なり、霧原兄弟の能力は第1話で弟、第2話で兄の能力が明かされる。兄・直人はサイコキネシス、弟・直也はリーディングの能力だ。ただ、2人とも能力をコントロールしきれていないようだった。

こういった超能力や精神エネルギーが物語の核となる作品は多い。人気TVドラマ『SPEC~警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿~』(TBS系)や、能力とは少し違うが「追う者」と「追われる者」でいうと『東京喰種 トーキョーグール』に近いものもあるかもしれない。持つ者を持たざる者が恐れ、忌み嫌い、或いは持つ者が持たざる者を蹂躙する。2作品に共通しているのは、対立する両者が生きている者同士であることだ。安定した暮らしを、自分たちの居場所を求めて対峙する構図は、まさに霧原兄弟と黒木兄弟そのものだ。

映像を観てまず驚くのは、妙な「生っぽさ」だ。キャラクターデザインは『エア・ギア』や『天上天下』などの人気漫画の著者、大暮維人。物語シリーズで大人気の『化物語』などのコミカライズも手がけているので、馴染みのある人も多いのではないだろうか。スタイリッシュで息を飲むような美しいキャラクターが特徴的だ。そんな2次元だからこそ表現できるような美しいキャラクター達が登場するのに、画面に映される映像はやけにリアルだ。

3DCGやVFX(Visual Effects)を駆使したハイクオリティで写実的な映像を実現しているのは、アニメーション制作担当の白組。最新技術で描かれるリアルな世界と、そこで息をする美しいキャラクター達の絶妙なバランスが、ミステリアスな作品の魅力を引き出している

作品を彩るオープニングテーマは、TVアニメ『PSYCHO-PASS サイコパス 3』や『呪術廻戦』のオープニングテーマを手掛けたアーティスト、Who-ya Extendedによる「Ivy Icy」。

そしてエンディングを飾るのは、アニメ『約束のネバーランド』のエンディングテーマも手掛けたMyukの「シオン」。作詞作曲は呪術廻戦の主題歌「廻廻奇譚」でお馴染みのEveが担当する。映像、キャラクター、音楽。どこをとっても今のアニメ業界を代表する制作陣といっても過言ではなさそうだ。

約30年の時を経て、新たな物語として描かれる『NIGHT HEAD 2041』。なぜ今になって、再び私たちの元に霧原兄弟があらわれ、新たに黒木兄弟も加わったのか。兄弟として生きること以外には、立場も思考も能力も違う彼らは、私たちに何を教えてくれるのだろうか。遠くない未来の東京で描かれる物語は、今を生きる私たちに何かを気づかせてくれるかもしれない。(阿部仁美)

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