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最近の東京の中高生、「修学旅行」でどこに行ってる? 地方校の定番・ディズニーランドは距離が近すぎる現実

  • 2021.7.25
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コロナ禍で修学旅行の中止が相次ぐなか、今回は都内小中学校の修学旅行先について、エデュケーショナルライターの日野京子さんが解説します。

地方校に人気の東京ディズニーリゾート

東京や横浜は数多くの観光名所があるため、修学旅行先に選ばれやすい場所です。首都圏に宿泊する場合、東京ディズニーリゾートが日程に組み込まれることも多く、地方在住の学生にとって大きな楽しみになっています。

東京ディズニーリゾートでは、修学旅行などの校外学習に特化したプログラム「ラーニング・ファン」が用意されており、打ち合わせや事前準備の道筋も出来上がっています。敷地内は広大ですが、生徒たちが班別行動を行う安心感は大きいと言えるでしょう。

これは引率する教職員の負担軽減にもつながり、生徒たちからも支持されます。こうした背景もあり、

「東京周辺の修学旅行 + 東京ディズニーリゾート」

が地方自治体で浸透していったのは、ある意味必然だったのかもしれません。

東京に住む子どもたちの宿命

さて、東京都の公立小中学校に通う子どもたちはそんな「修学旅行のメッカ」に住んでいます。

台東区浅草にある浅草寺(画像:写真AC)

ただ東京都は東西に長く、西部の市町村だと全国的な知名度を誇る

・浅草寺・スカイツリー・上野公園・お台場

から距離があるため、そうした地域の学校が宿泊を伴う修学旅行先として、東京の観光地を選ぶことはありません。

東京の小学生や中学生は、観光地から近い・遠いが関係なく「東京都在住」になるため、修学旅行先は道府県になります。

小学校は行き先は自治体によってさまざま

東京都の公立小学校では4年生(自治体によっては実施なし)、5年生、6年生時に、移動教室と呼ばれる宿泊を伴った校外学習が行われます。5年生の場合は野外活動にあたり、6年生が実質的な修学旅行になります。

行き先は各区や市町村ごとにおおむね統一されていますが、新宿区ではその限りではなく、小学6年生の移動教室の行き先は日光(栃木県)や伊那(長野県)館山(千葉県)とさまざまです。

栃木県日光市にある華厳の滝(画像:写真AC)

港区や千代田区の公立小学校では箱根(神奈川県)、中央区では本栖湖周辺(山梨県)、文京区は魚沼(新潟県)と、都会にはない自然に囲まれた場所が選ばれています。

東京からのアクセスがよい栃木県日光市は、世界遺産に登録されている社寺(日光東照宮、日光矢山輪王寺、日光二荒山神社)やラムサール条約に登録された湿地帯である奥日光の湿原もあり、歴史学習と自然体験が両立できるため、移動教室先として区内の公立小学校で人気を集めています。

また、八王子市や国立市といった多摩地域の小学校は日光、西東京市は赤城山周辺(群馬県)と、23区同様に自然豊かな場所が選ばれています。

公立中学校は定番が主流

前述のとおり、地方の公立中学校は「修学旅行 = 有名レジャー施設」という流れが強まってきていますが、東京都の公立中学校では昔ながらの定番「京都・奈良」が主流です。

奈良公園で鹿せんべいを買って東大寺の大仏を見る、京都では清水寺や北野天満宮で合格祈願――。もしかしたら、東京にいる生徒の方が昔ながらの修学旅行を体験していると言えるかもしれません。

一方、中学受験の多い東京都心の私立中学校の修学旅行先は「海外」というイメージがあります。しかし、開成中学(荒川区西日暮里)の3年生は京都と奈良、桜陰中学(文京区本郷)の3年生は青森や平泉といった北東北に行っています。

荒川区西日暮里にある開成中学(画像:(C)Google)

修学旅行先は海外という私立中学校がある一方で、公立中学校と同じように修学旅行先は国内というところも少なくありません。

学生時代の修学旅行は一生の思い出

2020年は新型コロナウイルスの感染拡大で、修学旅行は軒並み中止となりました。本年度も感染状況や緊急時代宣言の発令で、状況は極めて流動的です。

修学旅行先の寝室イメージ(画像:写真AC)

学生時代の修学旅行はずっと記憶に残ります。大人になってからのひとり旅や仲間と行く旅、恋人と行く旅行とは全く異なります。学生時代にしか経験できない旅行です。

東京は人口も多く、人の往来も激しいため、そこに住む子どもは、ほかの地域以上に旅行を実行できません。そのため、感染リスクを減らす対策を行い、中止ではなく代替行事で子どもたちの成長に少しでもつながるような配慮が求められます。

日野京子(エデュケーショナルライター)

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