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エッセイスト・松浦弥太郎さんに学ぶ五感で慈しむ「暮らしの名品」|「ルーシー・リー」のピッチャー

  • 2021.7.24
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目に映る佇まい、使う時の手触りや音、放つ香り… ラグジュアリーなアプローチでこその「用の美」の奥深さを、変わりゆく時代こそ見つめ直したい。そんな想いから『Precious』8月号では「五感で慈しむ『暮らしの名品』」と題して、日々を彩る名品を特集しています。

家で過ごす時間を慈しむようになり、2度目の夏を迎えました。暮らしを彩る名品と、その向き合い方までアップデートする…そんな絶好の機会ととらえてみませんか? ナビゲーターは松浦弥太郎さん。名品との対話を尊ぶことで生まれる、真の豊かな暮らしへ―。

今回は松浦さんが考える「丁寧な暮らし」の定義についてお話を伺うとともに、松浦さん愛用の品「ルーシー・リー」のピッチャーをご紹介します。

松浦 弥太郎さん
エッセイスト
(まつうら やたろう)2006年から『暮しの手帖』編集長を務める。2015年よりウェブメディア「くらしのきほん」を立ち上げ、現在「おいしい健康」共同CEO。10月29日より、初監督ドキュメンタリー映画『場所はいつも旅先だった』が公開予定。

「芸術性の高いものには、共に過ごしてこそわかる美しさが宿っていると感じます」( 松浦弥太郎)

「生き方、働き方、暮らし方…すべてが変わった世の中で、何を感じ、何を考え、暮らしているでしょうか。もしかしたら制約が増えた生活に、少しストレスを感じているかもしれませんね。でも、だからこそ伝えたいことがあります。それが『今起きていることを受け入れ、感謝しましょう』ということです。感謝の気持ちをもてたとき、人は不安や恐れを忘れることができます。物の扱い方から人への接し方まで、一段と優しくなれることでしょう。暮らしのひとつひとつに感謝の気持ちを向けること。それこそが僕が考える『丁寧な暮らし』の定義なのです。暮らしを慈しむことを考えたとき、価値あるものを選ぶことはとても大切です。ただどれだけ高価なものでも、向き合う人間が浅はかであれば、それはただの飾り物に。今は『何と暮らすか』より『どう付き合うか』。その感性が問われる時代なのです。

僕は家にアートを飾っていますが、毎朝たっぷりの元気をもらっています。日々眺めても飽きることがなく、感動が薄れるどころか新しい発見すらある。まさにこれこそが、芸術の本質ではないでしょうか。花瓶でもコップでも同じこと。芸術性の高いものには、共に時を過ごしてこそわかる、美しさと力が宿っているのです。

さらに、それら芸術性の高いものは、『豊かさとはいったい何か』を私たちに問いかけてきます。『あなたは私をどう使うのですか?』、僕はそんな問いかけに感謝しながら『この物とどう過ごそう?』『この物にふさわしい自分とは?』までゆっくり思いを巡らせます。そして暮らしのなかで触り、使い、慈しむ。するとある瞬間、『豊かさ』の答えが降りてくることがあるのです。こんなふうに、暮らしの名品に囲まれて過ごしていると、日常が満ち足りて退屈する暇がありません。それどころか、物との対話は血肉になり、学びにまで昇華します。その『学びの蓄積』こそが、僕にとっての最上級の贅沢なのです。

今回紹介している品々は、僕が実際に使っているものばかり。どうぞご自身の暮らしと照らし合わせ、自分にとっての名品とは何か、どう付き合いたいか、思いを馳せてみてください。そこから得た気づきが個々の感性を刺激したならば、これ以上の喜びはありません。さぁ、五感を慈しむ暮らしへ…ご案内しましょう」(松浦さん)

ルーシー・リーのピッチャー
名品_1
ルーシー・リーのピッチャー/松浦さん私物

ルーシー・リーのピッチャーはロンドンの「ギャラリー・ベッソン」で手に入れたもの。作家の作品は、暮らしで使うことをモットーにしている。

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